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うちの妹ときたら……  作者: ねこた まこと
1 ひなは、3歳です。
3/7

3 喧嘩しないで。


 8月も半ば。お盆休みで帰省してる人たも多いだろう。けど、うちの場合、帰省した人を受け入れる側だ。

服部家の本家というのもあって、お盆と正月は、帰省した親戚が入れ代わり立ち代わりやって来るんだ。

今日も、親父の従姉妹の瞳子(とうこ)さんが子供さんを連れて、遊びに来てるんだ。

とはいえ、瞳子さんの場合、我が家から歩いて三十分位の場所に住んでるから、

帰省で来たというよりは、習慣だから来てるって感じだよな。


 でも、こういう親戚の集まりとかって、大人達は、話で盛り上がってるけど、子供からすれば退屈だよな。

そして今の俺は、自室で三歳児の相手を申し付けられてるんだけど。これ、どうにかなりませんかねぇ。


「しずくちゃんのばか〜!ひなのみーちゃん、とっちゃ、めっなの!」

「あ〜ん。とっとらんもん。ウチにかしてぇーや!」



 二人の幼児が、喧嘩してるんだ。一人は、ひな。もう一人は、瞳子さんの娘さん、俺やひなからしたら、再従姉妹(はとこ)の雫。ちなみにひなと同い年だ。

 この二人が、ひなにあげた猫のぬいぐるみを取り合いしてるんだ。



「めー、かさん」

「やーもお、かしてぇやー!」

「んやー!」

「や〜」

「あーもう、ケンカせんの!(しないの!)」



 しんとなった。ヤレヤレこれで静かになるかな。と思ったのも、つかの間だ。


「んやーかしゃんてば!」

「もうー、かして〜!」


……やっぱり駄目か。幼児って納得しないとやめないからな。さてどうしたもんかな。


猫のぬいぐるみは、引っ張られ、尻尾のあたりは、避けてしまってる。


「や~、かしゃん。言うたら、かしゃんの〜」

「いや〜、かしぇ〜。かして〜や」

「んや〜、かしゃん。かしゃんよ〜」


 破けるじゃないか。せっかく作ったのに。

もう一度怒るしかないな。


「しずくもひなちゃんも、けんかしたらいけんのんよ!ほら、にゃんこいたいって」


 この一言で、ひなも雫もシンっとなり、喧嘩がピタッとおさまった。

自室の入口を見ると、髪に寝癖が付きまくった男の子。雫の双子の兄の(じん)だ。お昼を食べたあと、お昼寝していた筈だけど、二人が喧嘩してたから起きてしまったんだろう。


仁は、猫のぬいぐるみを拾い、ぬいぐるみを観察してる。


「あーあ。二人がひっぱりゅけぇ、にゃんこのしっぽが、やぶけとる。ごえんねぇ。痛いね〜。ごめんねぇ」


仁は、ひたすらぬいぐるみに、話しかけて、ひなと雫を睨み付ける。



「ほら、二人共、にゃんこに、ごめんして!」

「ごめんちゃい」

「ごめんなさしゃい」



さっきまで、貸すだの貸さないだので揉めてたのに、ひなも雫もショボくれてしまってる。


「もう、喧嘩したら、めっ!よ!いっちゅも、保育園でせんせぇにも言われとるじゃろ!仲良くしましょうって」

「「うん」」

「じゃ、今度は、二人共ごめんして!」

「ごめんちゃい」

「ウチもごめんなしゃい」

「じゃ、今度は、三人で遊ぼ!お庭でかくれんぼしょうや」

「うん!」

「しよう!」



 三人は、テテテと庭に向かって、部屋から出てってしまった。

俺が、どうしようかと悩んでたのに、「にゃんこが痛い」の一言で、仁はひな達の喧嘩を収めてしまった。


「にゃんこが痛い」かそんな事すぐに、思いつくのって、やっぱり小さい子は違うなぁ。と思いつつ、猫のぬいぐるみを直す為、裁縫箱を出したのだった。







 

次は、ひなさん、小学生です。

なんか、朝ドラ並みのスピードで、すみません。

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