表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

私の姉は、私から何でも奪っていく。

作者: 七瀬
掲載日:2021/06/03







私の姉は、昔から私から何でも奪っていった。

お父さんやお母さんの愛情もそう。

生まれつき姉は、整った顔で周りの大人達から大変可愛がられた。

3つ下の妹の私は、“美男美女”の両親から産まれてきたのに。

まるで、ふたりに似ていない。

近所では、私があまりにも両親に似ていない為に...。

養子で引きっ取った子供なんじゃないかと疑われる。

親戚には、母が陰で浮気して作った子供だとも言われたそうだ。

でも、血液検査の結果! 間違いなく私は二人の両親の子なのにね。

それは間違いないのだけど、周りはなかなか信じてくれない。

両親もそんな私よりも姉を私よりも可愛がっていたように感じる。

私と違って、子供の頃から物静かで一人で本を読むような世話の

かからない姉だった。

それに比べて、私はおっちょこちょいでドジばかりする。

面倒を起こすのは、いつも妹の私ばかりで両親も私には手を焼いていた。

少しづつ、私たち姉妹も歳を重ねていくごとにもっと差がついていった。

姉は勉強もスポーツも万能で、クラスでは学級委員をしていた。

部活には一切入らず、家に帰ると直ぐに自分の部屋に行って勉強をする姉。

私は、だんだんと姉と比べられる事に疲れてしまったわ。

もう、姉と競い合う事をやめた。

私は、我が道を行く事に決めたの!





・・・そうなってくると?

益々、両親の愛情は【姉】に向かうようになる。

姉が高校に入ると? 私の初恋の男性ひとと付き合いだした。

姉は、私から何でも奪っていく。

幼い時は、姉と仲が良かった私も。

歳を重ねる事に、姉とは距離を置くようなっていった。

私は完全に、姉を“妬んでいたからだ!” 

私の姉は、何でも持っているのに。

私は、何も持っていない。

姉から私に話しかけてきても、無視する事が増えていく。





 *




私は、高校を中退して家を出た。

両親には、私の机に“私は一人で生きていくから探さないで

ください、今まで育ててくれてありがとう。マンナ”と書いた

置手紙を置いてきた。

両親が私を探してくれたかは? 今になっても分からない。

既に家を出て、あれから5年以上が経ち私は結婚して旦那と子供がいる。

今では、幸せな生活を送っているわ。

私は、自分の子供が産まれた事で実家に娘を見せに帰ることにした。

怒られる事を覚悟し、勇気を振り絞って突然私は実家に帰る事に、、、。




【ピーポーン】


『はーい! どなた?』

『・・・お、お母さん、』

『・・・ゆ、ゆ、結月、結月なの?』

『・・・ううん。』

『元気にしてたの?』

『うん! 私、結婚して子供ができたの! だから二人に会わせたくて。』

『そう、お母さんからも貴女に話があるのよ! お姉ちゃんが今、病気で

入院してるの。』

『えぇ!? お姉ちゃんが、』

『会いに行ってあげて!』

『・・・ううん。』

『じゃあーお父さんにも、お母さんから話しておくわね。』

『うん!』





 *




・・・私は、数年ぶりに実家に娘を連れて帰る事に。

そこには、車椅子に乗った姉が待っててくれた。



『えぇ!? お姉ちゃんなの?』

『そうよ、おかえり。』



数年ぶりに見る姉は、私の知っている姉じゃなくなっていた。

ガリガリに痩せ細って、骨の上に皮がついている感じで目も

くぼんでギョロッとした目になっていた。

私は、泣きながら娘を姉の膝の上に乗せる。

姉は、ニコッと笑って娘に笑いかけてくれた。





母から姉の容態を訊くと、、、?

もう医師からは、見放されて治療法はないと言われたそうだ。

今は、実家で家族と暮らしている。

余命は、残り半年生きられればいいらしい。

まさか!? 姉がそんな事になってるなんて!

父親も、私が久しぶりに実家に戻ってきて喜んでくれた。

娘を抱っこしてくれて、既に“おじいちゃん”の顔になっている。



『よく帰ってきてくれたね、結月。』

『・・・お父さんは、私を怒らないんだね。』

『あぁ、俺も悪かったんだ! 姉の美月ばかり構っていたから

こんな事になったんだと、今は後悔してるんだよ。』

『・・・お姉ちゃん、死なないよね?』

『・・・・・・』

『私ね! いっぱいいっぱいお姉ちゃんに悪い事しちゃったんだ!

私はお姉ちゃんを傷つけて、この家を出て行ったの。』

『じゃあーお姉ちゃんの傍に居てやってくれ。』

『えぇ!?』

『美月の命は、あと半年! それまで、ココに居てやってくれ!』

『・・・ううん。』





 *




私は、旦那の許可をもらい実家に一時的に戻る事にした。

たった半年しかないけど? それでも今は姉の傍に居ようと決めたの。

私と姉は、初めて“姉妹”として家族になれた半年間だったと思う。

姉が出来ない事を、私は姉にしてあげた。

何でも出来る姉の世話を私がする日が来るなんて、思ってもみなかった。

それでも、姉は私や家族と居る時間を楽しんでいた。

最後の最後まで、、、。




最後は、眠るように姉が亡くなった。

私に、最後に姉が残してくれた言葉は、、、?


『今までごめんね、それと本当にありがとう! 結月がワタシの妹で

良かったわ。』




・・・姉がそう言って、私の手を握って亡くなった時、私も姉の手を

握り返していた。

最後にして、初めて姉と私が繋がった瞬間だったのかもしれない。





最後までお読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ