024 閑話2
外は吹雪だった。
時刻は夜十一時を回ったところで、外を歩く者はいない。
男は窓からうす暗い外を眺めていた。
男は若く、髪は短く刈り込んでいた。
顔の掘りは深く、鼻がやや高く鷲を彷彿させる。
肌の色ももとからなのか随分と白い。
部屋は壁が煉瓦で作られ、大きめの暖炉には火がたたれている。
パチリと音がなったとき、ドアが開いた。
そこには、初老の眼鏡を掛けた男性がたっていた。
手には透明な液体の入った瓶が握られている。
「寒いだろう。こちらに来たまえ」
初老の男に促され、窓辺に立っていた男は暖炉のそばの椅子に座った。
促す言葉はこの世界で使われているものではなく、地球のロシアで使われている言語だ。
すでに、初老の男も座っており、小さなグラスを二つ取り出すと透明な液体を注ぎ始める。
鷲鼻の男は、グラスを手にとってそっと臭いをかいでから口を開く。
「もう一度、確認したい。本当にここは地球とは別の異世界なんだな? 信じられんな」
「そうなるね。しかし、色々と証拠は見たと思うが? 魔術にリンクアーマー、ミスリルにリザードマンまで見ている。豪華な映画でもこれほどの演出は無いだろうね」
「そうだが……まだ、飲み込みきれない」
「私としては、ソ連解体のほうが信じられないがね。冷戦が終わったのも信じられんさ」
「随分と昔にこちら側にきたようだな」
「古い話だよ」
そういって、初老の男は乾杯と言ってからグラスに注がれたウォッカを一気に飲み干した。
それに合わせて鷲鼻の男も一気に飲み干した。
「異世界なのに、酒があるのは同じか」
「過去には酒造りの職人も転移してきて、相も変わらず酒を作ってくれている。寒がりの飲んべえにはありがたい話だよ」
初老の男はしみじみといった様子でだった。
鷲鼻の男は、今度は自分でグラスに注いでいく。
「ともかく、あんた達キーパーズは、俺やあんたのような異邦人を探して保護していると?異能と知識によって世界の均等を崩さないために、調整していると言うのだな……随分と傲慢にも思えるが」
「傲慢で結構だ。かつて、こちらでも冷戦がおきた。結果として、大陸全土を巻き込んだ大戦が起きた」
「東西対立が、こちらでも? 」
「一部でな。だが、そんなものよりも、リンクアーマーが戦乱を拡大したことも事実、故に、かつての大戦が起きないように我々は活動している。君には協力してくれとまでは言わない。静かに暮らしたいならそれなりの援助をすることもできる。じっくりと身の振り方を考えると良い」
そう言って初老の男は酒を一気に飲み干した。
「そう言われても、俺としてはどうするか決めている」
鷲鼻の男も酒を一気に飲んだ。
その目には覚悟が見て取れた。
次話嘘予告
スパイラルエレクトリッククッキング鍋奉行マイスタートモリンは、新たな食材を求めて流浪の旅に出た。
敗北に次ぐ敗北で自信を失ったアルコールプロフェッショナル飲んべえクリストファーは心の渇きを癒すためにウォッカを浴び続け、ついにはなんだか楽しくなってくるのだった。
一方その頃、トゥエルブは食い専の汚名を返上するために、料理に挑戦するも、ミキサーを爆発させてしまうのだった。




