表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裁定の器 ― クリムゾンウォール ―  作者: フラグメント水沢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/15

オペレーション・クリムゾン・ウォール (Operation Crimson Wall)2

予測通りだった。


最初の一撃は、

低出力だった。


試すための攻撃。


囮艦の一隻が、

正面からビームを受ける。


だが、

沈まない。


爆発も、破片もない。


艦表面を、

赤く淡い光が走っただけだった。


「……通っているか?」


次は、出力が上がる。


再び、沈まない。


艦はわずかに姿勢を崩し、

通信に遅延を入れる。


——効いている。

——もう少しだ。


そう思わせる挙動だった。


攻撃は、次第に激しくなる。


宙域に、

撃たれた光が溜まっていく。


だが、

破壊は起きない。


《敵意思決定、遅延》


ALの声は、変わらない。


フィーナは、

囮艦隊の映像から目を離さなかった。


そこには、

人がいる。


計算は正しい。

それでも、

胸の奥が重くなる。


数時間後。


攻撃は止まった。


だが、

ヴァルク艦隊は退かない。


沈黙が、

宙域に張りついていた。


「……終わったのですか」


誰かが小さく尋ねる。


フィーナは、首を振った。


「いいえ」


モニター上の、

誰もいない空間を指す。


「返します」


「返す……?」


「威嚇です」


《吸収エネルギー総量、

 再構成可能》


《一点集中放出、可能》


「実行して」


短い命令だった。


次の瞬間。


宙域の一点に、

赤く収束した光が生まれる。


それは艦でも、兵器でもない。

ただの“点”。


だが、

そこには、

これまで撃たれてきたすべてが集まっていた。


光は放たれる。


破壊はない。


だが、

空間そのものが、

一瞬だけ歪んだ。


観測網に、

測定不能な数値が記録される。


ヴァルク艦隊は、

完全に沈黙した。


——あれが、

——本来、こちらを狙っていた力。


そう理解するには、十分だった。


フィーナは、

それ以上の指示を出さなかった。


攻撃もしない。

追撃もしない。


ただ、

使える力を使わなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ