043 閑話5
その男は領主の血を引いていた。
男には、才覚があり、腕も立った。
しかし、後を継ぐには生まれるのが遅すぎた。
十代のある日に、結局、一財産をくすねて家を出ることになった。
当てもなく放浪する日々が続いた。
何もしないのも退屈なので、戦争に傭兵として参加したりもした。
そういった日々を繰り返すうちに、腕の立つ相棒ができた。
あまり学は無いらしが、信用してくるので相棒として利用することにした。
そのうちに、何人もの傭兵が仲間に加わった。
どれもこれも大半が学のない連中であるが、戦争には使える手駒なので迎え入れることにした。
そのうちに、男の所帯は傭兵団として活動を始める。
男は、策略も上手く交渉も上手かった。
時には犠牲者が多く出たが、表向きは悲しむ振りをして団員達の尊敬を得た。
全て、自分の手駒。
どうなろうと自分次第に過ぎないのだった。
傭兵団は上手く流れに乗っていた。ミスリル製の装備を手に入れることもあれば、最強の兵器であるリンクアーマーも手に入れた。
最も、女性の団員しか動かせなかったから、自分が乗っていくことはあきらめたこともあるが。
そんなある日、一人の傭兵が一人の少年を連れてきた。
言葉すらわからないし、見たことも無い服装をした少年だった。
初めは気にもしていなかったが、そのうちに言葉と文字まで覚えだして事務仕事を始めるようになった。
戦場に出れば、誰よりも速かった。
さらに、手に入れたリンクアーマーを乗りこなして見せた。
どうやら、男に恩義を抱いているようだからこれは利用価値があると思った。
さらに傭兵団は活躍した。
団員の一人一人が、相応の装備と腕を持つまでになった。
リンクアーマーの乗り手二人も腕が良く、よく戦場で他のリンクアーマーを倒して見せた。
しかし、男はさらに手に入れたくなった。
より、力を。
より、富を。
より、名誉を。
ある日、街で一人で飲んでいると、一人の男がやってきた。
男はとある商会に属する兵士であったが、一つの提案をしてきた。
より大きな力を手に入れないかと。
そのために男は、自らの傭兵団を犠牲にした。
まずは手始めに、野営地に滞在しているときに、見張りを殺して襲撃者を招き入れた。
だが、思ったほどこちらは上手くいかなかった。
次は、予定の通りに村に襲撃を駆けさせ、さらに襲撃を受けさせた。
今度は上手くいき、ほとんど壊滅状態にまで陥った。
念には念を入れて、自分のミスリル製の装備を背格好が似た男に着せて燃やしておいた。
あとは、傭兵団はリンクアーマーとキメラの犠牲になるだけだった。
トラブルそのものはあったし、予定通りでは無かったが、概ね計画は上手くいった。
それから、男もリンクアーマーを手に入れて使い出した。
男のために調整されたので、難なく乗ることが出来た。
戦場において、一度剣を抜けば最強となれた。
ここまでは計画通りだった。
しかし、ある任務で、一人の少年に再会する。
それが、男の未来を奪う事も知らずに。
次話嘘予告
暗黒鍋奉行トモリンに待ち受ける次なる刺客は、生きわかれて死んだと思われていた暗黒寿司職人マギーだった。
突然の再会と対決に動揺を隠せないトモリンだったが、闇落ちしたマギーは容赦なくしゃりを握るのだった。
そして、最後の戦いのお題は、ステーキだった。
どうなるトモリン!?




