55.お風呂は死活問題です
さっそくパーティーメンバーの項目を確認する
パーティーメンバー
ハル 猫又 LV4
ヤシマ シチミLV11
ナイトメア LV18
ミキ シオリ LV6
三木さんはLV6か。
先輩がベヒモスで大量経験値獲得するまでLV7か8くらいだったことを考えると、彼女もかなりモンスターと戦ってきたという事になる。
「……皆さん、レベル高いですね。驚きました」
「こっちこそ驚きましたよ。私達と違って戦闘向きの職業じゃないのにこれだけレベル上げてるなんて……」
「そんな事ないですよ。コツさえつかめば意外と何とかなります。命を頂くんですから、なるべく苦しまないように殺そうと工夫してる内に……こう、刃を入れる角度とか、筋の断ち方とか分かってきまして」
「そ、そうですか……」
この人、マジでモンスターを食材としか見ていないようだ。
ある意味、凄いなぁ。
「そう言えば、三木さんは――」
「栞でいいですよ。自分も九条さんの事は、あやめさんって呼ばせてください」
「分かりました。それで栞さんはどうやってここに? 流石に徒歩ではないですよね?」
「バイクです。向こうに置いてあります」
栞さんが指差した先にはオフロードバイクが置いてあった。
ますますギャップが凄い。
その後、お互いのスキルやステータスについて確認し合う。
栞さんは私やハルさんが固有スキルを持ってる事や、先輩が魔物特化のスキルを持ってる事に凄く驚いた。
どうやら彼女の『鑑定』では分かるのは名前や種族名、一部のステータスだけらしく、スキルまでは分からなかったらしい。
ドヤ顔で自分のスキルを説明する先輩が可愛かった。
ちなみに栞さんのステータスはこんな感じだ。
ミキ シオリ
LV6
HP :33/33
MP :16/16
力 :11
耐久 :8
敏捷 :8
器用 :22
魔力 :12
対魔力:6
SP :2
JP :1
職業
料理人LV3
固有スキル
無し
スキル
解体LV3、食材収納LV3、調理器具作成LV3、目利きLV3、急所突きLV2、鑑定LV2、悪食LV4、解毒LV4
やっぱり料理人だけあって、調理に関するスキルが多い。
ステータス的には私や先輩よりもかなり低いけど、戦闘系じゃない職業とスキルを考えれば高い方だと思う。
あと前半のスキルは分かるけど、最後の悪食と解毒って……。これはつまりそう言う事だよね? しかも職業スキルよりもレベルが高いし、多分SPじゃなくて、熟練度によるレベルアップだよね? じゃなきゃSPの計算が合わないし……。どんだけモンスター食べたんだこの人……。
≪スキル『悪食』≫
≪毒性の高い食材、人体に有害な物を食した際、一定確率で取得出来る≫
≪LVが高い程、本来食用に適さない物も食べる事が出来る上、栄養に変換する事が出来る≫
≪スキル『解毒』≫
≪毒性の高い食材、人体に有害なものを食した際、一定確率で取得出来る≫
≪LVが高い程、危険性の高い毒物にも耐える事が出来る。毒物に対する致死量が上がる≫
検索さんがスキルの補足をしてくれる。
うん、字面で分かったけど、その通りのスキルだった。
栞さんはえっへんと胸を張る。
「いろいろ食べました」
「ソウデスカ……」
詳しくは聞かないでおこう。
「そ、それじゃあそろそろ移動しますか」
「そうですね。では私が町まで先導するので付いて来てください。流石に、メアさんに三人で乗るのはきついでしょうし、なるべく人気のないルートを通るようにしますので」
「ありがとうございます。助かります」
『ミャァー♪』
チョコ◯に擬態したメアさんに跨り、栞さんの後を走る。
スピードを抑えてくれているとはいえ、バイクに追従できるメアさんは凄いです。
「それにしても町に着いたら、どこかでお風呂入れるところないかなぁ……。髪もべたべただし、体も洗いたいよぅ……」
「そうですね……」
モンスターが世界にあふれて四日目。
状況が状況なので仕方ないとはいえ、体を洗えないのは本当にキツイ。
お風呂は無理でも、せめてシャワーか、水浴びでもしたいなぁ。
(……臭くないよね?)
自分の匂いを確認する。
一応、替えの下着も何着かはリュックに入ってるけど、洗濯も碌に出来てない。
栞さんが仲間になってくれて食糧問題は解決したけど、まだまだ生活面で問題になる部分は多い。主にお風呂とか寝床とか。
あーあ、そういうのを解決できる便利なアイテムとかないだろうか?
≪――あります≫
すると検索さんから回答があった。
え、本当に?
≪アイテム名『シェルハウス』≫
≪砂浜に生息するアル・コラレというモンスターからドロップ可能なアイテムです≫
≪手のひらに乗るほどの小さな巻貝ですが、中が異空間になっており、自分だけの部屋を作る事が可能です。またシェルハウスには『認識阻害』が付与されており、中に入っている最中に敵に襲われることはまずありません。あと風呂や寝床も制作可能です≫
そ、そんな便利なアイテムがあるんだ……。
もしこのアイテムを手に入れる事が出来れば、これからの旅がぐっと楽になる。
検索さん、そのアイテム――じゃないな、そのアル・コラレってモンスターはどのあたりに居るんですか? この周辺に居れば最高なんだけど……。
≪ここからおよそ北東へ70㎞向かった先にある梅津寺海岸に多数生息しています≫
え、本当? なんて幸運なんだろう。
……ちなみに、そのモンスターって私達で倒せますか?
≪アル・コラレの討伐推奨LVは5~6程です。火、雷属性の攻撃か斬撃が有効です≫
私達にとって滅茶苦茶相性のいいモンスターだった。
よし、決めた。そのモンスターを狩ろう。
私達の今後の寝床――『シェルハウス』を手に入れるんだ。
そうすればお風呂に入れる……。絶対に手に入れてみせる。
「ふふ、ふふふ……」
「どうしたの、あやめちゃん? 顔がすごく気持ち悪いよ?」
「ひどい!?」
私そんなに気持ち悪い笑み浮かべてた?
ただお風呂に入れるのが嬉しいだけなのに。
「実は今、検索さんから良い情報が手に入ったんですよ。栞さーん、ちょっと止まってくれますか?」
「……?」
栞さんにバイクを停止して貰い、私は二人に今しがたの情報を話した。
「ほ、本当? そんな凄いアイテムがあるの?」
「はい、本当です。なので、松山市に着いたらそのモンスターが居る梅津寺海岸に向かうべきかと」
「や、やったー! お風呂! お風呂に入れる!」
余程嬉しかったのか、先輩はその場でくるくると回る。
ちっちゃいコマみたいで可愛い。
「ちなみにあやめさん、そのアル・コラレってモンスターは食べ――」
「アル・コラレは珊瑚のモンスターなので、食べれないらしいです」
「…………そうですか」
食べれないと分かって、栞さんは分かりやすく落ち込んだ。
いや、仮に食べれるとしても食べないからね?
ともかくこれは急いで松山市に向かわなければ。
モンスターとの戦闘を避けて、上手く移動出来れば今日中にはたどり着けるはず。
「よーし、それじゃあ松山市に向けてレッツゴーです!」
「「おー」」「みゃぁー」『ミャァー』
目指すは松山市、梅津寺海岸!
そこで私達の寝床となるアイテム『シェルハウス』を手に入れる。
期待に胸を高鳴らせ、私達は目的地へ向かった。
……でも出来る事ならリヴァイアサンには遭遇しませんように。
リヴァイアサン「…………( ^ω^)ニコッ」
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