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同じ高さの卓上3
この頃からだった。
エウラの外で、
フィーナ・アービトラという名が、
別の文脈で語られ始めたのは。
「動かない王女」
ではない。
「判断を先延ばしにする存在」
でもない。
「判断を遅らせることで、
相手の決断を縛る者」
分析官たちは、
そう表現し始めていた。
⸻
ラインでは、
報告書の形式が変わった。
個人名が、
分析項目として追加されたのだ。
影響要因:
フィーナ・アービトラ
(エウラ王位継承者)
それは、
脅威評価ではない。
だが、
無視できないという意味だった。
⸻
ヴァルクでは、
違う変化が起きていた。
軍内部で、
評価が割れ始めたのだ。
「踏み込むべきだった」
「いや、あれは罠だ」
「次は、
別の形で試す必要がある」
共通していたのは、
一つだけ。
——エウラは、
——以前と同じ相手ではない。
そして、
その中心にいるのが、
戦えないはずの王女だという事実。




