050 閑話6
少女の隣に、一人の少年が歩いていた。先ほどまでは、血まみれでぼろぼろになったウィンドブレーカーを着ていたが、それも着替えて、簡素な服装になっていた。
彼女に預けていた小剣は返してもらい、それは腰に差している。
見たことの無い姿だった。
格好もであるが、その視線や雰囲気は、見たことのないものだった。
つい先ほどは、これまで見たことも無い程怖い表情で、戦場から逃げるように言われた。
結局は、その後に別の女性が来て、手を引っ張って逃げ出した、さらに別の仲間と思われる一団と合流できて、ついていったら、ぼろぼろになった彼がいた。
何故、あそこまでぼろぼろになっていたのか。
どうして、ボロボロになるまで何かをしていたのか。
聞いても答えてくれなかった。
そこに、知っていたはずの彼は最早いないように思えた。
その見知らぬ幼なじみが声をかけてきた。
「なぁ?」
「なに?」
「巻き込んで悪かった」
「良いわよ」
「よくないだろ」
否定してくるが、彼女にとっては良かった。
二度と会えないと思っていた幼なじみに会えたのだ。
正直言って、これ以上の喜びは無いに等しい。
例え、記憶はあっても、知らない彼になっていたとしても。
この心に芽生えている想いは、きっと本物だから。
次章嘘予告
数々の対戦をこなしてきた暗黒鍋奉行トモリンであったが、ついに最悪の敵と対峙することになる。
勝ち目の無い戦いだったが、トドメを刺される瞬間、これまでの対戦者達が続々と現れて、数々の食材を投げ込んでくるのだった。
次章、決着!
 




