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大丈夫……私なら大丈夫。
「ジンタくん、君をここから出してあげる」
「ここから出れるの?」
ジンタくんの声に元気はない。
「うん……それで、ジンタくんの家に行ってみようか?」
正直、なぜこんな事を言ってしまったのか……後悔した。
これは、私のエゴだ。
偽善者って言われてもしょうがない。
でもこのまま浄霊するのは……あまりにも可哀想でしょうがなかった……。
一目でいい、もう一度家族に会わせたかった。
「家に帰って……僕は……僕……は……」
………………。
ジンタくんの声は家族には届かない。
姿も見えない。
触れることだってできない……。
「私はジンタくんを浄霊する。そうなれば……もう家族には会えないけどいいの?」
「会っても、どうすることもできないじゃん」
ジンタくんが初めて声を荒げた。
「ジンタくんの言う通りね……でも本当にこれが家族を見る最後だよ」
「じゃ僕のことはほっといてよ……僕は待つ、きっとまたここに来る。それまで待つ」
「ごめん……それはできない」
「なんで?僕はずっと一人だった。これからだって一人でも大丈夫だよ」
「ジンタくんの心は不安定すぎるの……きっとこのままでは悪霊になってしまう」
「悪霊?」
「うん。もし悪霊になってしまったら、君は家族を不幸にするわ」
「不幸に?僕は絶対そんなことしない」
「いいえ、悪霊というのは自分が望まなくとも、親しい人を不幸にするの」
「なぜ?」
「ごめん……わからない。だけど、悪霊になった魂は必ず親しい人から不幸にする」
あくまでこれは、私の経験談にすぎない。
全国、いや世界に目を向ければ……異例もあるかもしれない。
でも私は大人だ。
私の経験という現実が、子供の希望を拒絶する。




