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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

百合加護小説『純愛サディスティック』 ≪前編≫

作者: 日野 愛歌

■序章■



●まことに突然だが私は今まで本気で生きたことがない。生きることに何の魅力も感慨も畏怖も感じないのだ。


「では君は何のために生きているのか?」と問われれば 私は何の躊躇もなく「念のため」と答えるだろう。


『人が生きること』それ自体に明確な理由なんて存在しない。しようはずがない。


解かってることはひとつ。

人は皆 人類という種族を絶滅させないために この世に生を受け、子をつくり、死ぬのだ。

種の保存と進化のプロセスにおけるスペアのパーツ。それがデフォルト。


進化と道化は似ている。ひどく滑稽で狡猾なところがソックリだ。 


ゆえに私たち人間は己に遵ずるがままに 個を愛し、他を犯し、生を喰らう。


汚くきれいに。華麗に卑猥に。人生美味礼賛。


『我らの世界に意味などなく、そこに生きる我らにも意味などない』 


それが真理エメト。それが機械仕掛神デウス・エクス・マキナの大いなる意思。


そしてそれは――


終わらない世界の在り方。絶悪なるエンドレスワルツへの光の導き。


例え、世界が私を遺して過ぎ去ろうとしても、彼は何の支障も保障も合掌もせず、

ただそこにあるがままに廻り続けていくのだろう。無表情に、無感動に。無節操に。

くるくると。ただ狂狂くるくると。地球は回り続ける――君をのせて。


『お前一人いなくなったくらいじゃ世界は何一つ変わらない』


だったら、最初から産んでんじゃねーよ。お前のために費やした貴重な時間を返せ、バーカ。


 こいつは傑作。ゆえに駄作だ。



そんなこんなで10代の平和ボケした日本の女子高生代表たる私が導き出した結論。笑うなよ?


 ■人生は壮大な暇つぶし■ それ以上以下でもない。


まあ、およそ そんなところだろう。あー、かったる。



●ああ、自己紹介がおくれた。 私の名前は しとねみだら純情可憐な16才。私立 百合丘ゆりがおか高校2年の女子。

我ながら、すげー卑猥な名前だと思う。みだらってw


正直、こんな有害で埒外で規格外な名前をつけた親の気が知れない。

うちの変態エロオヤジが『俺の娘には淫らな女の子になってほしい』とのよこしまで意味不明な願いを込めて

ノリで命名したという。

そんな与太話を昔、父が酔った勢いで 嘯いていたが……本当のところどうなのだろう。


本当かも知れないし、嘘かも知れない。真実かも知れないし虚偽かも知れない。


 無論、私の希望は後者だ。そんな理由で私の名前を決められてたまるか。


しかし、真実はいつだって、希望にすがる者に残酷でサディスティックだ。 だったら、何も望まなければいい。

生きることも、死ぬことも、傷を抉られることも、一切合切、全てを受け入れればいい。


ほら、優しい世界の出来上がり。もう痛くない。苦しくない。怖くない。


いたいのいたいのとんでゆけ。


痛み。『生きることは痛みを知ること』……か。 ふと昔、好きだったアーティストの曲の歌詞が脳裏に浮かぶ。

彼女らがメジャーになってからは、嘘のように熱が冷めてしまった。あんなに大好きだったのに。


ワンパターンな売れ線ばっか狙いやがって、ニャろう。…………。


シャボン玉のように弾けて消えてしまった『好き』という気持ちはどこへ行ってしまうのだろうか?


今の私には理解できない。


「ちっ……」


私は解からないことだらけの世界と3点リーダーの使い勝手の悪さにウンザリしながら、小さく舌打ちをする。

世界ヤツに気付かれないようにそぉっと。息を潜めて。


「戯言だよ。全部」 そう この物語は 徹頭徹尾、うすっぺらな吟遊詩人ロマンチストエゴイスト戯言ざれごとだ。


後生だから、さっさと忘れてくれ。


===






『純愛サディスティック』 指揮者:日野 愛歌


■第壱月譚■



●さて、時刻は7時15分。いつも通り朝食をとり。いつも通り家を出て、いつも通り電車にのり、いつも通り学校に向かう。予定調和のルーチンワーク。


つまらない。くだらない。笑えない。どうでもいい。時間よ早く進め→→→




●電車に乗ってる最中、予期せぬ事態が起きた。日常に潜む異常。忍び寄る魔の手。崩れる予定調和。


「ひあ…っ」我ながら情けない声を上げてしまった。


痴漢。そう痴漢だ。私のお尻を丁寧に撫で回すイヤらしいてのひら。愛でるように慈しみように。優しく優しく。撫で回す。


何度も何度も。ダークにライトに愛撫する。


朝の通勤ラッシュの満淫電車の膣内なかでの淫行。淫らにしとねに狂う少女のつぼみ。なんて卑猥な……


たまにいるんだ。社会のルールを逸脱する人間失格が。

ああ。解かってる。解かってるともさ。

何も恥じることァない。 あんたは人間だよ、まさしく。メスに発情するオス。生殖機能をもった生物として本来あるべき姿だ。


うん、私ももう16才。初潮が来てからはや6年。それくらいの知識と教養は持ち合わせている。


理解はしてやる。ああ、してやるともさ。だが、許容は出来ない。

なぜなら、その行為は私をひどく不愉快にさせるからだ。


テクニック云々の問題じゃない。気分の問題だ。


そりゃあ、私だって飯も食えば、排便もする。睡眠をとり、自慰行為に耽り、人並みにスポーツも嗜む。


食欲。性欲。睡眠欲。人間の三大欲求。ああ、そうさ。ぼくらはみんな生きている。それはむしろ誇るべきことだろう。


ただ、それは他人に迷惑をかけない範囲で誇るべきだ。そこを弁え給え、紳士諸君。


つまり、あんたに私を不愉快にさせる権利はない。ゆえにあんたの性欲処理に付き合う義務もない。


どぅーゆーあんだーすたん?


だから。 だから――







『余所でやってくれ』


私は次の瞬間 即座に、痴漢の手を引っ掴み、高らかと勝利宣言をする。


「この人痴漢です!」 


「うきゃぁああああああああ」 「はい?」ぽかーん。

何?今の猿みたいな声。もしかして悲鳴? えっと……誰の? 


痴漢のいた位置から聴こえた耳をつんざくメロディア・ノイズ。ホワイっ!? 何故きさまが叫ぶ……ッ!?


ぎこちなく首を回して、掴んだ手をおそるおそる確認。ずいぶんと華奢な腕。 棒のように細くて長い。上等な絹のように美しく細やかな肌。


力を込めればポッキリと折れてしまいそうな。汚したらママに叱られてしまいそうな。そんなサンクチュアリ。


どくん。どくん。


嘗めまわすように。視姦するように。 ゆっくりとうっとりと、その指先を上へ上へと辿る。ごっくん。


小さい。そして幼い、予想以上に。中学生……いや。下手すると小学生……か?


「こ、こにゃにゃちは……」どうやら、CCさくらファンらしい。


そこには、挙動不審なちっこい女の子がちょこんと立っていた。


「痴漢じゃなくて痴女だったのか!w」おのれ、図ったな!?孔明w


スタープラチナ!


よし、タイミングよく駅に止まった。私は全力ダッシュで、その場をエスケープする――ほのかに幼女臭漂うロリっ子の腕を掴んだまま。



●一息ついて、駅のプラットホームで尋問開始。さァて、洗いざらい吐いてもらいましょうか、やっこさん。


「あんた名前は?」「……曲畝まがうね ゆがみ


「年齢と学校と所属言って」「……15才。私立百合丘ゆりがおか高校の一年生ですっ」


うっそ。私の通うガッコーの生徒、しかも一個下じゃないか。


「なんで私のお尻さわったの?」「そ、そこにお尻があったから……?」「処女膜つきやぶるよ?」


「ひいっ」脱兎のごとく後ずさる後輩 まがうね ゆがみ15才。


まっすぐな純愛。歪みねェなぁ。



「ず、ずっとミダラ先輩のこと好きだったんです。えと、今日たまたま先輩と電車乗り合わせて……そしたら、なんかムラムラしてきちゃって。

好きって気持ちが抑えきれなくて……つい」


「はぁあッ?」らんらんるー。こやつ百合っ子だったのか!弩吃驚どびっくり


「ご、めんなさ……い」うむ。素直でよろしい。


「えっと、だ、駄目でしょうかっ。みだら先輩! そ、そのお付き合い――なんて」


「……論外。残念だけど私はノーマルなの。今回は見逃してあげるから、もうしちゃ駄目だよ」 可愛い後輩をまともな道に矯正してあげねば。


「ううう…ひぐっ えぐっ……ぐすん」


しくしくと嗚咽交じりに泣きじゃくる まがうね ゆがみ15才。ああ、もう。

そんな仔犬のような目で私を見つめてくれるな。 不覚にも萌えてしまったじゃないか。痴女に。


ロリっ子萌え〜

よし、ドSなお姉ちゃんがいっぱい可愛がってあげようw





≪第弐月譚につづく→……のか?≫





===



■第弐月譚■



●またまた唐突で大変申し訳ないのだが 私、しとねみだらは実は、非常に性格が悪かったりする。


どれくらい性格が悪いのかというと、他人のあら捜しをして、自分より劣っているところを見つけては

蔑み 見下し、自我の安定を保つための糧にする程だ。


あら捜しなんて、すればいくらでも出てくる。欠点は誰にだってある。

この世界に完璧な人間はいない。そんなのは当たり前だ。


でも、だからこそ、私たちは、その欠点を蔑まず、補い合い、互いを尊重し 共存して生きなかればならないのだ。


ああ、そんなことは解かっている。最高の理想論。皆まで言うな。


だけど――だけど 息苦しいじゃないか、そんな生き方。

私たちはどうしようもなく生きている。ずっと良い人でなんていられる訳がない。


せめて心の中でだけでは優位にたっていたい。自分がいちばんでいたい。


自分が他人より優位に立っているときに感じることの出来る優越感を味わっていたい。


でも、自分は嫌われたくないから。波風立てて、人間関係に苦労するのが嫌だから。


そんな黒い感情は一切口にも顔にも出さず、今日もタイミングだけ外さないように笑っている。


『良いひと』のペルソナを被り、罪にまみれ、街中を闊歩する愚かな私。ころりと騙される優しい君。


なんて――なんて貧困で醜い心のカタチ。気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち良い。だが自我は安定する。


そんなスタンス。


それが醜悪でなく、なんだというのだろうか? 解からない。解からない。解かりたくもない。


『――お前の嘘は聞き飽きた』




もしかしたら、それ(己が優位性を他人との相違に求め、自我の安定を保つ行為)は他の誰もがやっていることなのかも知れない。


そんな救いを求める咎人。殺伐とした世界の民の祈り。そうあって欲しい。


しかし、残念ながら私は他人の心を読める素敵スキルなんて持ち合わせちゃいないし。そんなもの欲しくもなんともない。


気が狂うだけだ。世の中には優しい嘘もある。真実だけが正義じゃない。



●そう言えば、私の中学時代の友達で同じように他人のあら探しを得意とする女の子がいた。


私がそういったある種、差別的な選民思想感情を一切、対人コミニュケーションで出さないのに対して


彼女は何の躊躇いもなく批判を口にする女の子だった。


相手の短所やツッコミどころを見つけては声を大にして 高らかに断罪する。にっこりと微笑んで、ナイフを心臓に突き立てる。


グリグリと。愚狸愚狸と。


服を裂き、乳房を削ぎ、胸を捌き、肋骨を粉砕し、脈打つ心臓へと優雅に氷の刃を突き立てる。


まるで「自分の方が優れているから、私に従えとばかり」に。嫉妬の女王は、鬼の首を毟り獲る。

 

しかし、当然の如く 他人に自分の欠点を指摘されて気持ちの良い人間はいないし、

そこ(他人の欠点を指摘する行為)に思い遣りが伴わなければ、それは単なる悪意の垂れ流しでしかない。


そんな自己中心的な人間と親しくしたいと思う奇特な人間などそうそういるはずないし。もしいたとしても

彼女にいつまでも反省が見られなければ、いずれは愛想を尽かし 離れていくだろう。


それは、彼女を不幸にさせる。人生を、人格を破綻させる。鮮烈なまでに愚鈍に。悪辣なまでに爽快に。


悪意は悪意に反応し、増長する。


自分ではおそらく自覚がないのだろう。他人がそれを言われたらどう想うのかとか、

それを口にしたら自分の置かれる立場がどれだけ微妙になるかとか 本当に何も考えていないのだろう。


その癖、「私は恵まれない不幸な人間だ」と嘯いて 悲劇のヒロインを気取っているのだから、救いようがない。


なんて――なんて滑稽で不敵で不幸な。 『いいかげん進めよ。前に』



結局は人間の根本的な性格なんて変えられるはずもないのだろうな。三つ子の魂百までも――か。



せめて私たち、嫉妬に狂った人間失格は、他人の前では良い人であり続けられるように、常に仮面を被るのみ。

それでお互い幸せでいられるなら御の字なのだろう。たとえ、その人間関係が嘘と慈愛と空想にまみれた産物であっても――だ。



そうは想わないか? ワトソンくん。






===


「えっと――くどいです。先輩の話。途中で読むのめんどくさくなっちゃいましたよ。

  あと私は曲畝まがうね ゆがみですよっ ワトソンくんって誰ですか!?」

 

シャーロック・ホームズを解さない歪は、うんざりした調子で私のモノローグ(というか自己陶酔文)をばっさりと斬り伏せる。


全く――可愛くない後輩だ。


ここは私の家。時刻は16時45分。


学校でのカルマを終え、そうそうに帰宅した私は

朝方、捕まえた 私の後輩と名乗る痴女を 自宅に連れ込んだ。


むろん、月に代わっておしおきするためだ。痴漢は犯罪。痴女は同罪。


「さぁて、本題に入ろうか……」


私、しとね みだらは、うすっぺらな吟遊詩人の仮面をかなぐりすて、百合百合な本性を顕わにし、にやにやと唇を歪ませる。


「っふえ!?本題って……?」 「何、とぼけてんの。あんた 自分のやったことにはちゃんと責任持ちなさいよね」


「責任?」「んーーっと。とりあえず脱いで。全部」

聞き分けのないガキンチョは、お姉さんが優しく調教してしんぜよう。


「ぅうえええええええええええええッ!!!」叫ぶ、ロリっ子 曲畝 歪。うっさい!お母さんにバレるだろうがw


さぁて、ショータイムの始まりだ。 待ちくたびれたよ。あたしゃ、ホント。誰のせいだw


恥じらいながらもスカートをストンと落とし、ブラウスをはだけ、ブラのホックを外しつつ、滑らかな肢体をあらわにする歪 15才。


甘くとろけるミルクの香りが部屋いっぱいに漂う。


素直に私の指示通りに従う後輩は、それだけで可愛い。

これから私がこの子を蹂躙するのかと想うと、身体が火照り、ゾクゾクが止まらない。







「あ、靴下は脱がなくていーよ」 ――ああ、なんて純愛サディスティック


≪第三月譚に続く→……のか?w≫



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[一言] 何て言うんだろ、別段うまいこといってるわけでもないし、すごく格好つけた表現を使ってるんだけど、嫌悪感がでなくて、文に惹き付けられた。
[良い点] 文章、特に前置き。このくらい中二な方が清々しいです。 [気になる点] 名前。おい、という感じです。
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