2.生き様
次の日の朝。早速、俺は行動に移していた。
「おはよう高円寺」
俺は机に突っ伏して寝ている高円寺に向かって声をかける。そしたら高円寺はむくりと起き上がって……
「ん……? ああ何だ、あいのーんか。ふあぁぁ……」
「随分と眠そうだな。どうかしたのか?」
「いや別に……それよりあいのーん、ヒナヒナと遊園地行ったんでしょー? いいなぁ」
おっと、もうその情報を仕入れているのか……流石、情報屋の高円寺だ。
「ああ。ヒナノから聞いたのか?」
「うん、そだよー? ……それでどこまでいったの? ディープキスくらいはした?」
「ばっ、馬鹿、お前っ! 俺がそんなするワケが…………ワケが……なっ、ないだろ?」
この言い方は完全にしたヤツの言い方だが……実際マジで何もいかがわしいことは何もしてないからな! ホントだからな!
いや……正確に言えばしようとしたけど出来なかった、って言う方が正しいのか……?
「……」
「っておい、どうした高円寺?」
「…………へっ? あっ、ああ。ごめん。ちょっとボーッとしてたよ。あはは……」
「……」
うん、やっぱりおかしいな。
高円寺はどこかうわの空というか、なんと言うか……とにかく、何かしら問題を抱えているのは間違いなさそうだ。
「なぁ、高円寺。お前本当に大丈夫か?」
「えっ、だっ、大丈夫だってば! その優しさはヒナヒナに向けてあげなよ!」
「ああ……それは安心しろ。お前の数百億倍は、ヒナノに親切にしてるから」
「うわっ、それはそれでキモっ!」
「……」
もう少しオブラートに包んでくれよ……いやまぁ確かに、さっきの発言はキモかったけどさ。それでもだよ。
「とっ、とにかく、ウチは大丈夫だから! 用がないのなら、もうどっか行ってよ!」
「……」
それに少し怒らせてしまったみたいだ……まぁ、そこまで言われたら食い下がるワケにもいかないよなぁ。
「ああ……分かった」
俺は大人しく自分の席に戻るのだった。
──
「ねぇ……シュン君、どうだった?」
自分の席に戻ると、隣のヒナノが不安そうに話しかけてきた。
そんなヒナノに向かって、俺はお手上げのジェスチャーを見せつつ言う。
「ダメだ、何も分かんなかったよ」
「うーん……そっか。それじゃあ、別の方法を考えなくっちゃね?」
ヒナノはちょっとだけガッカリしたような表情をしたが、スグにまた何か行動を起こそうと考えている。
やはり彼女はいつだって前向きだ。この切り替えの早さは、見習わないといけないな。
「うーん、別の方法か……」
しかし俺の頭では特別、有力な案が浮かんでくることはなかった……そんな中。
「あっ、シュン君シュン君! 私すごい作戦考えちゃったよ!」
元気なヒナノの声が。どうやら何か良い案を思い付いたらしい。
「えっ、なんだ? 教えてくれよ」
「うん! あのね、心美ちゃんが早退したら……私らも早退して、心美ちゃんの後を追いかけるの!」
「えっ……?」
「そしたら心美ちゃんがどこに行っているかが分かるし……それに他の情報も手に入れられるかもしれないの!」
「……」
それは……あまり良い案とは言えない。
当然、俺だってその考えは思い付いた。でもその作戦には……色々と問題があるんだ。
「ヒナノ……その作戦はかなりリスキーなものだ。高円寺の隠したがっているものを、かなり強引な方法で見に行くってことだからな。だからもし追跡がバレても、言い訳は通用しないってことになる」
「うん、それは分かってる……でも! 心美ちゃんの辛そうな顔を、黙って見てるのはもう嫌なの!」
「ヒナノ……」
「別に私は嫌われてもいいの! ただ……私は心美ちゃんの力になってあげたくて……!」
うん……そうか。そうだよな。
ヒナノはそういうやつだ。親切なワケでもお人好しなワケでもなくて……
ただ。自分の決めたことに、ひたすら真っ直ぐなんだ。
高円寺の辛そうな顔が見たくない。ヒナノはたったそれだけで、嫌われる覚悟まで持って行動を起こそうとしているんだ。
そんなカッコイイ生き様見せられて……俺何かが止めて良いワケがないよ。
「……分かった。その作戦を決行しよう」
「やったぁ!」
「でも……誰が高円寺の後を追うんだ?」
「えっ? それはみんなで……」
「高円寺が早退した後に、俺ら全員もしたら、流石に変な目で見られるだろ」
「あっ、そっか」
「だから俺らの中で誰か1人代表を決めて。その決まった代表が早退して、高円寺の後を追う……これで問題ないだろ」
「うん、分かったよ。でもその代表って……どうやって決めるの?」
「それはまぁ……ジャンケンか何かでいいんじゃないか?」




