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5.勉強を楽しくする方法

 結局、勉強会は……俺、ヒナノ、高円寺、草刈、委員長の5人で行われることになった。


 そして俺ら3人組は教えられる側、草刈と委員長は教える側として、個別の塾みたいな感じで勉強会は進んでいったのだ。


 それで……最初に俺の隣に着いてくれたのは、草刈だった。俺は教科書を開きながら、草刈に話しかけてみる。


「草刈君……俺さ、暗記みたいなのはあまり得意じゃないんだよね。何かコツみたいなのってあるかな?」


「コツでござるか? んーなら例えば……藍野氏は歌を覚える時、どうやって覚えるでござるか?」


「えっ?」


 変な質問に少し驚いてしまった。


 歌? 歌か……俺、あまり歌には興味ないんだよな。別に草刈はそういうことを聞いているんじゃないと思うけど。まぁ覚えるとするなら……


「えっと……普通に聞いて覚えるかな」


「そうでござるか。それなら教科書も音声で覚えるのをオススメするでござるよ?」


「音声?」


 何か凄い提案してきたな……? 天才しか許されない、独特なやつなんじゃないのかそれ?


「草刈君……音声って?」


「そのまんまの意味でござるよ。教科書を読んだ音声を録音して、それを暇な時に聴く……これが意外とすぐに覚えるんでござるよ!」


「へぇー。ハイテクな勉強法だね」


 何ともまぁ現代的な勉強法だ。


 まぁ……英語とかも声に出した方がいい、だなんてよく言われるけど……実際にしてる人はあんまり見ないよな。こういう所で差がつくもんなのか?


 ……でもその方法は、俺には難しいんだ。だって……


「でも草刈君……俺、自分の声を聞くのがめちゃくちゃ嫌いなんだよね。勉強どころじゃなくなるよ」


「ほう……そうなのでござるか?」


 そしたら草刈はスマホを取り出して……何やら文字を入力し出した。そして俺にスマホの画面を見せてくる……そこに表示されていたのは。


「音声……依頼サイト?」


「その通りでござる! これを使えば、声優の卵の方達に授業のノートとか読んでもらえるのでござるよ?」


「あっ……へぇ……そうなんだ」


 いや、どんな発想だよ。俺が100回頭打って逆立ちしても、絶対出てこない考えだぞそれ。


「でも草刈君……依頼にもお金はかかるよね?」


「無論ですぞ! 無償で働いて貰うなんてありえないでござるよ!」


「いや、それは分かってるんだけど……お金をかけるなら、塾とかの方がいいんじゃ……?」


 すると草刈はメガネをキラーンと光らせて。


「甘いですぞ藍野氏。無論、お金はかかりますが……塾などと比べると圧倒的に格安! それに幼なじみや年上の先輩みたいなシチュエーションも付けられるのですぞ!」


「はぁ……」


「それに……ふひっ、ここでは言えないような……トロトロ甘々ボイスも付けてもらったり……!! というかむしろそっちが本編だったり……!?」


「あー分かった分かったから!」


 草刈が興奮して暴走し出したので、俺は無理矢理話を止めた。


 まぁ分かったことは……人にはそれぞれの勉強法があるということ。そして草刈の勉強法は……全く参考にならないということだ。


 ──


 そして次に隣に着いてくれたのは、委員長だった。どうやら委員長は、俺が草刈とわちゃわちゃやっている間に、ヒナノと高円寺を一通り教えていたらしい。


「委員長、2人はどうだった? ちゃんと出来ていた?」


「……」


 俺がそう聞くと、委員長は全くの無表情で答える。


「雨宮は……平均的な学力は持ち合わせていた。だから飲み込むのも比較的早く、まぁまぁ教えがいはあった」


「そ、そっか……良かったよ。じゃあ高円寺は──」


「言うな」


「え?」


「言うなっ……!」


 委員長は怒りか悲しみか分からないけど……プルプル身体を震わせた……おい何したんだよ高円寺!!!


「え、えっと……始めましょうか」


「ああ。何の教科をするつもりだ?」


「とりあえず数学を教えて欲しいな」


「分かった」


 ──そっから俺は、委員長から停学中に進んでいた所を中心に教えてもらった。


 流石委員長と言った所か、全く無駄のない解説をしてくれるから頭にズカズカ入ってくる。ぶっちゃけ教師よりも分かりやすい……もうアンタが授業やってくれよ。


「ということは……ここは公式を使うんだね」


「ああ。藍野は理解が早くて助かる」


「あ、ありがとう」


 そして褒められると普通に嬉しい。もしこれがギャルゲーなら、委員長は勉強のステータスを上げてないと、全く相手にされないんだろうな…………何の話?


「ねぇオタク君って彼女とかいるのー?」


 ……そしたら向こうから勉強に関係ない、完全な私語が耳に入ってきた。普通にイラッとしたので、俺は注意する。


「おい高円寺、私語は慎め」


「えーだって勉強ばかりじゃ飽きちゃうよー?」


「勉強会ってそういうもんだろ」


「ちぇー」


 高円寺は渋々納得した……かに見えた。高円寺はまた全員に聞こえるような音量で喋るのだった。


「あっ、そうだ! 勉強が楽しくなる、いいこと思い付いたよ!」


「何だよ高円寺……?」





「テストの点数が1番高かった人が……みんなにお願いごとをきいてもらうってのはどうかな?」

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