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六花立花巫女日記 外伝  作者: あんころもち
14.抱擁
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歯車③



(シーアさん……やはり無許可でこちらに来たのですか)


 反対されていたと聞いた時から、もしやとは思っていましたが……。それは……怒られて当然ですね。こうやってまだ王都に居るのですから、許可は頂けたのでしょうけど。


(心配させるのは、感心出来ません。エルヴィエール陛下の気持ちを考えると、複雑です)


 シーアさんが居なくなってから……今も、きっと……エルヴィエール陛下は心配で心が張り裂けそうになっているでしょう。ですが……こうやって共に任務に就く以上、シーアさんにも頑張って貰います。その先の、魔王討伐も含めて。


(魔王討伐を視野に入れての王都滞在でしょうから、ね)


 だからこそ、エルヴィエール陛下の事が心配になってしまうのですが……今は私の仕事をします。


『シーアさんはお姉ちゃんっ子、と。もし弄られそうになったら、反撃に使おう――ん? アリスさんが魔力を……浄化かな』

「リッカさま、”浄化の光”を」

「うん。クリストフさん。この場に居る全員に、一列に並ぶようお願いして頂けませんか」

「? 畏まりました」


 用心は大事です。私達の脳裏には、ギルド襲撃犯の姿が鮮明に残っています。もしこの隊商に紛れ込んでいたら……という思いを捨て切れません。今のうちに浄化しておくことで、少しでもその可能性を減らしておきます。


(魔王による工作だったら……意味はありませんが)

「少々驚くかもしれませんけど、ご安心ください」

『私は、周囲の警戒を』


 一列に並んでいる方達を、五人ずつ浄化していきます。室内なら一度で済みますが、ここだと”浄化の世界”は使えません。その分、奥底まで診ていきます。先ほど思った通り……意味のない物になるかもしれませんが。


 もし、あのギルド襲撃が魔王の一手だとしたら、おかしな事が多いからです。私達が判断できる”悪意”だったというのに、ギルドにあの方が入ってくるまで気付けませんでした。つまり、それまでは”悪意”が無かったか、隠れていたのです。そしてギルドに入った瞬間、マリスタザリア化したのでしょう。この事から、操作されていたのです。あの人も、”悪意”も。


(だから……意味のない物かもしれません。後々”悪意”を込められるかもしれないのですから。ですが……ですが、です。ここで何もしないという選択肢はありません)

「ご協力ありがとうございます」

「いえ、お礼を言わなければいけないのは我々です。ありがとうございました。連絡を出さずに済むのが一番ですが……もしもの時はお願いします」

「はい。いつでも駆け付けられるよう、準備しておきます」


 浄化を終え、隊商の方達を見送ります。このまま無事に終われば良いのですが……それは楽観です。少数の行商ですら、マリスタザリアを呼び起こすのです。それがこんな大人数になると……。


(護衛の数は意味がありません。マリスタザリア相手となると、小隊でも犠牲が出る場合があるのです)


 兄弟子さんがこの隊商の要です。ですが……がさつで、安心させるような言動を取る事はないでしょう。行商の方達と兄弟子さんの間に信頼関係がない以上、兄弟子さんが居るからと安心する事はありません。


(シーアさんが着いて行った方が、圧倒的な安心感を与える事が出来るでしょう)


 ですが、これもまた難しいのです。シーアさんは広範囲を攻撃しながらもマリスタザリアを討伐出来る唯一の”魔女”です。王都に居る事の意味が、大きすぎます。


(もしかしたら、ライゼさんよりもシーアさんの存在の方が大きいのではないでしょうか。共和国がそうであるように、王都でも……)


 だから、隊商に組み込めなかったのです。シーアさんが一部隊に付きっ切りというのは、様々な面で悪手と言えるでしょう。


 ディルクさんが居るなら、大事には至らないと思います。この隊商にも、そんな雰囲気が流れていますから。


(防衛班の長、ですか。()()()の時、ライゼさんの口から何度か出てきましたね)


 私が、ライゼさんが遠出した時の王都防衛はどうしているのかと尋ねると――ディルクが居るから、俺が遠出出来る、と言っていました。強い信頼関係を築いているようです。その信頼に見合う実力もあるのでしょう。


 ”盾”だけで見れば、私の”盾”よりもずっと強固な物を作れるとライゼさんが言っていました。守りはディルクさん含む防衛班が完璧にこなすはずです。


(だからこそ、攻撃役の兄弟子さんの役目は重大なのですが)


 私達から話しても、兄弟子さんは聞きません。自分で気付くか、年長者から諭されるか、です。


(一番の適役が、一番頼りないのが問題ですね……)


 何処かに、兄弟子さんを諭せる良き大人が居れば良いのですが――。




「でハ、警備をしましょウ」

「……」

『やれる事は、やったはず。でも……胸の、ざわめきが……止まらない』


 シーアさんは歩き出しましたが、リッカさまは隊商をずっと見ていました。嫌な予感を感じているようです。


(リッカさまの第六感……)


 誰もが持つ第六感ですが、それはあくまで数瞬後に起こり得る()()しれないと感じる、曖昧な物です。ですが、リッカさまは違います。アルツィアさま曰く、能力なのです。類稀なる感覚と遥か未来を見通す思慮が合致する事で生まれる、予知に近い物です。


(ほぼ確実に、何か起こるのでしょう)


 とはいえ、気にしすぎても現状では何も出来ません。この隊商を止める事は出来ませんし、ついて行った場合、王都にはライゼさんしか戦力が居ません。シーアさんが残れば何とかなるでしょうけど――それはシーアさんに頼りすぎです。


 戦力の釣り合いを考えるなら、私達はここに居るのが最適のはずです。何か起きた時の為に、先程すり合わせをしたのですから。連絡が来ない事を祈りながら、全力で対応出来るように準備だけはしておきましょう。


「リッカさま」

「うん。いこっか」

「まずは牧場ですネ、様子を見ておいたほうがいいでしょウ。リツカお姉さんがまた泣かなくていいようニ」


 クふふふ、とシーアさんが笑っています。弄り方がライゼさんに寄っていますね。影響を受けやすいのでしょうか。何にしても――。


「シーアさん、あまりおふざけがすぎますと……」

(エルヴィエール陛下の件を持ち出さないといけなくなります)

(……これがギリギリでしょうか。もう一歩踏み込むと、反撃が来ますね)


 乗り越えたリッカさまにその弄りは、羞恥を感じる物であっても落ち込む物ではありません。なので反撃せずに牽制で留めていますが、分かっていますね? それ以上はダメですよ。


「ふふ、そんなに泣かないよ」

『これくらい和気藹々としてた方が良いね。緊張しすぎても変えられない。もしもに備えて、万全で居るのが最善』

(やっぱり……リツカお姉さんの方が落ち着いてますよ。お師匠さん) 

 

 牧場に向かうとしましょう。昨日の今日という事で、リッカさまの足取りが少し重いようですが――見回りで牧場に向かわない訳にはいかないので、我慢してください、ね?



 今日の牧場は、ホルスターンの多くが解き放たれています。先日見た、牧舎に居た数より多く感じますが、あの後仕入れでもしたのでしょうか。


(数が増えた事を知れただけでも、見回りに来て正解でしたね)

「おや、巫女様方。どうなさいました」

「はい、見回りをしてます。今日は神誕祭の準備で人手が足りていないので」


 神誕祭の詳しい日時はまだ知りません。私が生まれてから知る事となったアルツィアさまの誕生日が、神誕祭と被るという偶然があるとは思えませんが――もしそうであっても、アルツィアさまからすれば、それもまた運命というでしょう。


 この世界には運命というものがあると、いつも言っていました。私も、それを感じています。


 周囲の感知と警戒を兼ねて視線を左右に振りながらも、リッカさまを視界に入れると私の首は止まってしまいます。僅かに、誰にも気付かれないように、私の運命を見てしまうのです。


「巫女様方が見回りとは、心強いです。どうでしょう、軽食でも」

「いえ、任務中ですので、今回はご遠慮させていただきます。ここに悪意は感じませんけれど、十分にお気をつけ下さい」


 任務中ですし、リッカさまはやはり恥ずかしいのか、私の背中に隠れるようにして静かに肩を縮こまらせています。その姿はさぞ愛らしいのでしょうけど、視界の端でしか確認出来ずに悔しい限りです。出来るならしっかりと見たいのですが、そうするとリッカさまを隠していられません。


(食べないんです? 私だけでも頂きたいですが、任務中というのなら私もですし…………昼食はホルスターン料理にしますか)

「心遣いありがとうございます。任務が無い時に、またきますね」


 流石にずっと隠れている訳にもいかないと、リッカさまがひょこりと私の影から出て、酪農家の方にお礼をするように、にこりと微笑みました。リッカさまの笑顔と、普段と変わらない姿を見て、酪農家の方たちも安堵したようです。


「はい、ぜひ。また三人でお越しください。注意のほうは私のほうからお伝えします。それでは」


 ほっとした表情を浮かべ、仕事に戻っていきました。神誕祭の準備が始まっているというのであれば、酪農家の方達も大忙しでしょう。私達は遠目から、もう少しだけ観察した後離れるとします。


「悪意の感知ってどんな感じなんですカ」


 私達が感知している姿を見ながら、シーアさんが首を傾げています。魔力の察知や目を凝らしたりしながら、感知出来るか試しているようです。


「胸の奥がチリチリするような?」

「頭の奥で警鐘がならされるような感じですね」

「嫌な予感の最上級って感じですカ」


 私の感知はこの説明で言った通りの物でしかありません。ですから、一般的な第六感の延長でしかないと言えます。ライゼさんよりちょっと鋭い程度です。一般の第六感よりは確かで鋭い物ですが、現状では()()()()()


「そうだね。確実にそこで何かが起きる、起きてるって分かるから、誰よりも早く対応できるかな。だから本当は、警備とかは私たちがしたほうがいいんだけど……」

「そこまでしてたら身が持ちませんから」

『気配探りと違って、悪意感知は……なんか別な感じなんだよね』


 毎日、浄化診察で得た”悪意”の情報を共有しています。その度にリッカさまの感知は成長しているのです。制御は手放してしまいましたが……感知の鋭さは日に日に高まっています。範囲、正確さ、速さ、どれも私の遥か上です。


 だから……私の感知は足りないのです。私がもっと、ちゃんとした感知が出来たなら……。


「そこまでしてたラ、いざというとき動けないでしょうしネ」

(まァ、リツカお姉さんは制御出来ていないという事ですけど。だからこそ、隊商護衛までやってたら身がもたないです。遊撃が最適でしょう。巫女が王都に居るっていう事に意味がある訳ですし)


 私達はあくまで……遊撃です。それ以外は、王都の大通りと広場周辺を観るだけで良いでしょう。見渡しが良いところであれば、リッカさまの心労も少しは防げます。目視で警戒出来る方が、気を張らずに済みますから。


「でモ、今日は頑張ってもらいまス。私も居ますから戦いはむしろ楽ですヨ」

(感知は私には無理ですから、その分戦いは私に任せてください)


 昨日、宿の休憩所で話した分――だけではありませんね。シーアさんはもっと深い所まで知ったようです。こんなにもやる気に満ちているのは、リッカさまを特別視しているからでしょう。


「えぇ、頼りにしてます」

「うん、頼りにしてるよ」


 リッカさま以外に、こんなにも素直に頼りにしていると言えたのは、初めてです。お茶目が過ぎますが、シーアさんを信頼する気持ちに偽りはありません。少々()()という認識は、変わりませんが……。


(シーアさんはきっと、リッカさまの事を――)

「休憩は小まめにとっておこうか。行動範囲広い上に、連戦になるだろうから」

「えェ、もちろんでス」

「はい、リッカさまに無理なんてさせません」


 敵の質次第では、私達が出る間もなくリッカさまだけで討伐してしまうでしょう。それは確かに、理想的な迅速さです。ですが私にとっては理想ではありません。リッカさまが倒すよりも早く、負担を減らすために”光”を当てます。


 いつでも撃つ準備は出来ています。ですから――無理はいけませんよ、リッカさま。無理しようとしているの、伝わっていますから、ね?




 牧場から離れ、一旦街に入ります。大通りと広場を、ゆっくり行き来するつもりです。


「お師匠さんからですネ。機械っていうのを聞いたんでス。どんな物なんですカ?」


 その間リッカさまは、シーアさんの質問に答えています。向こうの世界への興味は尽きません。シーアさんならば尚更でしょう。私は、まぁ……リッカさまさえ居たなら、地の果てであろうとも、楽園ですが。


「んー、説明が難しいなぁ。電気信号を使って、遠くの人に声を届けたり、映像を送ったり、文字を送ったり。情報をやり取りしたり?」

「ふム。魔法みたいな事が誰でも出来る訳ですネ」

「うん。誰でも扱える分、便利だとは思うよ。魔法と違ってお金がかかるけど。道具も要るから、何処でも出来るって訳でもないし」


 一長一短ですね。誰でも平均的に扱えるというのが利点ですが、魔法のように場所を選ばない訳ではないようです。お金が掛かるというのも、大変です。生活に必須のようですし、負担は大きいでしょう。聞けば、水や火ですらお金がかかるそうですから。


「魔法がない代わりに、機械文明が発達したそうです。ただ、世界が変われば考えが変わります」

「ですネ。もしかしたラ、魔法と機械が共存していたかもしれませんシ。それはそれデ、私には魅力ですガ」

『私は、本音をいえば魔法だけの世界の方が良かったり』


 リッカさまは、そうですね。リッカさまの世界では機械化が進んだ所為で、自然が壊されているそうです。それは好ましい状況ではありません。ですから、こちらの世界の方が魅力的なのです。


 ただ――こちらは比較的自然を大切にしていますが……それも、時代が進めばどうなるか。人が住むために森を開拓している所も増えているそうです。


 人口は現在増減を繰り返していますが、マリスタザリアの問題が落ち着けば増加傾向となるでしょう。そうなった時……森の間伐が進むと、想像出来てしまいます。


(人が生きるという事は、何かを奪う事です。ですが、還元は出来るはずです。国が落ち着いたら、植樹等の活動を推進するよう、嘆願してみましょう)

「リツカお姉さんは持ってないんですカ? 機械」

「スマホ――”伝言”みたいに遠くの人と会話したり手紙を出せる機械を持ってたんだけど……日記と一緒に、”神の森”にある湖の底じゃないかな」


 情報、新聞やお触れ等を見る事も出来るそうです。凄く便利な機械があるそうですが、残念ながら現物はありません。”神の森”の結界を維持するためにリッカさまの日記を使っているのですが、その日記と一緒に向こうの世界に置き去りとなっています。


『スマホより、花見のために買った甘酒の方が……惜しかったり』


 こちらに来る直前、リッカさまは”神の森”の核樹で花見をしようとしていたそうです。花見をしながら、日記を読み返したり書いたりして、まったりと過ごす予定だった、と。


 その際、甘酒という物を初めて飲もうと思っていたと聞いています。お酒という事ですが、アルコールは殆ど入っていません。酒粕とお湯に、砂糖などで甘みを加えて作るそうです。


 お目出度い日に飲む事が多く、美味しいと聞いていたから飲んでみたかったと、リッカさまは落ち込んでいました。


 もしこの話を”神林”で聞いていたら、アルツィアさまに詰め寄っていたかもしれません。せめてリッカさまの花見を待つくらいは出来なかったのか、と。


(当然、早く逢えるのならそれが一番ですが……)

「すまほですカ。”伝言”や”転写”みたいな事が出来るとハ。確かに便利でス。どうやって使うんでス?」

「向こうでは”伝言”は電話っていうんだけど、番号で送り先を決めるんだ」

「魔力がないからですカ?」

「そうだね」


 一応、魔力に目覚めてテレパシーと呼ばれる魔法じみた事が出来る人は居るそうです。ですけど、電話がある世界でテレパシーが使えるといっても……それは、芸でしかないのかもしれませんね。


 こちらで機械が急に現れたとしても、魔法で良いんじゃ? と言われそうです。


「スマホは板状で、その板に画面っていうのがついてて、その画面に数字とか文字が浮き出て、それに触ると反応するんだけど――って、口で説明するのは難しいかも……」

「想像は出来ますけド、原理とか数字とか文字に触るっていうのが気になりすぎますネ。やはり現物を見たいでス!」

「日記だけ置いておけば良かったはずなんだけど、カバン毎取られちゃったみたいで」

『多分、こっちに向こうの技術を持ってこないようにって感じだと思うけど』

 

 アルツィアさまなら、そう考えていそうですね。ですが――アルツィアさまは結構、せっかちと言いますか、思い立ったらすぐといった面がありますから……。リッカさまをこちらに呼べるとなり、何も考えずにリッカさまだけを連れて来た可能性も……。


「こちらと違うのっテ、機械くらいですカ?」

「んー、食生活も微妙に違うかも。こっちは生鮮が主だけど、向こうは冷凍物が多くて」

「冷凍ですカ? 余り美味しくなさそうですネ」

「それが、リッカさまの世界では冷凍技術が高いらしく、一年前に凍らせた物も美味しくいただけるそうです」

「えっ!? で、でハ……旬の食材をいつでも食べられるんでス!?」


 機械よりも、こちらの話題の方が食いつきが良いですね。


「生鮮自体減ってて、加工品や冷凍物が主になってるんだ。採れる時に採って、冷凍してーって感じ。解凍もボタン一つで出来るしね」

「な、なんト」

「二、三分あれば、調理済みの物が出てくるよ」

「楽園じゃないですカ」

『まー……うちは冷凍食品を嫌ってたから、手作りが主だったけど。食材はどうしても、冷凍物になっちゃう。偶に買える生鮮なんてすぐに売り切れちゃうし、養殖出来る種類にも限りがあるし。とういうより、田舎すぎて品揃え自体が』


 料理に力を入れ始めた私としては、冷凍食品というのは少々複雑です。ですが、スープ類を美味しく冷凍出来るのならしたいですね。どんな時でも最高のスープを出せるようになりたいですから。


(王都に来る前、スープを冷凍しましたが……味が落ちてしまっていましたから)

『今はもう、冷凍食品とか食べられないかも。アリスさんを知っちゃったらもう、他じゃ満足出来ないよ』

「ひゅっ!? けほっ! けほっ!」

「ア、アリスさん!? 大丈夫!?」

(どうしたんでしょう。巫女さんが急に咳き込みましたけど。料理の話題だから何か思う所があったのでしょうか)


 リッカさまに背中を擦られながら、俯いたまま固まってしまいました。今顔を上げると、シーアさんに弄られます。一体何を考えていたのか、と。すぐに分かってしまうくらい、顔が緩みニヤついてしまっています。


(リ、リッカさまの言葉足らずが……直撃してしまいました)


 心の声で良かったです。声に出していたら、別の意味に聞こえてしまっていたでしょう。シーアさんに根掘り葉掘り聞かれていたかもしれません。


「だ、大丈夫です。リッカさま」

「本当……? 少し座ろっか」

「は、はい」

「それでハ、私は少し飲み物を買ってきましょウ」

(ついでに何か食べ物を)

「ありがとう、ございます」

「ありがとう、シーアさん」


 変に息を吸ってしまった所為で、胸が痛いです。ドキドキしすぎっていうのも、あるのでしょうけど……。

 

(それにしても……)


 私の思考って、かなり……俗すぎるのでは、ないでしょうか。過敏に反応しすぎというか、何というか……。


(はぁ……)


 仕方、ないでしょう、私はリッカさまと、その…………ああ、もう……シーアさんがお水を買ってきてくれたら、頭から被るとしましょう。頭を冷やさないと、リッカさまの顔を見る事すら出来ませんから……。



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