3.勉強会メンバー招集!
勉強会? そんなもの必要ない……と俺は口に出そうとしたが。ちょっと待て。もしもヒナノも参加するのなら……俺が教えたり、教えてもらったり出来るのでは?
つまり……沢山お喋り出来るのでは!?
この考えに辿り着いてから、俺の答えは早かった。
「高円寺……勉強会いいな。やろう」
「さっすがー。あいのーん話が分かるね! ヒナヒナは?」
そしたらヒナノも。
「うん! 私も参加したいな!」
と元気よく言ったのだった。
「よーし! それなら明日から勉強会しよう! 2人とも教室に残っててね!」
「ああ」
「うん!」
こういった約束をするのは新鮮なので、少しだけワクワクしてしまう。ヒナノも俺と同じ気持ちだったらいいな……なーんて。
「何ニヤニヤしてんの、あいのーん」
「してねぇよ。それよりお前、テストはしっかり受けるんだな。サボるかと思ってたよ」
「テストはちゃんと受けるよ? 受けなかったら平常点で点数を決められるからさ……だからテストはどれだけ自信がなくても、絶対受けた方がいいんだよ!」
「あっそう……」
その辺は本当に詳しいんだな……俺も無駄な知識が増えてきたよ。いつ使うか分からないけど。
──
それで次の日。教室に残った俺たちはテキストを広げて、各々勉強を進めようとしていた……のだが。
「ねぇ、あいのーん。ここ分かる?」
「え? うわ……何だその単元。全く知らねぇ」
「んーじゃあヒナヒナは?」
「えっと……ごめん、私もちょっと分からないかな……」
……全く進んでいなかった。
まぁそうだよ。勉強会ってのは賢い人がいて、初めて成立するものなんだよ。
俺(2週間の停学明け)と高円寺(意図的な不登校児)とヒナノ(ただの天使)じゃ進むモノも進まねぇよ……ああ。どうしようもねぇよ……
……と。3人で頭を悩ませていると。
「藍野氏? 何をやっているでござるか?」
聞きなれた、オタクボイスが。はっと俺は顔を上げると……そこにはリュックを背負った草刈の姿が。多分今から帰るのだろうが……うん、引き止めよう。
「くっ、草刈君! 実は俺、見ての通り勉強会をやっていてさ……」
「勉強会? リア充がよくやるやつでござるか?」
「偏見が凄いけど……それ! それをやっているんだけど……このメンバーだから全然進まなくてさ」
「そうなんでござるか」
草刈は他人事のように言う。いや実際他人事なんだけどさ……そういや草刈って勉強出来るんだっけ? ちょっと聞いてみようかな。
「ねぇ、草刈君。草刈君って、勉強は得意な方?」
「ん、まぁそれなりには出来ると思いますが」
「なら俺達に────」
ここで高円寺が、俺達の会話に割り込んできた。
「ねぇねぇ、それならオタク君! この問題分かったりする?」
そう言って高円寺は、ほいっと草刈にテキストを見せる。
「オタク君とは随分と安直なあだ名ですな……むむ、どれどれ?」
いやいや草刈。そこは怒っていい所だから。何なら俺が代わりに怒ってやろうか?
「ああ……これ数学でござるか。我は理系科目だけは無理なのでござるよ」
「えっ!? メガネなのに!?」
「メガネなのにでござる」
お願いだから怒ってくれって。相当馬鹿にされてるぞ……それで草刈は、問題が解けなかったのが申し訳ないと思ったのか、こんな提案をしてくる。
「我は文系科目なら得意でござるから、それなら教えてもいいでごさるよ? そして余裕があるのなら、理系科目担当の方を連れて来たらどうでござるか?」
「いい案だねオタク君! 採用!」
何でお前が全部仕切ってんだ……別にいいけど。それで俺と同じくヒナノも納得したようで、ヒナノは草刈にこう尋ねる。
「えっと、草刈君。理系科目が得意な人って、誰か心当たりあるの?」
そしたら「ふふふ」と草刈は。
「このクラスにいるではありませんか。学年1位候補と噂されている……二宮氏が!」




