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うちの妹ときたら……  作者: ねこた まこと
1 ひなは、3歳です。
4/7

4 お化けこわい!

すいません。前回、小学生編に移ると予告してましたが、もう一話3歳編をやります。

夜の8時前。茶の間では、追いかけっこが繰り広げられていた。

「兄ちゃん、ここまでおいで〜♪」

「こら、ひな。待ちんさい!髪乾かさんと、いけんでしょうが!」

「うきゃきゃ〜、兄ちゃんこあい〜♪」


ちょこちょこと、茶の間を逃げまくるひなを俺は、バスタオルを持って追いかける。

いつもひなを風呂に入れて、パジャマを着せるのは、ばあちゃん。髪を乾かして、寝かせつけるのは、俺の仕事だ。いつもの事とはいえ、ハイテンションだな。


「ほら、捕まえた」

「捕まっちゃた」


 ひなをどうにか捕まえ、バスタオルで髪を拭き、ドライヤーで乾かしてやる。


「兄ちゃん。ありがとの〜」

「はいはい。いいえの(どういたしまして)」


ドライヤーで乾かし終え、ひなを俺の部屋に連れて行く。

この頃、ひなが寝る頃に、母さんが居ない事が多いから、一緒に寝るようになったのだ。


「兄ちゃん。絵本読んでぇ」

「分かっとるよ。その前に、ころんして下さい」

「はーい」


と、ひなは、コロリと布団に横になり、キラキラした目で俺を見てる。


「今日は、「猫オバケのにゃかにゃん」ね」

「わーい。にゃかにゃん」


 にゃかにゃんは、子ども達に大人気のキャラクター。おばけ界から呼び出されたにゃかにゃんを相棒に、主人公の男の子が、人間界で悪さをするお化け達と勝負し、最終的には、仲間にしていくというストーリーだ。




「こうして、にゃかにゃん達は、花子さんを仲間にしたのでした」


読み終えた所で、ひながウトウトしだした。 


「はぁ、やっと寝た」


風呂に入ろうかと、部屋を出たら親父が、帰ってきたところだった。


「ただいま。疲れたな〜。茂、それ『にゃかにゃん』の絵本?」

「うん、ほうじゃけど。どしたん?」



と俺が返事したら、親父がニンマリと微笑んだ。ハッキリ言ってキモい笑顔だ。

大概、何かたくらんでやがるんだよ。

でもまぁほっとこ。

しかし、この選択に俺は 後悔するのだった、




翌日の夕方。


「 おばちぇ~♪おばちぇ~ ♪」


 茶の間のこたつ机で宿題をしてる俺の側で、ひなは、さっきから、おばちぇ~♪と自作の歌を歌いながらお絵かき中。


 チラッと見る限り何を描いてるのか、さっぱりわからない。

 まあ絵が出来たら、見せてくるだろ。

 そう思って、俺は宿題へと思考を戻した。



宿題も終わり、夕飯までの時間をテレビを見て過ごしていたら、お絵かきをしてたひなに呼ばれた。



「 ねっねっ! 兄ちゃん見て! ウチが描いたんよ!」



 ご機嫌MAXのひなが、落書き帳を見してくる。クレヨンで描かれたグシャグシャの二つの丸。何の物体だろう。


頭をひねってたら、描いた本人が答えてくれる。


「 おばちぇ! ぶりかわいいじゃろ?(すごくかわいいでしょ?)」


「 うん可愛いね」



 おばちぇ?ああお化けか。て事は、黒い線で描かれたグシャグシャの丸、お化けの体で、赤い丸はお化けのベロかな。


それにしてもひな。お化けを可愛いって言う発想。俺は、お前が将来大物になりそうである意味怖いよ。


俺の膝の上に乗って、「 おばちぇ~♪おばちぇ~♪」と歌ってるひなを見ながら俺はそう思った。


それにしても、お化けを絵に書く程気に、にゃかにゃんシリーズ気に入ってるのか。

また図書館に借りに行かなきゃ駄目かなぁ。いやもしかしたら、古本屋にあるかもな。そしたら、また出費だな。お小遣い貯金いくらあったかな?と、思考してると、夕飯の準備が出来たと、お祖母ちゃんが呼んできたので、ひなを連れて台所へ向かった。



―――



真夜中。ごそごそとひなが動く音で目が覚めた。



「 どしたんな?」


「 おしっこ」


「 兄ちゃんが、ついていっちゃろか?」


「 ううん。みーちゃんつれてくけぇ、らいじょうぶ」


「 ほうか」



ひなは、寝ぼけ眼のまま、お気に入りのみーちゃんを抱っこしたままトイレに向かった。


眠い中、トイレについて行かなくてもいいのはありがたいが、兄ちゃんはみーちゃん以下なのか? ちょっと寂しいぞ。


まぁいいか。お化けを怖がらないし、三歳児にしちゃ肝座ってるし、ひなが戻ってくるのを無理して起きて待ってなくていいだろ。


だけど、数分後。



「 ふやや〜。こあい~」


 うとうとしてた俺の耳にひなの鳴き声が飛び込んできた。


「 にいちゃあ。おばちぇこあい~」


 あわてて自室から出てきてみれば、ふやふや泣くひなの前には、190センチ近くある白い物体。

俺は即座に物体の正体に気づいた。


「 親父!何なんしょうるんや!(してるんだよ!)ええ歳したおっさんが、実の娘脅かしてからに!ふざけなや!ひなが泣きよるじゃろうが!」


ふやふや泣くひなを抱っこし、頭からかぶったシーツを取る親父を怒鳴りつけた。


「 まさか泣くとは思わんかったんよ。ひーちゃん、喜ぶかなーって思ったんじゃもん」


「 ……普通、誰でも驚くわい」


なんて親だ。真っ暗な中シーツかぶった人を見て喜ぶやついるか? ましてや三歳児だぞ。怖がるに決まってる。


多分、俺でもびっくりして大声出しるぞ。


「だって、猫お化けのにゃかにゃん。好きじゃろ?」

「あのな。にゃかにゃんと一緒にすなや(するなよ) クソ親父!にゃかにゃんは、良い子のお友だちなんでよ。親父のは、ただの肝だめしのお化けじゃろうが!ふざけんな!まったく。この事は、母さんに報告しとくけぇの、じゃおやすみ」

「ええ、ミキちゃんに報告するのだけは、やめて!お願い」


 知るか!自業自得だろ!

そう思い、ひなを抱っこしたまま、部屋へ戻り、母さんのケータイにこの事をメールしてやった。

翌朝。親父は、恐い笑顔で、母さんに根掘り葉掘り尋問された挙句、罰を与えられたのだったマル。





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