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うーん。
うーん。
なんとも精神衛生上悪いなぁ。
向こうから見えてないにしたって、こっちからしたら元カノの一つ屋根のした全裸だよ?
私そんなビッチになったつもりは無いのだけどなー。
いや、試すのは試したのよ?
服を着ること。
悪いなぁ、とは思ったけど、くーくんのたんす勝手に開けて服取り出して着てみた。
結果からすれば着れたんだけどね。
着替えを終えて、出てきたくーくんは浮かんでいるように見えた服に大声を出して、また隣の人に怒られたよね。
そんなこんなで、まだ具体的な解決策が見出せないのよねー。
「今日なんだろ。仕事疲れが出てんのかなぁ…阿奈原みたいな女の子が鏡に映ってたようにも見えたし、妄想にしても酷すぎるだろ…別れたってのに。しかも全裸て…自分の将来が不安だ…」
うわ、ばっちり見られてた。
やっぱり恥ずかしい。
でも、やっぱり見えてたのは鏡に映った私だねー。
そのままは見えてないみたいで一安心。
て、堂々対面に座ってるだから見えてたら大惨事だ。どっかに隠れたいんだけど、押入れに隠れるにしろ、キッチンに逃げ込むにしろ、扉を開けなきゃいけないし、そろそろくーくんにストレスを与え続けるのも申し訳なくなってきたし。
ちなみに部屋の隅は姿見が置いてあったし、ちょっと危険なのよねー。
お洒落なんて興味なかったくせに生意気な。
くーくんがリモコンを手に取って、私の後ろにあるテレビの電源を入れた。
今更だけど、テレビの画面に映る仕様とかじゃなくて良かったよ、鏡だけみたいだねー。
「阿奈原⁈」
はいっ⁈
くーくんは
泣いてた。
テレビを見ると、そこには何処かで見たような遊園地。
世界最速なんて謳い文句のあったらしいジェットコースターが背景に、私の顔が映ってあった。
あぁ、私はやっぱりそうなったよね。
分かっていたけど、実感も無いし、特別悲しさも込み上げてこない。
ただ。
代わりに泣いてくれるくーくんが、
思わず触れてしまったくーくんの涙が。
とても暖かく感じたんだ。




