16
「天倉 サキ?」
まさか亡くなった天倉誠司の子供……。なぜか不安になる。
「孫でございます。真奈美様」
私はドキッとした。でも確かに娘だったら若すぎる。
「私って今声に出てました?」
まさか心が読まれた?……ありえない。
「いえ、なにも言ってませんよ」
そう言うとサキさんはニコって微笑んだ。
「ですよね」
これは偶然だ。そういう事にしておこう。
「早速本題ですが、成仏してほしいのは祖父の部屋におります」
サキさんは急に真剣な表情で語りだした。
「私が生まれる前、祖父が悪霊にバラバラにされ殺されました。祖母はそれ以降祖父の部屋を完全に封鎖し誰も入れなくしました。しかし4年前祖母が亡くなり、屋敷生の主となった父が好奇心からか祖父の部屋を開けてしまいました……」
「父親はどうなったのですか?」
私は恐る恐る尋ねた。
「父は上半身と下半身が離れた状態で発見されました。それに恐れを感じた私の母は、祖父の部屋をまた閉じたと同時に気を失い、現在でも意識は戻っておりません」
「サキさんは悪霊の仕業だと思っていますか?」
「間違いなく。母が祖父の部屋の扉を閉じる瞬間、私は隙間から中を見てしまいました」
「悪霊がいたんですか?」
「一人ではなかった……」
「一人ではない……と言うことは複数の悪霊がいたと?」
「複数というのはあまり正しくありません。祖父の部屋はおそらく悪霊のたまり場です」
「たまり場……」
私は悪寒を感じた。
「真奈美様。大変申し上げにくいのですが……今回の除霊において私どもは一切真奈美様の命の保証はできません」