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六花立花巫女日記 外伝  作者: あんころもち
14.抱擁
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歯車⑦



(くそがっ!! 痺れてきやがった――っ)


 羽に毒でもついていたのか、ウィンツェッツの動きが落ちていく。辛うじて直撃は避けているものの、体は傷だらけになりいつ直撃してもおかしくない。


「誰かウィンツェッツを治癒できねぇか!?」


 出来ないと分かっていても、ディルクは声をかけずには居られなかった。ウィンツェッツに倒れられると、相手をしている四体が”盾”に襲い掛かってしまう。


(”盾”はもう保たねぇぞ……)


 だがそれを口に出すことは出来ない。


(まだかっ!?)


 王都に連絡して二十分、限界は近い――。




 ――見つけました。ディルクさんの”盾”は確かに強固です。あのマリスタザリアの攻撃を、硬さだけで耐えているのですから。ですが、それももう限界のようです。


「合図はあんさんがしろ」

「えぇ、もう感じとれています」


 要である兄弟子さんは――膝をついています。マリスタザリアに囲まれ、いつやられてもおかしくありません。要として、役目を全うしたようです。私の愚かな先入観を申し訳なく思いますが――救出する事で謝罪とさせてください。


『三、二……』

光陽よ(【フラス・サンテ】)拒絶を纏(=【ルフュ)う矢となり(・フレシュ】)貫け(イグナス)――っ!!」

「シーアさん!」

「っ!」


 船が二度揺れ、ライゼさんは遥か上空へ、そしてリッカさまは――真っ直ぐに、矢の如く兄弟子さんの周りに居るインパス目掛け飛翔しました。


 地上から上空へ雷が昇るが如く、ライゼさんはチュイフの前まで高速で移動しています。リッカさまの速さを見ていて慣れている私ですが、ライゼさんの速さも驚きです。反発を利用している、のでしょうか。


(”雷”に、あんな移動魔法があったとは……)

「遅ぇ!」


 ライゼさんは攻撃態勢を整えています。もうチュイフ側は問題ないと、リッカさまに視線を戻す際、稲光が上空で爆ぜました。その後”雷”が真っ直ぐに、クマへと向かっていっています。討伐と足止めを同時に……無駄がありません。


『二体はいけそう――!』


 インパス二体がリッカさまに気付いた時にはもう、私の”矢”が刺さる所でした。上空から襲い掛かる”矢”にチュイフは気付いていましたが、インパスに警告する前にライゼさんによって討伐されていたのです。


「――シッ!」


 一息に右の首を斬り落とし、体を回し更に左へ。”矢”が当たった二体を、リッカさまが一度の回転で首を刎ねました。船から射出後三秒も経たず、形勢逆転です。


「シーアさん、私達も降りましょう」

「はイ。状況はどうですカ」

「ライゼさんがチュイフを討伐。”雷”でクマを足止め。リッカさまがインパス二体を討伐したところです。残りはインパス一体とクマ二体。インパスは恐らく魔法を使える個体でしょう。私の”矢”を避けた後、リッカさまと対峙しています」

「予定通りですネ」

「はい。今のところは、ですが」


 どんなにリッカさまが速くても、インパスならば気付くと思っていました。だからこその強襲。二体倒せたのは重畳です。一体は”疾風”を駆使するようですが――リッカさまを相手に”疾風”は失策です。


「――」

「!」


 私達が船を止め、戦場に到着した時、リッカさまは兄弟子さんに向かって走り出していました。また何か兄弟子さんが? なんて、思いません。リッカさまは既に、見つけています。


 身構えた兄弟子さんの体を通り過ぎたリッカさまは、兄弟子さんの背中側でくるくると剣を回し、勢いをつけました。この時点で既に、インパスが出てくる場所を()()()()()()()()


 奇襲をする為に出てきたはずのインパスですが――傍目からは、リッカさまが振った剣に自ら飛び込んだように、見えました。インパスは何が起きたのか理解する間もなく、顔を真横に、両断された事でしょう。


「今は言うとおりにしてください。兄弟子さん。まだ死にたくないでしょう」

「チッ……」

(何を、やった。こいつ……)


 兄弟子さんはまだ戦うつもりだったようですが、リッカさまの言葉で素直にディルクさんの”盾”に入っていきました。リッカさまが斬った、”疾風”を使ったインパスを見ていましたから、リッカさまが何をやったのか気になっているのでしょう。


「リッカさま。大丈夫ですか」

「うん。大丈夫」

(本当に、”疾風”の出口が分かっているようです。しかも、相手がどんな形で出てくるのかも。そんなのもう、感知とか察知とか、経験でどうにかなるものじゃないです)


 リッカさまが行った事は単純明快。インパスが”疾風”で作った”風の道”を視て、風の揺らぎで出口を確認し、相手の行動を感知して、飛び出してきたインパスに剣を合わせただけです。


 奇襲するのに最適であるはずの”疾風”は、リッカさまがカウンターを打ち込むのに丁度良い魔法でしかないのです。


(とはいえ……”疾風”で消えて出てくるまでの間は、瞬き程度の時間しかありません)


 ”風の道”を目視出来ても対応出来ないと思ったのは、その短い時間も関係しています。恐らく私とシーアさんならば、出てくる場所をある程度絞り込めます。ですがリッカさまは、正確に剣を当てるのです。


 長い歴史の中で、”疾風”した相手に攻撃を仕掛けようなんて考えた人は居ません。いかに”疾風”をさせないか、”疾風”から出て来た敵からどう守るか。そこに駆け引きがありました。


 絶対の先制権……その言葉は、リッカさまだけが使えるものなのかもしれません。


(まさか”疾風”にこんな弱点が――って、リツカお姉さん以外出来ないんですから、脅威な事に変わりないですね)

「ここからが面倒でス。あの熊さんはどんな特性を持っているのでしょウ」


 魔法持ちが出た以上、あのクマにも何かしらの特性があると考えるべきでしょう。魔法を持っていた事もさることながら、あのインパス達は陣形を組んでいました。


 クマが”盾”を叩き、チュイフは空から降りずに俯瞰、そしてインパスは孤立していた兄弟子さんを完璧に囲んでいました。こんなにも統率が取れた動き……嗜虐型は行いません。


(殺意型が、似たような行動を取る事はありますが……それでも、殺すための行動です)


 このような遅延行動は取りません。嗜虐型として愉しんでいたのだとしても、攻めに勢いがないのです。まるで、私達を待っていたような……。


「グルッ」


 その証拠といわんばかりにクマが、”盾”ではなくこちらを見ました。まずは私を強く睨み、じわりとリッカさまへと視線を、移したのです。インパスとチュイフがやられ、自身も強力な”雷”を受けた事で脅威度を更新したとも思えますが……。


『魔法の有無、剣で切れるか、体術は向上しているか、確認するためにまずは私が』

「私が引きつけて情報を引き出すから、二人は観察と攻撃できそうならしてみて」


 リッカさまが敵に向かって走り出しました。敵の考察は後程に回し、眼前への対処にかかるべきでしょう。


(リッカさまにだけ任せるのは……しかし、敵の力を計るのなら……)

「リッカさま、無理だけはなさらぬよう」

「うん、怪我しないようにやるよ」

『兄弟子さんは――ちゃんと”盾”に入ってる。後はクマをこちらに引き寄せるだけ』


 敵から視線を外す事無く、リッカさまが答えてくれました。クマの感電が解ける頃ですから、仕方ありません。


「無理しないとは言いませんでしたネ」


 無理をしなければいけない敵かもしれません。ですから……。

 

「はい。ですけど……怪我しないと約束はしてくれました」


 怪我をしないように、回避専念で居て欲しいと、思うのです。


「さくっとやっちゃいますヨ」

「もちろんです」


 相手の動きに少しでも隙があれば、”光”を打ち込みます。私に出来るのは、それだけです……!



「剣士娘、片方はもらうぞ」

「えぇ、それは構いませんけど……」


 ライゼさんに話しかけられたリッカさまが、少しだけ頬を膨らませました。”雷”を衣類に纏っているライゼさんに近づかれた事で、普段から少しはねているリッカさまの可愛らしい髪が、逆立ってしまったからでしょう。


「ん? あぁ、すまねぇな。許せ。後で巫女っ娘に梳いてもらえ」

『笑い事じゃ――いえ、それは……いい理由ですね。梳いてもらおう、うん』

「許してあげます。とりあえず私たちは、私が様子見に注意を引いて、アリスさんとシーアさんに作戦考えてもらいます」

「……」

「巫女さン?」

「……はっ。何でも、ありません」


 梳くだけでなく、色々な髪型のリッカさまを想像してしまいました。癖っ毛を気にしているリッカさまには、中々言い出せずにいましたが……いつか、やってみたいです。


 思わぬ所で緊張が少し解れました、ね。気負っても良い魔法が出る訳ではありません。リッカさまへの想いを高め、最高の”光”を。


「あぁ。だがあんさんも気づいてるだろう。アイツら硬ぇ上に何かありそうだ」

「えぇ、ライゼさんの”雷”で毛皮が焼けるどころか何一つ変化がありません。それに、”盾”を殴っているところをチラッと見ましたけど、腰が入ってました。破壊力ありそうです」

「あぁ、そしてやけに落ち着いてやがる」


 現在クマは、ゆったりとした動きでこちらを伺っています。その姿は――余り喩えたくはありませんが、リッカさまの動きに似ているのです。つまり……自分の力を確信している訳でも、慢心している訳でもありません。


(強者の足取り……余りにも不気味です)

『強い、()()()がある』

「気をつけろ、剣士娘」

「はい、ライゼさんも」


 こちらも一切、油断していません。同格以上として認識しています。()()を出す事に躊躇はありません。


『斬撃が通るかどうかが、要。この手の相手は……早めに、終わらせたい――!』

「リツカお姉さんが仕掛けましタ」

(リツカお姉さんは受身の戦法と思っていたのですが)

 

 リッカさまから仕掛けた事に、少なからず驚いているようです。


 本来リッカさまは、先手を取るのを得意としています。突撃し、相手の攻撃を誘い出しカウンターを狙うという手順です。


(リッカさまが、攻める方が楽と言っていた理由です)


 相手の攻撃に合わせるのではなく、自分から誘い出した攻撃に合わせる方が断然楽ですから。相手の行動を制御出来る事が前提ですが、リッカさまにはそれが出来ます。


 様々なフェイントを含ませる事で、相手の行動選択の余地を削ります。達人級の斬撃と、本物の殺気を放てるリッカさまのフェイントは、ただのフェイントで終わりません。相手の精神を削り、余裕を刈り取り、行動を安直にさせるのです。


 シーアさんの印象に残っているのは、対人の場合です。相手を傷つけたくないリッカさまは先手を取りません。相手の攻撃を避け続けるか、相手の力を使って投げ、怪我をさせずに制圧するかです。


(リッカさまが先手を取るという事は、相手を殺すという事に他なりません)

「短期決戦です。拘束は可能ですか」


 そして、リッカさまが最速で戦いを終わらせたい時の戦法でもあります。リッカさまの想いに応えるのが私の役目。相手に確実な”光”を当てるために、シーアさんの拘束が不可欠です。


「少し時間がかかりますガ、確実に捕らえられまス」


 シーアさんも、先日の任務で想う所があったのでしょう。拘束に磨きをかけてきたようです。


 元々エルヴィエール陛下の護衛であるシーアさんは、相手を傷つけてでも止めるという覚悟を持っています。王族への不敬は死罪に相当するので、怪我で済むだけマシなのです。


(とはいえ、シーアさんも殺人をしたい訳ではありません。エルヴィエール陛下は資料でしか知りませんが、不敬罪とはいえその場で執行という非道を嫌う人物のはずです)


 拘束を覚えたのは、そういった理由からでしょう。ですがそれは、対人を視野に入れての拘束です。自身の攻撃魔法が通じない敵が出てくる可能性が高まり、拘束をマリスタザリアに使う事になりました。その際、想いが足りなかったのでしょう。

 

(通常のマリスタザリアならば問題なかったようですが、新型は止められませんでしたから)

「リツカお姉さんに伝えてくださイ。クマさんの動きを一瞬でいいから止めて欲しいト」


 一見して、体術の心得があるクマ相手に……ですか。かなりの無理難題ですが……あの敵を止めるためならば……。ですが――。


「えぇ、確実なのをお願いします」


 機会は一度と思ってください。


「もちろんでス」

「リッカさま! 光の(【フラス)槍よ(・ランツ】)()眼前の(【ファデ)(ファイ)()刺し(ピアス】)貫け(・オルイグナス)


 リッカさまが体勢を立て直せるように、クマへ”光の槍”を放ち牽制します。当てるつもりで放ったのですが……避けられてしまったのです。その時点で、先日の体術を使うマリスタザリアと同等の敵と確定しました。


(そして……)

『作戦は決まったけど――』

「剣じゃ、無理かな」


 リッカさまの剣が、通りませんでした。想定していた事とはいえ、これでは……リッカさまの負担が、増えてしまいます。


『久しぶりだけど、投げるならこれしかない』

私に……更(【フォルテ】)なる力を(・オルイグナス)!!」


 リッカさまの膨大な魔力が、世界を赤く染めました。その魔力はリッカさまの想いによって、”強化”となって体を覆います。集落で初めて見た、リッカさまの魔法。それを超えそうな強度です。それだけに……不安が過ぎります。また、体に異常なまでの負担が掛かっているのではないのか、と。


(ですが……剣が通らない以上、動きを止めようと思ったら投げるしかありません)


 もしくは、木刀で足を折るか、ですが……何にしても、オルイグナスは……必須です。投げさせないために、私がすべき事は――。


「いくよ。――私の剣に(【フラス・ラム)強き光を(】・オルイグナス)!」

拒絶(【ルフュ・)の矢よ(フレシュ】)()降り注げ(【ナフキシュ】)()私の想(【グフュ)()を受け(シュラン)(】=)眩き(【ペアファ)穿孔(・ラチオ】)を――(・オルイグナス)!」


 リッカさまが走り出す直前、私の”光の矢”が降り注ぎました。ただ降り注ぐのではなく、直撃した部分が抉れるように想いを込めた魔法です。しかしこれでも、余裕を少し削る程度の効果しか生み出せません。”剥離”には至っていないのです。


(やはり、速度を犠牲にしてでも”光の剣”か”光の槌”でなければ……)

『がら空き、だよ!』


 最短最速で敵のもとに辿り着いたリッカさまは、木刀を振りぬきました。一度しか振っていないように見えますが――。


(二……いえ、三、でしょうか)


 顎、腹、膝裏にリッカさまの攻撃が入ったようです。全て、相手の行動を止めるのに最適な場所です。なのに……クマには、効いていません。私の”光”を浴びながら、リッカさまの攻撃を受けて尚……余裕を削りきれません。


「そろそろいけそうですネ――」

「シーアさん、まだだめ!」


 リッカさまの叫びにも似た静止は、第六感から来るものでした。リッカさまがずっと感じていた()()()が、形になったのです。


 この時を待っていたとでも、いうのでしょうか。クマの周りに、”悪意”が集まっているように見えます。こんなにも、濃いものが、何故……? それに、見えるという事は……この”悪意”は――。


「っ! シーアさん、魔法はまだです。悪意が立ち込めています。私の”盾”に!」


 新手を警戒し、”領域”でもって防御を固めます。リッカさまも呼ぼうとした時――”悪意”が意思を持っているかのように、蠢きだしました。

 

「なに、これ」

「――なんだ、圧が増した?」


 リッカさまの呟きは小さく、か細いものでした。無理もありません。新手などではなく、既にマリスタザリアとなっているクマ二体に、”悪意”が入っていっているのですから。


(ありえない――しかし、現に……つまりこれは――)

「ライゼさん、悪意が熊ニ体に吸い込まれていきました。まずいです。より強化されるはずです!」


 リッカさまの警告が全てです。目の前のマリスタザリアは、今までに出遭ったどの個体よりも強いです。


「悪意が、溢れてる」

『体に入りきれなかったのか、悪意が外に出て……? いや、受け入れ切れなかった? 物理的な許容ではなく、精神的な……?』


 溢れる程の”悪意”を受けたクマの変質はもはや、動物という殻を脱ぎ去っていました。まさに、悪魔です。毛皮はハリネズミの如く硬質な針となり、牙は何重にも生えています。


(あの毛皮では、掴めません……! それに、あれに噛まれたら、いくら核樹といえども……っ)

「剣士娘、こっちはこっちで手一杯だ」

「はい」


 膨張した筋肉は、筋繊維が浮き出ているようで、気持ち悪いです。ギラギラと光る目は血走り、焦点があっていないようにもみえますが――リッカさまを捉えて離しません。


 ライゼさんの救援は見込めません。あの相手ですと、ライゼさんが死なない事を祈った方が良いでしょう。


(失敗しました。こんな事なら、最初に”アン・ギルィ・トァ・マシュ”を打ち込むべきでした……!)


 あの”悪意”は完全に、()()の制御下にありました。ここで、私の一撃で倒せたとしても……次の”悪意”を投入され、ウマがマリスタザリア化するかもしれないのです。


(今の状況では、動けなくなる”アン・ギルィ・トァ・マシュ”は悪手になりえます……!)

『マリスタザリアにもう一度悪意が入る事って、ありえ――――っ!?』

私の領域を守る(【シルテ=ドム】)強き盾よ(・オルイグナス)!」


 リッカさまが目を見開く程の速度で近づいたマリスタザリアが、拳を振り上げていました。シーアさんを囲む程度だった”領域”を広げるという、無理な追加命令も――リッカさまを想えば可能でした。ですが――。


「つぅ……!」


 ほんの一瞬、拳を止める事が出来ただけです。”拒絶”を含み、弾く事に重きを置いたはずの”領域”が、弾くことすら出来ずに音を立てて割れました。


 杖がなければ、衝撃で吹き飛んでいたかも、しれません。ですが今度こそ、守れました。リッカさまはちゃんと、安全な距離まで下がってくれています。


「アリスさん、ありがとう。無事?」

「えぇ……。ですけど、次は防げそうにありません」


 こんなにも力強く、簡単に壊されるとは、思いませんでした。”領域”はもはやただの薄硝子でしかありません。次の一撃を防ぐには、もっと強い”盾”を用意する必要があります……。


「少し休んでて、私が押さえ込むよ。シーアさん、いけそう?」

「えェ、いつでモ。ですが速いですネ。一瞬止めるだけでは無理そうでス」


 相手の変質による問題は、攻撃力上昇だけに留まりませんでした。シーアさんの想定よりもずっと速い所為で、一時停止では足りなくなってしまったのです。つまり――リッカさまによる、完全停止が必要と、なりました……っ!


『私にしか、出来ない……だからっ……』

「なんとか、する!」

(もはや、木刀では止められません。深々と地面に突き刺すように――投げる、しか――っ)


 私しか使えない、最強の魔法があっても……使えなければ意味が、ありません。何て、無力な……っ!



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