表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
My jewel  作者: ハル
3.繁殖牝馬
9/12

日本


私たちの頭上で雲雀(ひばり)が麗らかに飛んでいる。

太陽が放牧地の上に暖かい光を降ろし、なんとも心地良い風が放牧地の草を揺らしている。

私は立ったまま微睡み、うとうとしていた。周りでは同じように15頭ほどの親子が立ったまま寝ている馬、寝転んでいる馬、草を食んでいる馬様々だ。

長い冬が終わり、春も過ぎ、ここ日本、北海道では短い夏を満喫していた。


ときおり寄ってくる虫を尻尾で払いながら、片眼を開け、私の傍らに寝っ転がっている仔馬を確認する。

黒鹿毛の左後ろだけ足先が白い仔馬は夢でもみているのかジタバタと四肢を動かしている。私の愛しい愛しい我が子だ。

生まれたばかりの頃は私の後を必死に付いてきていたが、今ではすっかり一人前の顔して、放牧地に来ると一目散に他の仔馬のところに行ったり、カラスの群れに突撃したりして、私が後を追いかけるばかりだ。それでも、私が草を食べるのに夢中になっていたり、他のママ馬と一緒にいると寂しいのか追いかけてきたりする。

放牧に出されてたくさん走り回ったからかすっかり夢の中だ。

暖かい陽気の中、私も青草を食べて眠くなり、うとうとしていると一頭の牝馬が近づいてきた。

彼女の名前はラブイズマインド、ここの牧草地の中で私の一番の友達だ。歳は私の2つ上、私がここに来た時、なかなか群れの中に入れなかった私を気にかけて一番最初に声をかけてくれたとても優しい馬だ。

彼女と私は鼻を合わせてお互いの匂いを嗅ぎ挨拶をするとお互い少し距離をとって草をはみ始めた。



「マイジュエルは相変わらずラブイズマインドと一緒にいますね」

「仲がいいのは良いことだ。マイジュエルにとっては初子だからもっと精神的にきつくなると思ったけど穏やかなラブイズマインドが近からず遠からず良い距離で接してくれている。さすがベテランだ」

「マイジュエルは念願のとねっこですからね……1年目は不受胎、2年目は流産、やっと産まれた我が子だ、彼女は可愛くてしょうがないみたいですね」

「そうだな。まぁわざわざヨーロッパから連れてきたんだ、高い値で売れてくれると助かるよ」

そう言うと放牧地に異常がないことを確認し、厩舎に戻っていった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ