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7.モンスターとの初戦闘です


 ハルさんの後を追い、逃げる。

 追いかけてくる骸骨スケルトンたち。

 振り切れない。

 でも距離も縮まらない。


「あれ、ここって……?」


 気付けば私は住んでたアパートへと戻ってきた。

 

「みゃぁー」

「ハルさんっ」


 ハルさんはあの骸骨の騎士が残した剣の傍で私を待っていた。

 

「みゃぁ。みゃぁー」

「何、ハルさん……。まさか、それで戦えって言ってるわけ?」

「みゃぁ」


 ハルさんはこくりと頷く。

 マジですか……?

 いやいや、無理でしょ、どう考えても。

 私、剣どころか包丁すらまともに握った事ないよ?


「……って、あれ?」


 この剣、こんなに小さかったっけ?

 なんかさっき見た時よりも、この剣凄く小さくなってるような……?

 確か、私の身長並みにデカかったと思うんだけど……?

 普通に私が持てるサイズになってる……。気のせい?

 

「カカッ!」


 あ、ヤバい。

 骸骨スケルトンたちがこっちに向かって来る。

 散々逃げられて、おかんむりなのだろう。

 カタカタと骨の鳴る音が大きくなっている。


「みゃぁ、みゃぁー」


 一方でハルさんは肉球で私の足をぺしぺししながら、「はやく、はやく」と急かしてくる。


「あーもうっ。こうなりゃやってやるわよ!」


 私は骸骨の騎士が使っていた剣に手を伸ばす。

 柄を握りしめると、ずっしりとその存在感が伝わってくる。

 女は度胸! コイツでアイツらを一刀両断してやるわ!


「カカカ!」

「カカ!」

「カヒッヒヒヒヒ!」


 骸骨スケルトンたちも、ようやく私が戦う気になったのが嬉しいのか、剣をブンブンと振り回しながらこちらを威嚇してくる。

 でもこの剣を警戒しているのか、必要以上に近づいてこない。

 迎え撃つつもりなのだろう。

 ……上等だ。ここまで来ればやってやる。

 ぎゅっと剣を握る手に力を込める。

 そして私は剣を振り抜こうとして――、


「――あれ?」


 抜けなかった。

 ねえ、ちょっと?

 この剣、思いっきり地面に突き刺さって抜けないんですけど。


「ちょっ、まっ――ふんぬっ」


 もう一回。

 渾身の力を込めて剣を抜こうとしたが微動だにしない。

 

「えぇー……」

 

 ヤバい。

 どうしよう。これ、ほんとに抜けない。

 …………どうしよう?


「みゃぁー……」

「「「…………」」」


 ハルさんや骸骨スケルトンたちの可哀そうなモノを見る視線が突き刺さる。


「そ、そんな目で見るなぁー!」


 こっちは一生懸命やってるんだぞ!

 そんな目で見なくても良いじゃないか!

 私は思わずポケットにしまってあったあの石を骸骨スケルトン目掛けて投げつけた。

 

「カカ――?」


 完全に油断していたのか、それは一体の骸骨スケルトンの頭部に命中した。

 カァーンと小気味良い音が鳴る。


「――ァ……」


 するとガラガラと音を立て、骸骨スケルトンの骨が散らばり、地面に落ちて消えた。

 ついでにあの変な石も砕け散る。


≪経験値を獲得しました≫


 再び、頭の中にアナウンスが響いた。

 え、嘘?

 もしかして今ので死んだわけ?


「「……」」


 残された二体の骸骨スケルトンは互いに視線を合わせ、次いで消えたもう一体の居た場所を見つめる。

 そしてもう一度、私の方を見ると、じりじりと後退し、やがて逃げ出した。


「……た、助かった?」


 その場にへたり込み、大きく息を吐く。

 何とも情けなく、冴えない感じになったが、こうして私とモンスターとの初戦闘は幕を閉じたのだった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 荒川弘「銀の匙」の登場人物に、南九条あやめというのがいます。割とかぶってますし、まだ始まったばかりですから、早いうちに変えてしまったほうが良いのではないでしょうか…?
[一言] 剣どころか喧嘩すらもしたことがない小娘に戦えというのは酷な話だよな。 まあ彼女の場合はラッキーガールなごとく生き残りそうですが
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