第一話 それは突然
地味な暑さと鬱陶しい湿気、降りやまない雨に日本が襲われている頃、世界を揺るがす大事件が起こった。
異世界から何十万という人がやってきたのだ。
否、人だけではない。人によく似ているが人ではない人も一緒に。
異世界から来た彼らは侵略者でも友好のために来た使節団でもなかった。
自分たちの住む世界が崩壊するために逃げて来た、亡命者だった。
彼らの扱いはG7にて話し合われ、その間にも様々な推測、憶測が飛び交った。
しかし各国の首脳が考えていたのは自国の利益。その利益とは異世界の文明や技術。
それが自分たちの命綱だと分かっている異世界の人たちは自分たちを受け入れた国に技術を渡すことを表明していた。
故に、G7で話し合われていたのは排除か、受け入れるかなどという話ではない。どの国が、どこの異世界の人たちを受け入れるのかと言う、受け入れ前提の話。
異世界と言っても地球と同じように様々な国があり、部族があった。しかし世界が崩壊するために一致団結し、地球と言う世界へ逃げて来た。
一つの国に全ての異世界の人たちを受け入れることが出来ないのなら各国で分担するしかない。分担、分けると言うのなら当然国ごと地域ごと、部族ごとになる。
そんな時に外交下手な日本は貧乏くじを引かされることになった。
しかしそんなニュースが流れても津田大和は自分には関係ないと思っていた。
思っていたのだった。