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現代剣聖物語 モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 外伝  作者: よっしゃあっ!


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83/98

83.VS刃獣 前編

 

 空に浮かぶ一振りの剣。

 それを指してボルさんは『刃獣』と呼んだ。

 そう言えば、検索さんの情報でも刃獣の容姿については言及はなかった。

 でもまさか『剣』そのものだなんて全く予想外だった。


『あやめよ、見た目に惑わされるな。アレがクラーケンを瞬殺するところを君も見ただろう』

「はい……」


 そうだ。

 見た目なんて関係ない。

 アレがとてつもない化物だという事は、嫌でも理解出来る。

 

『アァ……』


 不意に、頭の中に何かが流れ込んできた。

 これは……声?


『アァァァアアアアアアアアアアアガアアアアアアッハッハッハッハッハッハ! 死んだ! 死んだ、死んだ、死んだ! あーーーー死んだあぁああ! あー、やっぱりでっけぇ獲物は斬り甲斐があるぜぇぇええええええ! はーっはっはは! あー、最高だ! 最高に気分がいいぜぇぇえええええええええっ!』


 何、この声……?

 ボルさんでも、ベレさんでも、ソウルイーターの中で聞いたアガさんの声とも違う。

 荒々しく、それでいて底冷えするような畏怖と狂気を含んだ声音。

 もしかして、これって刃獣の声なの……?


『あーー、でも足りない。コレじゃねぇんだよ、俺様が斬りたいのはコレじゃねーんだ。斬ろうと思って普通に斬れるだけじゃツマンネぇ……。もっと、もっと、もっと、そうアイツ・・・みたいな斬っても切っても伐っても、何度でも、何度でも、何度でも斬り刻めるような獲物じゃねーと駄目なんだよぉおおおおおおおおおおおお!』


 うるさい。

 頭の中がぐちゃぐちゃにかき回されるようだ。

 余りの不快さに、私は思わず顔をしかめると、

 

『――なあ、女。お前もそう思うだろ?』


 刃獣が目の前に居た。


「え……?」

『お前か? お前だな。お前だ。その剣の持ち主は。『今』の魔剣ソウルイーターの持ち主は。アイツ・・・と同じ匂いがする。でも弱そうだな。アイツ・・・に比べて簡単に斬れそうだ。なあ、おい、なんか言えよ? 聞こえてんだろ? 聞こえてるよなぁ! 俺様の声が聞こえてるよなぁ、おいっ!』

「~~~~~~ッ!?」


 次の瞬間、刃獣の体に変化が起きた。

 刀身部分が扇のように展開し、何十、何百という刃が現れたのだ。

 イワシの群れが密集して一つの巨大な姿になるように、現れた無数の刃は密集して巨大な二本の腕のような形に変化した。

 それは瞬きよりも短い刹那の間。

 当然、私は反応できる訳もなく――、


『あやめっ!』

「九条!」


 突然、横から入ってきたボルさんと上杉さんが私を守るように間に入って、


『ぐっ……!』

「がはっ!?」


 その全身を切り裂かれるまで、動く事も――いや、なにが起こったのか理解する事すら出来なかった。

 ボルさんは眼窩の炎が失われて、上杉さんは全身から血を吹きだしてその場に倒れた。


「ぼ、ボル、さん……? 上杉さん……?」


 え、ちょっと待って。

 なにこれ? なんなのよ、これは?

 死んだ?

 いや、生きてる……? 生きてるよね、二人とも!

 検索さん、二人は――、


 ――構えろ!


「ッ!」


 刹那、体の内側から響くその声に導かれるように、私は反射的にソウルイーターを顕現させた。

 顕現した剣と盾は左右から迫っていた刃の腕を弾いた。


『はっはー! 弾いた! 弾きやがったぜ、コイツ!』


 そんなに笑って何が面白いの?

 上杉さんとボルさんをこんなボロボロにして何が……。


「何がそんなに! 面白いのッ!」


 ――『魂魄武装』レッサー・キャタピラー百匹。

 強化された脚力を使い、一気に刃獣へと距離を詰める。


『おぉ?』


 ――『魂魄武装』ゴブリン二百匹、オーク五十匹、レッサー・ウルフ五十匹。

 瞬発力、腕力を最大限まで強化する。

 刃獣は動かない。

『目』がどこにあるかもわからないけど、ただじっとこちらを見つめているように感じた。


「ハアアアアアアアアアアアアアッ!」


 私は『魂魄武装』によって強化されたソウルイーターを振り上げる。

 今までで一番速く、そして間違いなく最強の一撃。

 その一撃を、刃獣は避けなかった。


『――こんなもんか?』


 いや、それどころか微動だにすらしなかった。

 私の振り下ろした剣は、刃獣の鍔の部分に当たって、そのまま止まっていた。

 何なのこの感覚……?

 硬いとか、斬れなかったとかそういう感じじゃない。

 まるで刃獣の体に当たった瞬間、斬撃そのものが消え去ったような奇妙な感覚。

 

「斬撃を無効化した……?」


 いや、それとも違うような気がする。

 攻撃そのものが、ぷつんと糸が切れたように無くなったような……。

 そこまで考えて私の脳裏にある恐ろしい考えが浮かんだ。


 もしかして刃獣は私の攻撃そのものを『斬った』のではないかと。


 攻撃が斬られて消えた。

 自分でもおかしなことを言っていると思うが、そうとしか思えなかった。

 そんな事があり得るのか?

 いや、でも検索さんは言っていたではないか。

 刃獣に斬れないものはないと。

 攻撃を無効化され、私は無防備になる。

 

『――死ね』

「ッ……!?」


 次の瞬間、刃獣の斬撃が私を斬り裂いた。


刃獣は念話LV10を持ってるため、某ドラゴンさんと違って、スラスラ話せます

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本編及び外伝よろしくお願いします
本編及び外伝どちらもよろしくお願いします

― 新着の感想 ―
[一言] 某師匠想起したが能力はフランドールかい。
[良い点] 毎日更新すっごい偉い! [一言] 刀獣先輩は読者には優しい(?) 気温崩れやすいから、体調には気をつけてくださいねー!
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