25.会議終了!
それを聞いた草刈は嬉しそうに言う。
「そうでござろう! 夏には親睦を深めるイベントが、これでもかと言うくらいありますからな!」
「うん、その通りだ! それに夏には……どの季節にもない、不思議な力があると思うんだよ!」
「ええ、分かるでござるよ! ギャルゲーでも夏の時期が1番イベントCGが多いでござるからな!」
「……うん?」
とりあえず……草刈の言う通り、夏にはイベントが沢山あるんだ。これを使わない手は無いだろう。
まぁ……イベントを使って仲直りしよう、なんて浅はかな考えだと思われるかもしれないけど。
でも俺はさっき言った通り、夏という季節にも力があると考えているんだ。
どんな力があるのか、というのは言葉にするのは難しいが……エモの一言で片付けたくはないんだよな。
「……おいおい。私に説明してくれよ」
委員長は自分だけ理解出来ていないのが面白くないのか、不機嫌そうに俺らに聞いてくる。
「そのまんまの意味だよ。夏ならではの行事って沢山あるでしょ? ほら、花火大会とかお祭りとかさ。それで会うきっかけを作るんだよ」
「……ふーん。イベントで呼び出す口実を作り、その場の雰囲気を利用して、どうにか関係を修復するって作戦か?」
「すごい言い方悪いけど……そういうことだよ」
もう少しマシな言い方して欲しいんだけどな……そして草刈は。
「では、どのイベントを使うでござるか? さっき言った祭りもありますし……海とか遊園地とかに行くのも手ですぞ!」
そうやって色々と提案してくれた。しかし……
「うーん……海とか遊園地は結構遠いからなぁ。誘うのは難しいんじゃないかな……いや、行けるなら行きたいけどさ」
「確かにそうでござるな。ならば今回は周辺で探してみるでござるよ」
そして俺と草刈はスマホを使って、周辺で行われるイベントを探し出した……そんな中、委員長が。
「それなら藍野、花火大会はどうだ? 私は行ったことないんだが……どうやらこの辺で毎年開催されているらしいんだ」
と口にした。
「花火大会?」
「あっ、我は昔行ったことあるので知ってますぞ! 確かそれ『射布留川花火大会』のことだと思いますぞ!」
全く聞いたこと無いな……というか何だその川の名前は。絶対悪ノリで名付けただろそれ。
「……というか草刈君、花火大会のことを知ってるなら、何で候補に挙げなかったんだ?」
「えっと、それはですな……今は分からないのでござるが、昔は人がとてもとても多くてですな。花火を見るどころでは無かったのでござるよ!」
「……なるほどね」
花火大会など行ったことがないので、どれくらいの人数がいるのか想像出来ないけど……草刈の話によると相当いそうだからなぁ。
音楽のライブぐらいの人数が集うのだろうか……それなら人混みが超苦手な俺には、相当厳しいかもしれないなぁ。
……なんて思ってたら委員長が。
「ん、人が多いくらい別に良いだろ。ならその花火大会で決まりだな」
「えっ? 決まったの!?」
「別にイベントなんて、どこでも人はいるだろ」
「いやそうだけどさぁ!」
密度が違うんだよ! 遊園地とその辺の川に同じ人数を投入してみてよ! どっちが窮屈になるかは、賢い委員長なら分かるでしょ!?
「しかし……近場に絞るのならば、このくらいしかイベントが無さそうでござるからな。ほら、藍野氏」
諦めたように草刈は言って、スマホを見せてくる……その画面には、この近くで開催されるイベント一覧みたいなページが表示されていた。
そこには1行『射布留川花火大会』とだけ……
「どうなってんだよこの町は」
こんなにイベント無いもんなの? 過疎化進んじゃうよ? いいの? みんなでトウキョーシティに出て行っちゃうよ?
「気になったんだが草刈……本当にこんな所の花火大会に、そこまで人が集まっていたのか?」
「ええ。なぜか花火のクオリティは非常に高いので、県外からも来る人がいるらしいですぞ。それに……屋台も多く出てましたから、これで稼いでいるんでござろうなぁ」
「……」
何で花火大会1本で町おこししようとしてんだよ……というかもうイベントがこれしかないのなら、俺には選ぶ権利すら無いんだよなぁ。
「はぁ……あまり気は乗らないけど、この花火大会を使うことにするよ」
俺がそう言うと、「おー」と2人はバラバラにパチパチと拍手をして……委員長は立ち上がる。
「よし。じゃ、当日は頑張れよ藍野」
「えっ、ちょっとちょっと待って!? 2人も花火大会に来てくれるよね!?」
「……」
「……」
すると2人は顔を見合わせ……
「えっ、まぁ……来てやってもいいんだが。お前達の邪魔になったりはしないか?」
「いや全然全然! お願いだから来てよ!! 」
「別に我も構わないんですが……もし、藍野氏らが仲直り出来なかった時、我はどんな顔をしていればいいかが分からなくてですな……」
「そんな失敗した後のこととか、考えなくていいから!!」
「はぁ。分かったでござる」
……とりあえず2人は納得してくれたようで、花火大会には来てくれるらしい。助かった、俺だけじゃ色々と持たないよ。
それで後は……ヒナノと高円寺なんだけど。
「あぁ……誘うの怖いよぉ!!」
メッセージを送ろうとする俺の手が震え過ぎて、文字をまともに打つことが出来なかったのだ。
それを見かねたのか委員長は。
「はぁ……ならもう私があの2人を誘っておいてやる」
「……えっ? いいの?」
「ああ、特別だぞ」
「あっ、委員長。俺も来るってちゃんと伝えて……」
「それは分かっているから安心しろ」
そして委員長は2人に連絡してくれて……ひとまず、この場は解散となったんだ。
──
後日、委員長から『2人から承諾得た』という旨の連絡が届いた。
俺は天空に向けてガッツポーズを取り、頭の中で当日のシュミレーションを2時間程行ったのだった。




