最悪の出会い
初投稿です…
何卒よろしくお願いします
「…な、なあ…来週の日曜、カラオケ行こうよ。」
雪道にて口火を切った。 この言葉の返事はない。
「…無理だよな…こんな俺が誘ったところで…」
そう言って真っ黒の手袋をはめた自分の手を見つめる。
たった一人で帰る雪道の寒さが顔に突き刺さっていた。
俺の憧れたあのコのことはつい数ヶ月前まで何も知らなかった。
わかることは別の中学校出身で別の部活で別のクラスってことだけだった。
なのに俺はあのコをはじめて見たあの日から彼女のことが頭から離れない。
俺は…知らないうちにあのコに…その無垢な笑顔に惹かれていた。
俺があのコに抱いた第一印象は最高そのものだった。
白い肌。 少しウェーブのかかったショートヘア。 そして、笑うときに細くなる二重の目。 ちらっと見せる白い歯。
その全てが俺の心を掴んで未だに離してくれない。
だが俺があのコを見てから数日後、俺の恋は急展開を迎えていた。
俺の女友達が俺の恋焦がれるあのコと歩いていた。
普段どおりに会話しようとしていたが、普段どおりなんてできるわけがなかった。
女友達が俺のことをあのコに紹介するもんだから…気付いたら固まっていた。 顔は赤くなっていたかもしれない。
数日後知る。
あのコが俺に抱いた第一印象は最悪そのものだった。
「顔怖い」
女友達を伝って聞いたその言葉ですらここまで俺の胸を苦しめるのだから…
直接聞いたら俺は立っていられないかもしれない。
その日から俺は笑顔を作る練習を始めた。 理由を聞かれれば簡単だ。
もし俺の顔が怖いのならあのコの笑顔を直に見ることは確実に無理だ。
鏡を睨む。 俺の顔って怖いのかな。
笑顔を作る。 違和感アリまくり。嫌われるな…
鏡で見えたのは俺の笑顔じゃなくて現実と絶望だった。
バカみたいになってきた。 笑えねえ。
廊下を歩けば女友達がまたあのコを連れてやってきた。
「なあ、笑ってよー」
女子独特の柔らかい声で笑う女友達。 笑えるわけ無いだろ…
俺の笑顔の先に見えた顔が笑顔じゃなくてドン引きした顔だったらどうしてくれる。
そのとき、女友達が右手を俺の顔に向けてぱっと開いた。
驚いた拍子にその馬鹿げた行動に思わず口元が緩み、笑い声が出た。
出てしまったのだ。 最悪の展開をも予想して下を向いた顔をゆっくり上げた。
「…なんだよ…」
誤魔化すように呟いて目の前の白い肌を見る。
終わったんだ… もう…
その見上げた先にある顔が笑顔だったらいいのにな。
とあるサイトで創作活動をして早1年スキルアップのためにこのサイトを利用させていただくことにしました。
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