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公園の外に出る時、ジンタくんは少しためらったが、すぐに私の後ろにやってきた。
「ほら大丈夫でしょ?」
私はジンタくんを安心させようと声をかけた。
「うん」
しかし、ジンタくんの声からは不安が伝わってくる。
「ジンタくんの家はここから遠いの?」
「ううん、近いよ」
「そっかじゃあ……行ってみようか!」
私は意識して、声のトーンをあげてテンションをあげた。
私だって内心は不安なのだ……。
「うん……こっち」
そう言ってジンタくんが先導して、家に向かった。
向かった先は静かな住宅街。きれいで新しい家が多い。
羨ましいなあ……私もこういう所で生まれたかった。
私の実家は土地こそ広いが全体的に老朽化が酷いし、神社って事もあり木がいっぱいで、虫とカラスが多くて、嫌で嫌でしょうがなかったのを思い出していた。
しばらくすると、ジンタくんが住宅街の中でも特に豪華で大きい家の前でぐるぐると回って、進まなくなった。
「どうしたの?」
「ここ……僕の家」
私は思った。
ジンタくんの親は金持ちだと。
「おねえさん……僕はどうしたらいいの?」
ジンタくんの問いに我に返り、自分の金の欲が嫌になった。
「会ってきなさいよ。満足したら公園に戻ってきて。私は公園で待ってるから」
「会っても……どうしたら……」
「ジンタくんの声は、家族には聞こえないと思うけど……ジンタくんの思いは家族に必ず届くと思うわ」
「うん」
そう言って、ジンタくんの魂は家の中に消えていった。
私はジンタくんを見送ると、公園に戻ることにした。
公園に戻る途中、嫌な予感が少しあったがジンタくんを信じる事にした。
(大丈夫、ジンタくんは必ず公園に戻ってくる)
小説には関係ない話だけど、東方projectって面白い!!!