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何もなかった時間2
幼少期のフィーナは、
目立たない子どもだった。
剣の訓練では、
周囲より一歩遅れる。
戦術シミュレーションでは、
反応が鈍い。
評価は、常に中庸以下。
努力が足りないとも言われなかった。
才能がないとも、はっきり言われなかった。
だからこそ、
彼女は早くに悟った。
――前に出ても、意味はない。
代わりに、
彼女は後ろに下がった。
誰もいない記録室。
使われなくなった端末。
先代たちの裁定記録。
そこには、
彼女に向けられる評価がなかった。
フィーナは、
そこに安心を見出した。




