待ち合わせ【400文字小説】
今、自分の見下ろす先には待ち合わせのスポットとして有名な場所がある。
自分もそこで人を待っていたが、あまりの人の多さにそこを見下ろせる二階の連絡通路にきたのだ。
そこからはちょうど吹き抜けになっているその場所がよく見えるから、時間になるまで……いや、5分前ぐらいまでここにいようと決める。
それにしてもよくここまでの人が集まるものだ。
今日が祝日だということもあるのだろうが、かなりの広さがある広場を埋め尽くすほど人が人を待っているのだ。
ここで誰かを待っている人たちが何を考えていて、これからどこへ向かうかなど伺い知ることはできない。
ただ、各々がそれぞれの目的を持って動いているからこそおもしろいドラマが生まれる。
つまり、今自分は人生という約80年にも及ぶドラマのワンカットを見ているにすぎないのだ。
そんなことを考えていている間に階下に友人の姿を見つけた。
そこで考えを打ち切り、私はエスカレーターへ向かった。