私の姉は、私から何でも奪っていく。
私の姉は、昔から私から何でも奪っていった。
お父さんやお母さんの愛情もそう。
生まれつき姉は、整った顔で周りの大人達から大変可愛がられた。
3つ下の妹の私は、“美男美女”の両親から産まれてきたのに。
まるで、ふたりに似ていない。
近所では、私があまりにも両親に似ていない為に...。
養子で引きっ取った子供なんじゃないかと疑われる。
親戚には、母が陰で浮気して作った子供だとも言われたそうだ。
でも、血液検査の結果! 間違いなく私は二人の両親の子なのにね。
それは間違いないのだけど、周りはなかなか信じてくれない。
両親もそんな私よりも姉を私よりも可愛がっていたように感じる。
私と違って、子供の頃から物静かで一人で本を読むような世話の
かからない姉だった。
それに比べて、私はおっちょこちょいでドジばかりする。
面倒を起こすのは、いつも妹の私ばかりで両親も私には手を焼いていた。
少しづつ、私たち姉妹も歳を重ねていくごとにもっと差がついていった。
姉は勉強もスポーツも万能で、クラスでは学級委員をしていた。
部活には一切入らず、家に帰ると直ぐに自分の部屋に行って勉強をする姉。
私は、だんだんと姉と比べられる事に疲れてしまったわ。
もう、姉と競い合う事をやめた。
私は、我が道を行く事に決めたの!
・・・そうなってくると?
益々、両親の愛情は【姉】に向かうようになる。
姉が高校に入ると? 私の初恋の男性と付き合いだした。
姉は、私から何でも奪っていく。
幼い時は、姉と仲が良かった私も。
歳を重ねる事に、姉とは距離を置くようなっていった。
私は完全に、姉を“妬んでいたからだ!”
私の姉は、何でも持っているのに。
私は、何も持っていない。
姉から私に話しかけてきても、無視する事が増えていく。
*
私は、高校を中退して家を出た。
両親には、私の机に“私は一人で生きていくから探さないで
ください、今まで育ててくれてありがとう。マンナ”と書いた
置手紙を置いてきた。
両親が私を探してくれたかは? 今になっても分からない。
既に家を出て、あれから5年以上が経ち私は結婚して旦那と子供がいる。
今では、幸せな生活を送っているわ。
私は、自分の子供が産まれた事で実家に娘を見せに帰ることにした。
怒られる事を覚悟し、勇気を振り絞って突然私は実家に帰る事に、、、。
【ピーポーン】
『はーい! どなた?』
『・・・お、お母さん、』
『・・・ゆ、ゆ、結月、結月なの?』
『・・・ううん。』
『元気にしてたの?』
『うん! 私、結婚して子供ができたの! だから二人に会わせたくて。』
『そう、お母さんからも貴女に話があるのよ! お姉ちゃんが今、病気で
入院してるの。』
『えぇ!? お姉ちゃんが、』
『会いに行ってあげて!』
『・・・ううん。』
『じゃあーお父さんにも、お母さんから話しておくわね。』
『うん!』
*
・・・私は、数年ぶりに実家に娘を連れて帰る事に。
そこには、車椅子に乗った姉が待っててくれた。
『えぇ!? お姉ちゃんなの?』
『そうよ、おかえり。』
数年ぶりに見る姉は、私の知っている姉じゃなくなっていた。
ガリガリに痩せ細って、骨の上に皮がついている感じで目も
くぼんでギョロッとした目になっていた。
私は、泣きながら娘を姉の膝の上に乗せる。
姉は、ニコッと笑って娘に笑いかけてくれた。
母から姉の容態を訊くと、、、?
もう医師からは、見放されて治療法はないと言われたそうだ。
今は、実家で家族と暮らしている。
余命は、残り半年生きられればいいらしい。
まさか!? 姉がそんな事になってるなんて!
父親も、私が久しぶりに実家に戻ってきて喜んでくれた。
娘を抱っこしてくれて、既に“おじいちゃん”の顔になっている。
『よく帰ってきてくれたね、結月。』
『・・・お父さんは、私を怒らないんだね。』
『あぁ、俺も悪かったんだ! 姉の美月ばかり構っていたから
こんな事になったんだと、今は後悔してるんだよ。』
『・・・お姉ちゃん、死なないよね?』
『・・・・・・』
『私ね! いっぱいいっぱいお姉ちゃんに悪い事しちゃったんだ!
私はお姉ちゃんを傷つけて、この家を出て行ったの。』
『じゃあーお姉ちゃんの傍に居てやってくれ。』
『えぇ!?』
『美月の命は、あと半年! それまで、ココに居てやってくれ!』
『・・・ううん。』
*
私は、旦那の許可をもらい実家に一時的に戻る事にした。
たった半年しかないけど? それでも今は姉の傍に居ようと決めたの。
私と姉は、初めて“姉妹”として家族になれた半年間だったと思う。
姉が出来ない事を、私は姉にしてあげた。
何でも出来る姉の世話を私がする日が来るなんて、思ってもみなかった。
それでも、姉は私や家族と居る時間を楽しんでいた。
最後の最後まで、、、。
最後は、眠るように姉が亡くなった。
私に、最後に姉が残してくれた言葉は、、、?
『今までごめんね、それと本当にありがとう! 結月がワタシの妹で
良かったわ。』
・・・姉がそう言って、私の手を握って亡くなった時、私も姉の手を
握り返していた。
最後にして、初めて姉と私が繋がった瞬間だったのかもしれない。
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