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現代剣聖物語 モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 外伝  作者: よっしゃあっ!


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81.一時の団欒


 結局、その後はソウルイーターの訓練に全て費やすことになった。

『魂魄召喚』は割と簡単なのだが、『魂魄武装』の方が予想以上に難しかったのだ。

 魂による強化は思った以上に加減が難しく、しかも消費する魂の種類によっても効果が異なるため、それぞれの効果をきちんと把握していないと、強化どころかかえって仲間の足を引っ張ってしまう事になる。


『訓練あるのみだ』

「ハァ……ハァ……はい」


 地面に倒れ込む私に、ボルさんは声を掛けてくる。


『今はまだ実戦で使い物にはならんだろうが、慣れれば相当な戦力になるはずだ。現に不意を突いたとはいえ、ベレに一撃喰らわせたのだからな』

『けっ……』


 ボルさんはニヤニヤと笑いながら――いや、骸骨なんだから笑ってはいないんだけどそんな気配を出しながら、ベレさんの方を見る。

 ベレさんは非常に面白くなさそうな気配を漂わせながら、槍で地面を小突く。


『確かに油断してたが、俺が反応できなかったのは事実だ。……アガが使ってた技に似てやがる』

「アガさんもやっぱり『魂魄武装』を?」

『おそらくな。アイツはその辺の説明を俺らに全然しなかったからな』

「そうなんですね。あ、そう言えば、お二人の武器もソウルイーターなんですよね? やっぱり解放条件とか大変だったんですか? もしよければ後学の為に教えて欲しいんですが……」

『別に構わねーが、剣、弓、槍、杖とそれぞれ条件は異なるから参考にはなんねーと思うぞ?』

「それでも構いません。是非、教えて下さい。先輩の魔杖もいずれは強化しなきゃいけないので」


 そう言う意味でもボルさん達の経験談を聞くのは無駄じゃないはずだ。

 検索さんに聞けば解放条件は分かるけど、そのために何をしたかとか、どういう工夫をしたかとかは本人にしか分からない。

 私はボルさん達から、弓や槍のソウルイーターの事を色々聞いた。


『――とまあ、こんなところか』

「ありがとうございます。すっごく参考になりました」

『ふっ、こんな昔話で良ければいくらでも教えるさ』


 そんなこんなであたりはすっかり暗くなってしまった。


『今日はもう終わりにしよう。周囲の警戒は我々に任せて明日に備えてゆっくり休むといい』

「はい、ありがとうございます」


 その言葉に甘えて、私は一旦シェルハウスに入った。




 シェルハウスに入ると三木さんが出迎えてくれた。


「お疲れ様です、ご飯出来てますよ」

「ありがとうございます」


 テーブルの上には夕飯のおかずが所狭しと置かれていた。

 から揚げに、ポテトサラダ、それにナスの煮びたし、それにカットされた果物。

 見てるだけでお腹が空いてくるようなメニューだった。

 それに飲み物には冷えたビールまで置いてある。


「お先に風呂を頂いたぞ。はぁー、さっぱりした」

「きゅいー♪ きゅっぷー……」


 上杉さんは先にお風呂に入ったようだ。

 小さな蛇サイズのリバちゃんも一緒にホカホカしてる。

 ……リヴァイアサンってお風呂好きなんだ。


「あやめちゃん、早く食べようよ。私お腹空いちゃったよ」

「そうですね、先輩」


 すでに席についている先輩はパジャマ姿で待ちきれないといった様子だ。

 ああ、よかった。どうやらメンタルの方は回復したらしい。

 三木さんに感謝である。

 上杉さんはから揚げと共にビールを一気に飲み干した。


「美味い……ビール最高。ふふ、働いていなくてもビールは美味いのだな。世界がこうなる前を思い出すなぁ……。いや、家事とかおじいちゃんの道場とか手伝ってたし無職ではないんだがな……ふふふ」

「……」


 上杉さん、そのコメントは反応に困るのでやめて下さい。

 私はお酒が飲めないので、烏龍茶を頂きました。

 夕飯を終えると、皆でシェアハウスの拡張について話し合う。

 今回の大量の魔石ゲットで『窓』が設置できるようになった。

 加えて、他にもいくつか新機能を追加することが出来るようになったのだ。

 話し合いの結果、新たに寝室を作る事になった。

 寝室は二部屋、二人一組で中にはふかふかのベッドが置かれていた。


「みゃ~♪」

『ミャゥ~♪』


 そして何故か、ベッドが出来て一番上機嫌だったのはハルさんとメアさんだった。

 それぞれベッドの真ん中に陣取って丸くなっている。

 ハルさんが使ったベッドは私が使うとしよう。

 メアさんが使ったベッドは先輩が使う事になった。

 喜んで貰えたようで何よりだ。

 

 次に『窓』の設置だ。

 これでシェルハウスの中からでも外の様子が分かるようになった。

 ただ縮尺が異なるので、外の景色が凄く大きく見える。

 

「おー、ボルさんたちがナイトメアに乗って移動してる様子が分かるねー」

「そうですね。とはいえ、夜なのであまりよく見えませんけど……」


 外は夜の闇に覆われて碌に見渡す事が出来ない。

 街は電気が通ってないので街灯の灯りも無く、頼りになるのは月明かりのみだ。

 なんかこういうところで改めて世界は変わったんだなってことを思い知らされる。


「えーっと、キャタピラー……虫系の魂だと脚力が強化されて、マイコニドみたいな菌糸系だと防御力、ゴブリンやオークみたいな人型だと腕力、レッサー・ウルフみたいな犬系だと嗅覚や瞬発力……。複数の魂を同時に使用した場合、生前のモンスター達のレベルに応じて強化される割合が違うし、これかなり難しいなぁ……」


 あとは寝る前に『魂魄武装』の復習をする。

 検索さんに調べて貰えば一発だけど、きちんと覚えておかなきゃ意味ないからね。

 ちなみに先輩の魔杖はまだ解放条件を満たしていない。

 ちょっとばかり条件が特殊で、解放出来るのはクラーケンを倒した後になりそうだ。

 訓練とレベル上げ、そして人助けをしながら四国を進む。

 そして三日後――私達は遂に鳴門市に到着した。


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本編及び外伝どちらもよろしくお願いします

― 新着の感想 ―
[一言] 新居浜によってくれなかった。悲しい。 西条市には大きな病院がなく、東予最大は、新居浜市にある住友別子病院です。
[一言] 3日も時間があれば結構モンスターを狩ったりソウルイーターとスキルの鍛錬をすることができたはずでおそらくこれでレベルは30に到達してあやめは進化できるようになりそう。
[気になる点] 何気に検索さんに効率的な修行法や今後するべき事など、調べておくべき事とか聞いてるのかな? 事前情報を得る事で物事の成功率を大きく上げれるけど、危険な世界になった現状で検索さんという至…
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