12話 生徒会の佑月
長くなりそうだったので前後編で分割しました。
後編はまた後日( ˘ω˘)スヤァ
佑月が学校に慣れてきた頃、時を同じくして中間テストが始まっていた。
星女のテストは初めてで緊張していたものの、しっかりと勉強していたおかげもあってすらすらと問題が解け、余った時間で簡単な落書きすら始めている。
テスト対策として佑月に勉強を教わっていた由夏や茜も、ところどころで躓きながらもしっかりと回答を埋められている。
「あと5分。名前とか解答欄に不備がないか、ちゃんとチェックしてくださいねー」
名前も回答もよし。あ、落書き消しとこ)
のんきに落書きを消したり、そこにまた新しく書いたりとゆっくり過ごしているとすぐに五分が経過し、テスト終了のチャイムが鳴った。
解答用紙を回収し終えると、各々どの問題がどうだったとテスト関連の雑談をしに仲のいいグループで集まりだした。そしてそこで、次のテストに向けて問題を出し合ったり、教科書の確認もしている。
もちろんそれは佑月たちも同じだ。
「宮野さんは……完璧だったっぽいね」
「今回はみんなに教える分でいつも以上に復習したから。二人はどうだった?」
「私はまずまずかな。ゆかちーは?」
「国語だったから余裕。でも次の数学やっぱ不安だよー」
「じゃあ始まる前に改めてやっとく?」
「うん、お願いー」
こうして授業と授業の、テストとテストの間の小休憩の間に三人でテスト範囲の復習をして、次のテストに挑む。
(……今日の夕飯何にしようかな)
いち早くテストを終わらせた佑月は、頬杖を突きながらそんなことを考えていた。
いつもすぐにテストを終わらせて時間を持て余す佑月は、たいてい余った時間で関係ないことを考えている。
(あ、由夏ちゃん悩んでる……)
たまに由夏のほうをちらっと見て、様子を確認したりもする。
「テストお疲れさまでした。今日は各々自由に解散してください」
そんな調子で、四日間のテストに挑み、そして最終日、最後の科目が終了した。
「おわったー!」
「ゆかちーお疲れー。宮野さんは……眠そうだね」
「ちょっと寝不足気味でねー。しかもこの席……ふあぁ~、日当たりいいから……」
「確かにその辺の席は日当たりよくて眠くなるよねー。私も今日あぶなかったよー」
「ゆかちー昨日も同じこと言ってたけどね」
「い、いや、でもちゃんと解答欄は埋まってるから!」
「ほんとにー?」
「できてるよ! もー、そういうあーちゃんはどうなの?」
「今回は大丈夫。宮野さんが教えてくれたからね」
「二人ともいい結果になったなら教えた甲斐があったよ……ふあぁ~」
「なんか宮野さん見てたら私も眠くなってきちゃった……。よーし、テスト終わったし帰ってねよ!」
由夏はあくびをしながらぐっと身体を伸ばし、教科書を鞄にまとめ、珍しく一人で教室を出て行った。
「私も今日は先に帰ろうかな。宮野さんは?」
「あー、私はとりあえず生徒会室によってから帰るよ」
「そっか、じゃあまた来週ねー」
「うん、ばいばい」
茜が教室から出るのを見送り、佑月も鞄を持って生徒会室に足を運んだ。
「お邪魔しまーす……って、私が最初か」
佑月が生徒会室に着いた時には、まだ誰も来ていなかった。
誰もいないものの、副会長、会計、書記、庶務がいつも使っている机は書類にPC、未開封のお菓子の袋が無造作に置かれている。それとは対照的に、会長用の机はきれいに片付けられている。
誰もいないならと、佑月は普段琉莉が座っている椅子に腰かけた。
(お、ふかふか。いい椅子……)
「こんにちはーテスト終わったねー! ……おや、佑月さん」
椅子に座って会長を気取っていると、副会長の一ノ瀬野乃花が生徒会室に入ってきた。
「野乃花さん、こんにちは。会長は一緒じゃないんですか?」
「みんなにテストのこと聞かれてて遅くなりそうって」
「そっかー、じゃあ来るまでここでゆっくり待ってますね。ふあぁ~」
「あー、もしかして眠い? でも寝るのはダメだよー」
「じゃあ寝そうになったら起こしてくださいねー」
「はいはい。ああ、もし珈琲とかほしかったら入れるよ」
「あー、お願いします」
「ほい、珈琲ね。甘いのでよかったよね?」
「はい、甘いので」
くつろぎながら、しれっと先輩に珈琲を入れさせる。
教室では由夏と茜以外に話しかけられたときは由夏経由でしかまともに会話できない佑月も、ここでは先輩をパシリにするくらいにはなじんでいる。
「こんにちはー。お、のの先輩もゆーちゃんも早い! あ、ゆーちゃんクッキー焼いたんだけどいる?」
「美雪さん、こんにちは」
「佐野さん! 食べるー」
会長専用の椅子に座って可愛く足をぱたぱたさせる佑月の前に、ミルクと砂糖がたっぷり入った珈琲と会計兼お菓子担当美雪の手作りクッキーが置かれる。
「あーんっ……ん、おいしい!」
「やー、おいしそうに食べるみゃーんおん可愛いね。おいしそうに食べてくれてボクもうれしいよ」
「やっほーみんな! お、ゆーちゃんも来てたんだ」
「やっほー澪先輩!」
「ごくっ……。佐倉先輩、こんにちは」
「お、ちょうど佐倉先輩も今来たところだったんですね」
「菜緒ちゃん。帰るんじゃなかったの?」
「いやー、とりあえず寄ろうかなって。みんなも来ててよかったです」
佑月がくつろいでいると、書記の澪、庶務の菜緒と、生徒会役員が続々と集結した。
「ゆーちゃんさん、くつろぐねー」
「いやー、居心地がよくて」
「ふふっ、まあ確かにここは居心地いいよね。なんか家みたいで」
会長用の座り心地のいい椅子に日当たりのいい部屋、珈琲と手作りのおいしいクッキー。さらにこの部屋に来るのは全員佑月が問題なく会話できる女子だけだ。
クラスの女子より距離感は近いが、それでも生徒会の面々ならなぜか緊張することなくこうして問題なく会話できている。
「あら、みんな揃ってたのね。それに、ゆーちゃんも」
「くつろいでるよー。あ、いつもの席に行ったほうがいい?」
「いいわよ、そこにいて。あと皆、あまりゆーちゃんを甘やかさないでね」
「えー、いいじゃないですかー」
「だーめ。ゆーちゃんは私のだから」
(わー、なんかめっちゃモテてる気がする……)
佑月とて元は男。女子に囲まれてちやほやされたらうれしいものだ。といっても、状況的には完全に子ども扱いだが。
「さて、甘やかすのもほどほどにしてそろそろお昼にしない?」
「ですねー。あ、ゆーちゃん弁当持ってきた?」
「あー、今日持ってきてないや。琉莉姉分けてー」
「いいわよ。ついでに休憩中食べようと思って買ったパンも上げるわ」
「おー、ありがとう!」
佑月たちは隣の生徒会専用休憩室に移動し、弁当を広げた。
休憩室も生徒会役員以外は普通入れないのだが、佑月は黙認されている。
「いただきまーす!」
「ゆーちゃん、どれ食べたい?」
「唐揚げほしい」
「唐揚げね。はい、あーん」
「あーんっ……んっ~おいしい!」
「お口にあったようで何より」
「私のも上げる!」
「マジ? じゃあもらうー!」
「ふふっ。ゆーちゃん、モテモテね」
「んへへ、いやー、なんかいいね」
佑月が生徒会室にいるときはいつもこんな感じだ。もちろん手伝うときは真面目だが、それ以外は大抵誰かにお菓子をもらったり、休憩のためだと膝に乗せられ頭を撫でられている。
初めは抵抗していたが、一瞬で懐柔されて今に至る。
「ゆーっちゃんって体位は小っちゃいけど結構食べるよねー」
「育ち盛りだから。これからどんどんおっきくなるからね私」
「えー、ちまっとしてるほうが可愛いから今のままでいてよー」
「やだ絶対背伸ばすから。高いところの物とれなくて不便だし」
「そういう可愛い姿が見れなくなるのは人類にとって損失だよ!」
「それには私も同意するわ」
「あ、琉莉姉裏切った!」
「何言ってるの、私はもとから可愛いゆーちゃんを眺めたい派よ」
「味方なしか! くそー!」
由夏たちの前でも見せないようなノリを、この場では見せる佑月。
本人もなぜこんなに居心地がいいのかわかっていないが、この場では今までの——男であった時のように楽しく過ごしている。
何も起こらなければ、生徒会は佑月にとっての安息の地なのだ。
佑月は大体身長146cmくらいです




