歯車⑧
もどかしさに歯噛みしてしまいます。何故私はまた、見ているだけなのでしょうか。態勢を立て直し、いつでも”盾”を出せますが――リッカさまが、視線で止めるのです。
攻撃を一度か二度止める事が出来る”盾”を張り、”光”を撃ち込む事は出来ます。それでリッカさまを援護する準備は出来ています。ですが――対峙しているリッカさまは、私の援護を求めていません。
それは昔のように、私を戦わせたくないという想いからではないのです。私が再び動けなくなってしまっては、シーアさんが拘束出来ても”剥離”出来なくなるから……。
ですから私は、我慢しなければいけません。我慢を――。
(だからといって、このままでは……)
「っ……」
(お師匠さんは――距離を取ってはいますが、マリスタザリアが自身以外に興味を持たないように丁寧に戦っているようですね。こんな速い相手でも冷静です。ですが、リツカお姉さんは……少々強引すぎじゃないでしょうか)
顔から数十センチも離れた所を攻撃が通るように避けているリッカさまですが、その顔には薄っすらと赤い線が出来ています。掠る必要もありません。鋭い針のような体毛は、名剣の如き鋭さでリッカさまの肌を傷つけようとしています。
そんな中、リッカさまは反撃を繰り出しています。カウンターで入る木刀によって、太鼓を叩いたような打撃音が響いていますが――マリスタザリアには、効いていません。
(再変質前は、多少の衝撃を生み出せていたのですが……)
効かないのであれば、距離を取って、隙を見つけるべきなのでしょう。しかしそれは、意識の違いです。リッカさまは耐えようとしているのではありません。投げる隙を見つけようとしています。
下がっていては投げられないと、リッカさまは言っていました。そして、少しでも相手のペースになってしまうと――ライゼさんのように、手数が減っていきます。
こんなにも強いのに、このマリスタザリアは眼前のリッカさまと私しか見ていません。慢心の無い相手の隙を突くには……攻めて、隙を作らなければいけないのです。
『もう、何分たったかな――?』
怪我をしない限りは、戦闘で汗を流す事がなかったリッカさまが……大粒の汗を、流しています。一呼吸の間すら致命的となりえる戦いは、時間をぎゅっと凝縮していました。まだ、何分も経っていません。数秒なのです。
「っ……ぅ……」
「リッ……っ」
(がま、ん……っ……)
数秒とはいえ、リッカさまの”強化”はどんどん強くなっています。上限が取り払われると思われる”強化”オルイグナスは、リッカさまの動きを更に激しくさせていました。
ですが――リッカさまの意思を超えた動きによって、体との感覚がズレていき……頭痛が起きています。それは、集落や牧場での時と同様の――。
「ぁ……つっ……」
「リッカさま!!」
ついに、リッカさまに攻撃が、当たってしまいました。我慢しなければいけないと、体を必死に止めていました。私の役目は、拘束されたマリスタザリアへの”剥離”です。今出て行けば、シーアさんとの連携が崩れます。
(だからと、いって……!)
「だ、め!!」
『アリスさんまで、やられちゃ――』
リッカさまの想いは分かっています。私が出て行ったところで、足手まといでしかありません。でも、そんな怪我を負ったリッカさまを、これ以上――っ!
「ッ!」
(嗜虐型だったはずですが、リツカお姉さんを傷つけてもまだ攻撃を……!? 嬲るよりも殺意の方が高くなってませんか!?)
『シーアさんまで、動いたら……っ崩――』
その時浮かべたリッカさまの表情が、私の脳裏に深く刻み込まれたのを、感じました。犠牲なくして相手を止められないと確信したリッカさまは――腕を犠牲にしてでも投げを――。
「嫌――」
「おぉぉぉぉおおおお!」
雄叫びと共に、リッカさまとマリスタザリアの間に”盾”が出現しました。
「っ巫女様たちをやらせるかよ!!」
「っ! ダメです!」
いつから、こちらに走り出していたのかは分かりません。ですが、隊商を守っていたはずのディルクさんが今、ここに居ます。
一度、二度と、壊されても復活する”盾”。”連盾”と呼ばれる、”盾”が特級の者のみが実用に耐えるという連鎖魔法でリッカさまを守ってくれています。
そのディルクさんを、リッカさまは止めました。腕を押さえ膝で立ち、脳は痺れ、腕の感覚が消えていくような痛みの中でさえ、リッカさまはディルクさんの心配をしているのです。”連盾”は確かに高等魔法ですが、この相手では本当に、いつまで保てるか――。
「聞けねぇ! あんたは無茶しすぎるってアイツらから聞いたからな!」
『アイツら……? 港の時の先行チーム? なんでそれを知って――』
「っリッカさま、今は急ぎ治癒します!」
どうやら結構深くまで聞いていたようですが、手に入れた時間を使いリッカさまの治療を始めます。ディルクさんも、リッカさまの怪我が治れば退避を選べますから……!
「リツカ様よ、俺たちも冒険者だ!」
「……はい。お願い、します」
ディルクさんの覚悟に、リッカさまは私の治療に集中する事を選んでくれました。
体の力を抜いて、私に全てを委ねています。手放しに私の”治癒”を信頼してくれているリッカさまのために全力で応えます、が……これは……。
(骨にまで、達しています。神経を傷つけ、太い血管まで……腱も切れて……っ)
血管を繋ぎ、神経を繋ぎ、慎重に傷口を塞いでいきます。切断されていると判断出来そうな程の傷ですが――何とか、”治癒”は通っています。大丈夫。繋がります。繋げます。
「ぁ……はぁ……はぁ……」
腕を傷つけられた瞬間、リッカさまの集中が切れるのと同時に”強化”は解かれてしまいました。そして……リッカさまは頭痛と疲労と痛みに、肩で息をしています。不規則な呼吸が、リッカさまの不調を表しています。体力は限界ですし、魔力も乱れています。血だって、こんなに……。
『体力の問題だけじゃない、何か、足りてないの?』
「リッカさま、もう無茶はさせられません。私たちだけで止めます。止めを刺すために回復に専念してください」
「ア、リスさ……」
『木刀が、こんなに、血塗れに……私こんなに、深く……っ……』
腕の痛みではなく、脳の痺れという形で感じていた痛みですが――木刀に着いた血と、治りかけによる痛みで、リッカさまは自身の腕に起きた出来事をしっかりと認識してしまいました。そしてそれは……リッカさまの、『恐怖』を強く揺さぶったのです。
ですが、リッカさましか居ません。あのマリスタザリアに止めを刺せるのは……リッカさましか、居ません。ですがもう、無茶はさせられません。傷が治ったらきっと、リッカさまは――今度こそ腕を犠牲に、投げるでしょうから……。
「……」
『私は、何を……!』
傷ついていない方の拳を強く握り締め、下唇を強く噛んだリッカさまは、目を強く瞑り俯いてしまいました……。
『救出対象から守られ、大切な人と一緒に戦うことすら出来ず、自分の出来る唯一の足止めすら満足に行えてない……! こんなに情けなくて、何が――』
リッカさまの悔恨が脳裏を巡っていた時です。何故か急に、私の能力が、途切れました。眠っている時でもリッカさまを感じていたはずの、能力が――。
「な、にが……?」
ガチリ、ガチリと、頭の中で聞こえます。ともすれば不快感を感じるような無機質な音なのに、私はその音を聞きながら、高揚していました。
(ちゃんと、リッカさまへの”治癒”は通って、います)
最大級の”治癒”は、澱みなくリッカさまの腕を治しています。完治に近い状態にまで持っていけました。あの傷を治せているのですから、私のリッカさまへの想いは確かにあります。リッカさまも、私を想ってくれている、はずです。
なのに何故、私はこんな状況下で高揚しているのでしょう。普段あんなにも、リッカさまの心を聞くのを躊躇っているというのに、聞けなくなったら聞けなくなったでこんなにも不安に……っなっているというのに……。敵はまだ、健在なのに――。
「アリスさん。私はまだ、やれるよ」
「リッカ、さま?」
一際強く、ガチリという音がしたかと思えば、リッカさまが立ち上がっていました。まるで、リッカさまから聞いた……歯車が、噛み合ったような、音です。
(私がこの音に不快感を抱かなかったのは、リッカさまの音、だったから……?)
「私、まだ……受け入れきれてなかった」
『アリスさんの”治癒”はやっぱり凄い。もう、動かせる』
”治癒”したばかりの手で木刀を拾い上げたリッカさまが、感触を確かめ、私に微笑みかけました。能力が戻ったのを確認するよりも先に、リッカさまが何をしようとしているのかを、感じ取る事が出来ます。
「自分の魔法なのに、私に魔法が使えるってことを受け入れきてなかった」
魔法のない世界で生きていたリッカさまは、自身が魔法を使えている事をどこか、他人事のように考えていたのです。小説の主人公に感情移入しただけのような状態、と表現すべきでしょうか。
「魔法は、私のモノ。私だから」
ですがもう、魔法はリッカさまの、モノなのです。誰でもない、リッカさまだけの想いで紡ぐ、魔法。
「私は強くなれる。誰よりも、自分自身さえ超えて、強く」
リッカさまの瞳とローブの紋様の煌きに、力が戻りました。あの日よりもずっと、鮮やかに、力強く。リッカさまの心を燃やす、炎のように――。
「私の強き想いを抱き、力に変えよ!!」
今までの”強化”とは、明らかに違います。まるで湯気が立ち上るようになっていた、リッカさまの魔力が……体中を覆っています。これが本物の”強化”。そして――”抱擁”の……効果、なのでしょうか。
「リッカ、さま」
強くなったと、戦わずとも感じます。そしてリッカさまは、諦めていないと、伝わりました。
「――行きましょう」
共に、生きるために。
「うん。私が止める。でるくさん。ありがとうございました。後は私たちが」
「ッグルゴァ!?」
ディルクさんの肩に手を置いたリッカさまが、消えました。震脚していない、ただの脚力のみで――”疾風”よりずっと早い、私の目ですら捉えられない速度は、簡単にマリスタザリアへの攻撃を可能としました。
リッカさまによって目を潰されたマリスタザリアは、それだけでは留まらず後ろに倒れこんだのです。もはや、マリスタザリアの動きではついていけません。いえ――誰もリッカさまを、視界に入れる事すら出来ないでしょう。
「な、何が起きた。……でるくって俺か?」
「リツカお姉さんは舌足らずデ、この世界の人の名前の発音に苦労してまス。こっちにきてくださイ。巻き込まれますヨ」
(何が起きたか分かりませんが、リツカお姉さんが一気に強くなりました。一切攻撃が通用していなかったですし、速度も同じくらいだったのですが――どちらも遥か上です)
シーアさんがディルクさんを連れ、離れていきました。私も、役目に戻ります。リッカさまの変化が気になるのは私も同じですが――分かっている事が私にはあります。
リッカさまは、私と共に生きてくれるのです。
『魔法は、私。私なんだ。私であるということがこんなにも、魔法を信頼できるものにしていく。信頼しきれて、いなかった。受け入れてなかった』
「さぁ――最終局面だよ」
倒れていたマリスタザリアは素早く起き上がると――リッカさまに殴りかかりました。ですがもう、リッカさまは避けています。更に体を回すと――そこを、左フックが通り過ぎていきました。
兄弟子さんの時と一緒です。絶妙なタイミングで避けるリッカさまにかかれば、示し合わせた演武のように、リッカさまが避けた所を攻撃が通っているように見えるのです。
「――シッ!!」
回転の勢いのまま、リッカさまが攻撃を繰り出しました。背面への攻撃は、何かが爆発したような音となって――マリスタザリアの体毛をいくつも叩き折ります。
「グルァ!! ……?」
リッカさまの攻撃でフラフラとしていたはずのマリスタザリアですが、演技だったようです。振り向き様にリッカさまを攻撃しましたが――リッカさまはすでに、死角へと移動していました。
『攻撃はもう当たらない、翻弄できる。でも止めるにはまだ足りない』
完全に、リッカさまのペースです、が――強くなっても、リッカさまの肌は柔らかいままです。これでは掴めません。
(であれば――)
「光陽を受けし私の剣よ。私の太陽が如く燦燦と――」
『木刀が血で滑る――けど、今は……攻撃する……私の全力で!!』
リッカさまの想いが高まると同時に、今度はキリキリという音が私の頭の中で聞こえました。
(やはり、この音はリッカさまの……?)
「――シッ!!」
カチリ、という何かが止まった音は――リッカさまの打撃音で、消えました。
「!?」
攻撃したはずのリッカさま自身が、起きた出来事に驚いています。再びフラつかせようとしただけの打撃で、クマが数十センチ浮き上がれば驚くのも当然です。そして――リッカさまの木刀が、血ではなく魔力で真っ赤に光っていたら、尚更。
「アリスさんっ」
「えぇ、リッカさま」
ほんの数十センチですが――リッカさまが作り出した値千金の好機です。
落下を利用して、リッカさまへと拳を突き出したのがマリスタザリアの失策。撃ち出していた”光の剣”が、マリスタザリアの腕を”剥離”しました。突き出された腕の勢いはそのままです。つまり――。
するりと、撫でるように、リッカさまの手がクマを掴んでいます。反撃の体勢だったはずのクマは、完全に制御を奪われ、空中でくるりと回されました。
『そして――』
「叩き――つける!!!」
腕を掴んだままのリッカさまが跳び上がり、本物の”強化”でもって――クマを地面に、叩きつけました。
「わお」
(地面が無くなって……?)
シーアさんの詠嘆が聞こえましたが、深々と突き刺さったマリスタザリアが起き上がる前に――。
「アリスさん!」
「はい!」
(リッカさまならばきっと、この一連で終わらせると、感じていましたから――)
私が作り出していた”光の剣”は六つです。内三つをリッカさまが対峙していたマリスタザリアに射出し、残りは――リッカさまの背を追従しています。
投げた勢いを利用し、回転しながら地面を震脚したリッカさまは、ライゼさんの元へと滑空しました。
「ん? 剣士娘?」
「――っ!」
「よく分からんが、頼んだぞ」
口に木刀を咥えているため、鋭く睨むしかなかったリッカさまですが――ライゼさんは、リッカさまの意図が分からずとも流れを読み、離れてくれました。
「ガウ……? グルァッッッ!!!」
無防備に現れたリッカさまに、マリスタザリアが拳を突き出しました。それを大きく避けたリッカさまの脇から、私の”光の剣”が現れ――マリスタザリアの腕と顔に直撃します。リッカさまがギリギリまで隠してくれていたからでしょう。難なく当たりました。
(後は――)
「シーアさん」
「えェ」
(目で追えませんが、大丈夫です。ちゃんと分かっていますよ)
”光”で視界を奪われ、悶え様とも――リッカさまへ拳を突き出した事を取り消す事は出来ません。掴み、制御を奪い、足を払い――。
「ハッ!!」
相手の力を利用し、リッカさまはマリスタザリアを――投げ飛ばしました。
(一体俺たちは、何を見てるんだ。巨大なクマが木の棒で叩かれたら浮いて、地面に叩きつけられたら地面へこんで、今度は、投げたのか……?)
「噂は全部、本当だってのか?」
「えェ、本当ですヨ。リツカお姉さんの名誉のために言って置きますガ、怪力ではないでス。決しテ」
(私も初めて見ましたけど、何て光景なのでしょう。私からお姉ちゃんに話しても信じてくれないってくらい、現実離れしています)
地面に叩きつけるだけでなく、力の方向を変えれば投げ飛ばす事も可能です。そしてリッカさまに制御された相手は、自身の力をその身に受けている訳ですから――損傷は、深いです。
(リツカお姉さんは約束通りクマさんの動きをとめてくれました。それも二体同時です。だったら今度は私がやる番です)
「あのクマさんの落下点はもう一体のクマさんの真上。リツカお姉さんの狙いは素敵ですね」
いまだに”悪意”が漂っている中、シーアさんの深い海の色をした青の魔力が――この場を支配しました。
「炎の檻よ、水の枷よ、我が呼かけに応え、押さえよ!風の刃、雷の針、我が敵の気勢を削ぎ落とせ!我が想いを受け荒れ狂え――!」
ライゼさんを遥かに超え、リッカさまが四人くらい隠れられそうなマリスタザリアが二体共、地面に寝転がっています。これが人の手により作られた光景と、誰が信じるのでしょうか。
地面は大きく凹み、マリスタザリア二体は身動ぎする事も出来ずに地面に埋まっているのです。そこへ更に、シーアさんの複合連鎖魔法がかけられました。
炎の檻が敵を囲み、水の枷が敵の動きを封じた後、風の刃が炎を猛らせ、雷の針が水を伝い拘束力を上げているようです。四属性の相乗効果。互いの効果を邪魔をしあうことなく、魔法が淀みなく伝わっています。
これぞ……魔法の極地です。
「長くは待ちませン。巫女さン、お師匠さン、リツカお姉さン。とどめヲ」
「光陽よ――。悪意に手を染めし者へ聖なる鉄槌を!」
より長く拘束させるために――”悪意”を貫通するのではなく、押し潰す型の浄化。”光の鉄槌”でもって、”剥離”をします。この浄化の利点は、広範囲をとりあえず”剥離”出来る点です。
(リッカさまが止めならば……局所的な”剥離”で問題ありませんが――)
「剣士娘、トドメはもらうぞ」
チュイフに行った時と同様に、ライゼさんが高々と飛び上がりました。リッカさまの状態を見て、自身が止めを刺す方が良いと判断してくれたようです。
「ォラァ!!」
まさに雷の如く落下したライゼさんによって、マリスタザリア二体の首は――胴から切り離されました。
(……? ”悪意”が、消え……?)
空を覆っていた”悪意”の消失と共に……この場に立ち込めていた重苦しい雰囲気も、解消されていくようです。ほんの、数分の戦いでしたが……時間と疲労は比例しないのだと、私は始めて、実感しました。
「悪意なし。とりあえずは、安全かな……」
「えぇ。今は、休んでください……」
後続が居ないと安心すると、リッカさまは体から力を抜き、倒れそうになってしまいました。支える事は出来ましたが、一切力が入っていない体に……私の手の方が、震えてしまいます。本当に、危なかった……。
(ライゼさんが止めを刺してくれて、良かった。これ以上動くとリッカさまが……)
『よかった、また……アリスさんの、腕に……』
私にとっては数分でも、リッカさまにとっては一生を凝縮したようなものでした。何度、死線を潜り抜けたのか……私ではもはや、確認すら出来ません。それは、どれ程の『恐怖』だったのでしょう。
(ですが――リッカさまは、こうやって、私の腕の中に居てくれます……)
それだけで、リッカさまの心が解れていくのが、伝わってきます。今日はもう、この手を離しません、から……。
「リッカさまのお陰で、犠牲はありません」
「う、ん……みんな無事で、良かった……」
マリスタザリアの討伐を確認し、後続が居ないと感知し、魔法を解除したのに――リッカさまはずっと、その手から……木刀を離す事は、ありませんでした。
戦いが終わっても、安心出来る場所に行くまで……リッカさまは武器を手離しません。離してしまったら……”想い”まで手離してしまうのではないかと、強く……握った、ままなのです――。




