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現代剣聖物語 モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 外伝  作者: よっしゃあっ!


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35/98

35.スカルシープ


 夜が明けた。

 テントの外に出ると、佐々木さんたちは既に作業を始めていた。

 

「みゃぁー」

「おはよう、ハルさん」


 ぴょんっ、とハルさんが肩に乗る。

 もうすっかりここが定位置になってしまった。

 耳や尻尾の付け根を撫でてあげると、凄く気持ちよさそうな声を鳴らす。

 目が覚める可愛い。


「ミャァーウ」

「ああ、ナイトメアさんもおはよう」


 足元の影からボルさんのパートナー――猫に擬態したナイトメアも現れる。

 足首や尻尾、耳に小さな灯を燈している以外は普通の猫と見分けがつかない。

 

「ふぁぁ……、あやめちゃんおはよー」

「先輩、おはようございます。眠れましたか?」

「うん、ちょっと体が痛いけど、大丈夫」

「慣れない寝床ですし、仕方ないですよ」


 軽く手足をほぐして、佐々木さんの所へ向かう。

『メール』の説明をすると、「ここは自分達に任せて九条さんたちは自由に動いて下さい」と言われた。

 本当に理解のある人で助かった。

 手伝った方が良いって気持ちもあるけど、今後の事を考えれば『メール』の取得は最優先事項だ。

 ここは佐々木さんたちに任せ、私達はスカルシープを狩りに出かけた。




 スカルシープは、その名の通り骨だけの羊のような姿をしたモンスターだ。

 強さとしてはゴブリンよりも少し強い程度らしく、私や先輩でも問題なく倒せるモンスターらしい。

 で、検索さんに聞いたその生息場所なんだけど――、

 

「本当にこんなところに居るの?」

「らしい、です……」

 

 やってきたのは、普通の住宅街。

 というか、学校のすぐ近くだ。

 

『ふむ、近いな……』

「ボルさん分かるんですか?」

『ああ、あやめは索敵系のスキルは持っていないのだったな。近くにスカルシープの気配を感じるぞ。ここから少し先の開けた場所に居る』


 開けた場所っていうと、公園かな。

 ボルさんの示す方角へ向かう。


「……モンスターの姿はないけど……?」

「ですね……」


 公園に着いたが、モンスターの姿はない。

 無論、スカルシープの姿もだ。


『あやめ、あそこだ。あの木の根元、そこへ向かえ』


 公園に生えてる巨木。

 その木の根元にスカルシープは居るとボルさんは説明する。

 なんで木の根元? と思ったが、ボルさん曰く、あの巨木の根元がスカルシープの餌場になっているらしい。


『奴らは骨を食べるモンスターだ。故に奴らはああして木の下に居る事が多い』

「……?」


 なんで骨とあの巨木が結び付くのかはよく分からなかったが、とにかくあの木の下にスカルシープが居る事は間違いないらしい。


『木を傷つける必要はない。ソウルイーターを抜けば、それでスカルシープどもは姿を現すだろう』

「分かった」


 巨木に近づき、魔剣ソウルイーターを顕現させる。

 するとすぐに変化は起こった。

 ボコボコと地面が隆起し、大量のスカルシープが姿を現したのだ。


「うわっ、ホントに出てきた!」

『コイツらは我らと同じアンデッドだ。アンデッド系のモンスターは特に魂の気配に敏感だからな。我らの使う武器にはそれまで殺した者たちの魂が蓄積されている。その気配を感じ取ったのだ』


 成程、ボルさん解説ありがとうございます。

 つまり私達自身が虫寄せみたいなものか。


「メェェェェエエエエエ!」

「メェエエエエエエエエエエ!」

「メエエエエエエエエ!」


 スカルシープは文字通り羊のような声を上げると、私達に突進してきた。

 骨だけでどうしてそんな風に走れるのか疑問だが、ボルさんたちだって普通に動いてるし今更だろう。

 

「先輩!」

「うんっ! 火球ファイヤーボール!」


 先輩は新しい杖――ハルさんが『変換』した魔杖ソウルイーターを構え、スキルを発動する。

 その火力は昨日までと別物と言っていい凄さだった。

 杖の先から放たれた直径一メートル程の火球はスカルシープ達を一瞬にして焼き尽くしたのだ。


≪経験値を獲得しました≫

≪クジョウ アヤメのLVが14から15に上がりました≫


 お、レベルが上がった。

 経験値もだいぶ入ったみたいだ。


「あぇ……? うぇぇえええええ!? な、なにこれえええ!?」

「先輩、落ち着いて下さい」

「で、でもあやめちゃん! なんかすごいんだよ? びゅーって飛んでごぁーって」

「語彙が小学生みたいになってますよ。ほら、深呼吸して」


 先輩を落ち着かせながら、内心私も驚いていた。

 多少は火力が上がるかなと思っていたらとんでもなかった。

 

『……まだまだだな。本来の杖の性能に彼女のスペックが追いついていない』


 と思ったら、ボルさんの評価は意外と辛口だ。


「あ、あの威力でですか?」

『うむ、あれは単にスキルの効果を底上げしただけに過ぎん。その程度、彼女のスキルで生み出した武器でも同じことが出来るだろう。それでは魔杖である必要はない』

「た、確かにそうですけど……」


 それでも先輩の作った杖とは桁違いの威力だ。

 それでもボルさんに言わせれば『まだまだ』だと言う。

 

『彼女に限った話ではないぞ? あやめよ。君も魔剣ソウルイーターの力を十二分に引き出せていない。その剣は君が考えているよりも遥かに優秀な武器なのだ』

「あ、はい……」


 うん、まあそんな気はしてた。

 確かにこの剣は凄いけど、私もまだ全然使いこなせてない。


『幸い、この世界では相手に事欠かない。スキルの取得がてら、君たちの持つ武器の使い方も教えてあげよう』

「わ、分かりました。よろしくお願いします」


 なんだかボルさんが完全に師匠みたいなポジションについてる気がする。

 私達はボルさんの指導を受けながらスカルシープを狩り続け、十匹目を倒した辺りで『メール』を取得することが出来た。


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本編及び外伝どちらもよろしくお願いします

― 新着の感想 ―
[一言] 木の下に何の骨がいっぱいあるって? そりゃあ大量の人骨に決まってるぅじゃないかぁ!?
[良い点] めーめーメールげっと(・・
[一言] スカルシープがメールのスキル持ってるのって メェェメェェ鳴く→メーメーする→メーる だからなのでしょうか……
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