表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
微炭酸summer☆  作者: 真織
6/9

 小島が言うのも、わかるような……。

 桜橋高校の体育祭は、盛り上がることで近隣でも有名だ。実際のメインイベントは、体育祭終了後に行われる裏体育祭「玉三郎コンテスト」。クラス対抗の女装(仮装?)大会。

 小島の素顔がバレたら、きっと玉三郎役に推されちゃうだろうな。

「でも、キレイ過ぎて無理かも……」

「は?」

まずい、心の声が漏れてた。

「あ、私としては、とゆーか。小島の女装なんて、予想しただけで、そこらの女子がイタい気分になりそうだと思って」

慌てて説明すると、

「なに、それ」

と、笑われた。

その笑顔も、ずるい。

「ね、小島。賭けを、しない?」

「賭け?」

「そう。私が、もし、コンクールメンバーに選ばれたら、小島は髪を切って」

もちかけたのは、とても一方的な話。

「石塚なら、大丈夫だって、俺、言わなかったっけ?」

「言ったね」

「……ずいぶん、俺の分が悪くない?」

立ち止まった小島が、射るように私を見る。

 こだわりすぎかもって、自分でも思うけど。こんなふうに、隠さないで向き合って欲しいんだ。これは、私のわがままだけど。

 小島が、その容姿でどんな思いをしてきたのかなんて、わからない。

 でも。

 立ち止まってくれた。

 その眼を、まっすぐに見返す。

「責任、とるよ?」

私が言えるのは、想いの半分にもならないつたない言葉だけど。

「小島が、嫌な思いしないように、守るから」

「どうやって?」

……えーと。

 小島が、ふっと目を細め、仕方ないな、と言うかのように頬を緩めた。

「石塚って、へん」

「へん?」

「んー。こだわりどころ、とか。守る、とか。別に、放っておけばいいのに」

小島が、また先に歩き出す。

 公園の出口は、もう、すぐそこだ。

 小島とは、バスの路線が分かれるので、一緒に歩けるのはバス停までだった。

「ほんとに、責任取ってくれる?」

ふと背を向けたままの小島が言った。

「うん」

そこは、ちゅうちょなく答えられる。方法は、まだ考えてないけど、ちゃんと考えるつもり。

 バス停について、折よく私の乗るバスの方が先に姿を現した。

「じゃあ。今日は、トランペット聴かせてくれてありがとう」

賭けは、成立したんだろうか。曖昧なまま、バスのタラップに足をかけた私に、小島は言った。

「もし、石塚がメンバーに選ばれて、それで、俺が、髪を切ったら……」

バスのタラップを上って、私は小島を振り返る。

「彼女になって」

 




 ……はい?



 

 いま、なんて?



 

 彼は乗らないと見切りをつけた運転手が、ブザーの音ととともにバスのドアを閉める。

 ガラス越しの小島の表情は、照れた様子もなく、淡々としていた。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ