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六花立花巫女日記 外伝  作者: あんころもち
13.桜とツァルナ
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花②



「本日お二人には一般依頼をやっていただこうと思っています」


 マリスタザリアの依頼がないので、予定通り一般依頼です。頼んだ物以外はアンネさんが見つけてくれたので、私も少し楽しみです。


「そんなに難しいものはございません。どうぞお選びください」


 渡された依頼は以下の通りです。


 ・落し物の捜索(婚約指輪) 当日のみ。

 ・花屋の売り子(制服持参) 

 ・牧場の加工場の手伝い 当日のみ。

 ・学校での講話(巫女関係) 十日まで。


 これが、一般依頼ですか。落し物探しや農家のお手伝いは、リッカさまもやった事がありましたね。ボランティアを始めたばかりの頃、苦労していたのを視ています。


「落し物の捜索、加工場、講話はなんとかなるとして……売り子は私には難しいかも。物が分からないし、文字も……」


 確かに、今のリッカさまには難しいかもしれませんが……一番受けて欲しい依頼ですから、何とか受ける方向に持っていかなければ。


「制服持参とはどういうことでしょう」


 私も一つ疑問があるので、尋ねます。依頼内容について、私は関与していません。花屋のお手伝いはないか、とだけ聞いたものですから……。


「はい。お二人のあの制服です」

「……えっ」


 リッカさまがぽかんとした表情で固まってしまいました。これは……いけません。宿のアルバイト中ならまだしも、花屋でまであの服は……リッカさまが躊躇ってしまいます。


「この依頼を受け取った際、巫女様方に回すかもしれないと伝えたところ、そう条件が追加されました」


 売上の問題、でしょうか。宿の休憩所は、私達が入る様になってから売り上げがあがったそうですし、花屋もそれを狙っているのかもしれません。


「宿の制服を他のお店で使っても良いのでしょうか」

「宿の主人に聞いたところ、休憩所の宣伝にもなるから構いません、と」


 当然ながら、アンネさんが依頼に組み込んだのですからすでに手回しは終わっていますよね。制服は必須のようです。私は構いませんが、リッカさまは出来るだけあの服を着たくないようですから……。


「……」

『苦労はするだろうけど……花屋かぁ。行ってみたい』


 制服の問題よりも、花屋で働いてみたいという想いが強いようです。もう一押しですね。リッカさまは揺らいでいます。


「二手に別れて、というのはどうでしょう」

(最終的に花屋で合流という形にすれば、時間をより多く取る事が出来そうです。アルレスィア様が講和に――)

「「別れては無しでお願いします」」


 アンネさんの提案は、効率という意味では最適です。マリスタザリア戦とは違うので、私達個人であっても対応出来るでしょう。落し物探しと牧場のお手伝いは、『便利屋リッカさま』の経験が生きるはずです。


 しかし、私はリッカさまと離れたくありません。そう想い断ったのですが――リッカさまも、同じ想いだったようです。任務への向き合い方としては間違えているのでしょうけど、こればっかりは仕方ないのです。


「……お二人のほうが、売り子にしろ講話にしろ喜ばれるでしょうから。それで構いません」

(やはり、別れては無理でしたか。となると、三つが限度でしょうか)


 恐らくリッカさまは、場合によっては二手に分かれるという選択を取るでしょう。心から私と離れたくないと想ってくれていますが、リッカさまは任務に忠実なお方です。これらの依頼を一日でやろうと考えると、二手に別れるのが一番ですから……。


(そうなると、もう一押し必要ですね)

「出来て三つですね」

「んー……」

『やっぱり、二手に別れた方が良いのかな……。私が落し物探しと牧場のお手伝いをしている間に、アリスさんが講話をする。そして終わった方から花屋の手伝いに……? 講話だけなら、昼過ぎくらいには花屋の手伝いにいけるはず』


 それですと……リッカさまが花屋の手伝いに向かえるのは何時になるか……。探し物がすぐ見つかるか分かりませんし、牧場も内容によります。講話に関しても、昼過ぎ開幕かもしれませんから、話を聞いてからでないと……。


「――でしたら、十日までとなっている講話の依頼を調整しましょう」

(牧場の方は、出来るだけ受けて欲しいという念押しをされていますから、調整という形に出来るのは講話だけです)


 アンネさんが私の意図を汲み取ってくれたようです。一般依頼を蔑ろにしている訳ではありませんが、花屋の依頼だけは絶対に、それなりの時間を取りたいのです。


「では、落し物の捜索、加工場、花屋のお手伝い。でよろしいでしょうか」

「はい、お願いします。まずは落とし主の元へ参ります」

「かしこまりました。広場に依頼主の方をお呼びいたします。そちらへ向かって下さい」

「は、はい」

『んー……良いの、かな?』


 落し物探しをして牧場へ、そして花屋へ向かいます。加工場のお手伝いというのが、どのような物かは分かりませんが……三時間程で解決出来る事を祈りましょう。


「では」

 

 リッカさまの迷いを断ち切るように、素早く行動を開始します。リッカさまの休息探しではありますが、一般依頼を受けた以上冒険者として解決に尽力する事は変わりません。


『せっかくアリスさんが、私の我侭を聞いてくれてるんだから、気持ちを切り替えよう。まずは落し物探し。便利屋立花として、頑張るっ』


 リッカさまが行っていたボランティアの延長です。国民の日常に直接触れる機会ですから、少々楽しみです。


 王都から一歩出ればマリスタザリアに遭う様な時代ですが、王都内は平和なものです。それを感じられるだけでも、リッカさまの気力が回復するでしょう。


(それに、いくら外を歩けば注目を浴びると言っても、任務に集中している状態ならば普段よりも気にならないはずです)


 後……一般依頼を、一生懸命に全力で取り組むリッカさまを見れば――未だにリッカさまの評価を迷っている方達にも、分かってもらえるはずですから。




 朝方の広場という事で、人の往来が盛んです。そんな中で一人の男性が、キョロキョロとしながら立ち止まっていました。きっと、あの人がそうです。


『あの人かな。ここは慣れてる私から声を掛けよう』

「あの、落し物捜索の依頼を出された方でしょうか」

「は、い……まさか本当に、巫女様方が来て下さるとは」


 リッカさまが声を掛けると、男性は驚いたように後退りしました。こんな時でもなければ、リッカさまから声を掛けられる事はありません。ですから、驚いたのです。相手を安心させる為に、リッカさまは優しい声音で話しかけましたから……ドキリとしてしまった事でしょう。


「あ、あの……投げたりしませんから、ご安心ください」

「えっ!? あ、いや、そんなつもりではっ!」


 ただ、リッカさまは()()()()()()にはまだまだ疎いです。特に、自身に向けられた物は……。なので男性が後退りした理由を、噂の所為と思ったようです。つい先日、大男の腕を締上げた所ですし……マリスタザリアを投げたという噂は、未だにじわじわと王都を巡っているようですから。


「コホンッ。では、詳細を教えていただけませんか」

「っ!?」


 私の咳払いに肩を震わせた男性に、依頼の詳細を尋ねます。咳払いで驚くという反応を見せましたが、なぜそんなにも驚いてしまったのでしょう。リッカさまに邪な感情でも持っていたのでしょうか。


(そうは感じませんでしたが……)

 

 どんな理由で驚いたにしろ、この男性に恐れられていると思ってしまったリッカさまは……私の後ろに隠れるように立ち、男性から離れました。リッカさま主導で行動する予定だったのですが、致し方ありません。私が尋ねます。


(や、やっぱり……あの噂も本当なのか……? 巫女様は、赤の巫女様が関わるとって奴……)

「はい……。実は、四年付き合った彼女に結婚を申し込もうと指輪を買ったのですが、それを今日なくしてしまって」


 結婚前というのに、リッカさまに見惚れたのですか? 指輪を失くしたというのもそうですが……お相手の方が不憫でなりません。


(呆れるのは後ですね。 依頼を進めましょう)

「その指輪はどのような物ですか?」

「装飾としてダイヤを散りばめていました」

『指輪の種類は、ぱべ……ぱ、なんかそんな感じのものかな。お母さんから聞いた事がある』


 指輪にも、色々あるのですね。男性が身振り手振りで指輪の形状や特徴を伝えていますが……リッカさまには伝わったようです。男性の説明は簡素ながらもしっかりとしたものでしたが、私はぴんときませんでした。残念ながら私は、装飾品に対しては無知なのです。


(今でこそ、結婚指輪含む装飾品に……僅かに、少々、そこそこ……興味が出ています、けど)

「どの辺りで落としたか、何か思い当たることはございませんか」

「歩いた場所は……宝石店から広場を通って、自宅までです。寄り道はしていません。箱に入れていたのですが、箱ごと……」


 少々雲行きが怪しくなってきましたね。結婚が決まって浮かれていたというのなら、落とした可能性が高かったでしょう。ですが、寄り道を一切せずに自宅へ戻ったのに失くしたというのは、一つの可能性を示唆しています。


「その帰り道で、人とぶつかった、人通りが多かったなどはありませんか」

「体の大きい筋肉質な人と。恐らく冒険者だと思うのですが、ぶつかりました。鞄を手放してしまって、その方が拾ってくれたのです」


 お人好しが、過ぎますね。リッカさまも苦笑いを浮かべそうになっています。


 帰り道を正確に覚え、事細かに状況の詳細を話せる男性が、落として気付かないという事は殆どないでしょう。なので可能性として最も高いのは、窃盗です。


「……その際、中身の確認はしなかったのですか?」


 少々、声に落胆が含まれてしまった事をお許しください。その場で確かめるなりしていれば、という思いを捨てきれません。

 

「はい。鞄は閉まっていましたから」


 鞄を閉めたままでも、物を抜き取る魔法はいくらでもあります。ですが今回は、魔法を使わずとも良かったでしょう。体の大きい男性とぶつかったと言っていました。大事に抱えていたであろう鞄を手放す程の衝撃があったのです。つまり男性は目を瞑るなりしているはずです。


(手馴れた者ならば、その隙に抜き取る事は可能です。手癖の悪い事ですね)

「分かりました。私たちはその冒険者の方に話を聞きに参ります。依頼主さんは、通った道をもう一度ご確認をお願いします」


 少々手荒い事になりそうですから、男性には離れて貰いましょう。窃盗犯が同じ場所をうろつく事はまずありません。再び大通りに来るにしても、現金化してからです。


「じゃあ、まずは」

「はい。買取所ですね」

『穏便に済めば良いけど……』


 男性と一旦別れ、私達は王都にいくつかある買取所に向かいました。この王都にある買取所は三箇所です。


(ですが、それはあくまで地図に載っている正規の買取所です)


 その正規買取所では、指輪の買取はなかったそうです。大男の来店があったかどうかは、分からないと言われました。一軒は本当にわからないようでしたが、残り二軒は隠していました、ね。いくら私達が捜査中の選任冒険者とはいえ、信用商売である買取所では個人情報の管理が徹底されています。令状でもない限りは開示してくれないでしょう。


(とはいえ、指輪の買取はなかったとだけは教えてくれました。そうなるとやはり、裏を探すしかありませんね)

「リッカさま、アンネさんに連絡して他に買取所がないか聞いてみます」

「うん、お願い」


 ”伝言”を発動させ、アンネさんに連絡を取ります。その間リッカさまは、裏ルートの可能性と状況を整理してくれているようです。


《はい、どうなさいました?》

「落し物の件ですが、落とした訳ではない可能性が出てきました」

《と、いう事は……正規の買取所の方はどうでした?》

「指輪の買取はなかったそうです。犯人と思われる人物が入店したかどうかは、令状がない限りは教えてもらえそうにないです」

《そうですか……。ではそちらは私共が担当します。アルレスィア様達は、王都東部の小道に、非正規の買取を行っているかもしれないお店があります。まずはそちらをお願い出来ますか》

「分かりました。すぐに向かいます」


 かもしれないお店ですか。通常は別の事をしていて、違法換金は隠れてやっているのでしょう。現行犯でもない限り、無闇に突けません。こういった犯罪は、個人では難しいのです。裏に()()()()()があるでしょうから、泳がせている部分もあるのかもしれません。


「出来れば、手の空いている方も動員して――」


 無闇に突けないとはいえ、指輪を売られる訳にはいきません。時間との勝負です。私達二人では範囲が広すぎます。なので増援のお願いをしていたところ――リッカさまが在る事に気付いたようです。


『化け物が増えてるから来た、か……あの人、まだこの国に居るのかな』


 冒険者は屈強な方が多いですが、大男とまで言われるのは数名です。私達が出会った冒険者や一般人の中で大男といえるのは――噂をすれば、ですね。丁度通り掛かったようです。


 選任試験を受けていた大男。私がドレッドと呼んでいた方は、私達の視線に気付くと顔を顰めて足早に離れていきました。


『なんで、向かってこないの?』


 リッカさまとドレッドの因縁を考えれば、向かってきてもおかしくありません。それだけ気性が荒い方なのです。とはいえ、リッカさまに勝てないと諦めている可能性はなくはありませんが――何か別の事を急いでいる様子でした。


「アリスさん」

「アンネさん、ありがとうございました」


 ”伝言”を切り、ドレッドを追いかけます。


「リッカさま。その先に裏の買取所があるようです。現行犯で違法換金を押さえられないので検挙できないと、アンネさんが言っておりました」


 角を曲がり、小道の前で少し止まります。そして覗き込むと、ドレッドが見えました。大きいはずの背中が小さく見える程、肩を縮めています。道が狭い事を抜きにしても、です。まるで、隠れようとしているかのような、そんな気配です。


「あの性格じゃこの国の冒険者にはなれない。帰るためのお金も必要だろうし、出稼ぎな以上何か儲けが欲しいはず」

『流石に、この道で木刀は無理かも』


 一気に距離を詰めるために走り出しますが、リッカさまでも木刀を振るうには狭すぎる小道です。ここは私が。


「リッカさま、お任せください。光陽よ―(【フラス・サンテ】・)―。悪意に手を(【ファシュト・)染めし者へ(マリス】=)聖なる(【ハイルェ・)鉄槌を(ハルト】・オル)(イグナス)


 私に攻撃魔法はありません。ですが、この”光の槌”は別です。対象に傷を負わせる事は出来ませんが、”槌”は衝撃が最も強いのです。マリスタザリアであっても、一瞬動きを止められるくらいの圧力でもって押し潰します。ですから、人間なら立っていられません。


「!」


 ですが、この魔法は当たるまで時間が掛かりすぎます。避ける事は可能です。ですから――。


『その為の、私』


 リッカさまは素早く、ドレッドの手を掴みました。”強化”すら纏っていないリッカさまですから、そのまま引っ張るだけでドレッドは逃る事が出来たでしょう。しかし、相手はリッカさまを嫌っています。


「離せ!」


 空いている手を振り回し、リッカさまを振り払うのではなく攻撃しようとしました。裏拳、という技に似ていますが、ただ振り回しているだけです。


『あなたみたいな巨体を、私の力だけで投げることはできない。でも――』


 相手が振るった拳を避け、その腕を押しました。絶妙なタイミングで行われたリッカさまの行動は、相手の体から制御を奪い取ります。もはや体が言う事を聞いていないドレッドの足を払い、掴み続けていた手を捻り上げ――ドレッドを地面に、押し付けました。


「グウェ!?」


 あの、百キロを越えるドレッドが、リッカさまの技により一瞬浮いたのです。”強化”すら必要ないとは思っていましたが、鮮やか過ぎて本当に、魔法のよう。


 ですが、ドレッドの目はまだ生きています。逃れようと思えば、腕を犠牲にしてでも――。


「――シッ!」


 相手の戦意が生きていると分かっているリッカさまは、倒したドレッドの背中に膝を打ちつけました。その勢いを使って後方に宙返りをし、距離を取ったのです。その直後私の”槌”がドレッドを押し潰し、漸く動きが止まりました。


「そのまま動かないでください。今、警備隊が来ます」


 動けないドレッドの首に剣を突き付け、鋭い視線で睨み付けています。剣を恐れない者達ばかりとはいえ、常人ではピクリとも動けません。ですがドレッドは……。


「なんの……ゲホッつもりだ! いきなり襲い掛かってきやがって!」


 まだ、逃げる気で居るようです。


 ドレッドの胸ポケットに、何か入っているのでしょう。行動の節々に違和感があります。何かを庇っているような、壊れないように注意しているような、です。これは、諦めていませんね。


 リッカさまがその何かを取ろうと思案しているのを隙と思ったのか、ドレッドは身動ぎました。もしこの剣を突きつけているのがライゼさんだったら、容赦なくどこかを斬りつけたでしょう。ですがリッカさまに、そのような事はさせません。


「動かないでください。私は攻撃魔法をすでに……発動する準備を終えています」


 男性はライゼさんの剣を馬鹿にしていました。そんな相手に有効なのは、目に見える刃ではなく、目に見えない刃です。魔力色が見えずとも、圧としてドレッドに襲い掛かります。そして私の魔力は見せかけではありません。


 この状況から抜け出すにはリッカさまを押しのける必要があります。その際怪我をするかもしれないのですから、本気で魔法を撃ちこんででもドレッドには眠ってもらいます。


 攻撃魔法と言いましたが――もっと危険な魔法を私は用意しているのですから。


『剣は脅しにならないみたい。じゃあ私は、指輪を取りだそう』


 一応剣を携えたまま、リッカさまは迷う事無くドレッドの胸ポケットからケースを取り出しました。

 

「この指輪、綺麗ですね」

「俺のだ、返せ」


 探る様子もなく見つけたことで、ドレッドは焦り始めました。まさか指輪を取った瞬間を見られていたのではないか、と。

 

「相手のお名前はなんていうんですか」


 指輪を見ていたリッカさまが、私に手渡しながらドレッドに名前を尋ねています。


「27/03/07 U&E ですね」


 指輪には、日付とイニシャル? らしきものが掘ってありました。どういう意味があるのでしょう。所有者のイニシャルとは思うのですが、&とは?


「あぁ、俺はエルヴァスって名前だからな」


 本名かどうかは分かりませんが、イニシャルが合ってしまいました。これでは、依頼主さんを待つしかなさそうですね。


「警備隊と依頼主さんが来るまでの聴取くらいの気持ちだったんですけど、意図せず嘘がバレましたね」


 そう思ったのですが、リッカさまは呆れた様子でドレッドを睨んでいました。能力がしっかりと使えれば、リッカさまの負担を減らせたのですが……いつもの事ながら、ドレッド相手に集中する事ができません。


「婚約指輪って、男性から女性へ送るものですから。男性のイニシャルが先なんですよ」


 この数字とイニシャルには、意味があったのですね。もし私から送るとなると……A&Rとなるのでしょうか。


「そうだったのですね」

「お母さんが、お父さんとの馴れ初めを語るときに言ってたんだ」


 馴れ初めと聞いて、私の頬が少し熱を持ちました。ちょっと、場違いな事を考えていたものですから、つい。


 何にしても、事件は解決ですね。もはや言い逃れは一切出来ないでしょう。依頼主さんがやってくれば、指輪の明細とお店の証言で裏が取れますし、ドレッド自身が自分の指輪ではないと白状したのですから。



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