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現代剣聖物語 モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 外伝  作者: よっしゃあっ!


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34.濃くて長かった一日の終わり


 ――『変換』。それがハルさんの固有スキル。

 一つの対象の状態や性能、スキルの効果を変化させることが出来るというとんでもないスキルだった。


「……ハルさんはこのスキルを使って、私が魔剣を使えるようにしてくれたの?」

「みゃぁ」


 ハルさんは頷く。


「……この杖を先輩が使えるようにしてくれたのも?」

「みゃぁ」


 ハルさんは頷く。


「……」

「……みゃぁ?」


 ハルさんは首をかしげる。

 可愛い。

 

「ハルちゃん、凄いねぇ……」


 私の気持ちを先輩が代弁する。

 うん、ほんと凄い。

 私の『検索』も結構凄いスキルだなぁと思ってたけど、ハルさんのスキルも大概だ。


『……我らの居た世界にもそのような能力を持つ者は居なかったな……。ふむ、実に興味深い』


 影の中からボルさんも会話に加わる。


「本当に凄いスキルだね。ねえ、これあやめちゃんの『検索』と組み合わせればどんなスキルでも手に入るんじゃない?」

「あ、確かにそうかもしれません」


 欲しいスキルは私の『検索』で調べられる。

 手持ちのスキルを、ハルさんの『変換』でその望んだスキルに変えられるとしたら、これはとんでもないチート能力だ。


(いろいろ試してみたいけど、説明文にある『一回だけ』って部分がネックだよね……)


 検索さん、これって一人につき一回ってことですよね?

 たとえば、『剣術』を別のスキルに変えれば、それ以降は変換できないって認識でいいんですよね?


≪その通りです≫

≪『変換』のスキル効果は、一個体もしくは一つの対象に付き、一回のみ発動可能です≫

≪また一度変換したスキルは二度と元に戻すことは出来ませんし、再取得も不可能です≫


 スキルを変換した後で、また条件を満たして変換する前のスキルを取得するって方法は出来ないわけか。

 流石に、そこまでは出来れば完全にチートだものね。

 でも一回だけとはいえ、好きなスキルを手に入れられるってのはかなり大きい。


(……問題はハルさんが私たちの意図をきちんと理解してくれるかだけど……)


 あくまでスキルを変えるのは、ハルさんだ。

 ハルさんが私たちの意図を誤認してしまえば、無駄骨になってしまう。


「……みゃぁ?」


 私の視線に首をかしげるハルさん。可愛い。

 撫でてあげると、気持ちよさそうな声を出す。

 とっても可愛いです。


「『メール』と並行して、ハルさんと意思疎通できるスキルも取得しなきゃだね」

「みゃぁーう」


 私や先輩じゃ取得できないけど、ハルさんならもしかしたら『念話』や『意思疎通』を取得できる可能性もある。


「……あ」

「ん? どうしたんですか、先輩?」

「いや、ふと思ったんだけど、ハルちゃんのスキル使えば、あの化け物のスキルも変えることが出来るんじゃないの?」


『『「あっ」』』


 先輩の言葉に、私と影の中にいるボルさん、ベレさんの声が綺麗にハモった。

 そうだった。なんでその可能性を思いつかなかったんだろう。


『……確かに。それが可能なら君たちの戦力を補充させずとも我々だけで対処することも可能かもしれん』

『かもしれねぇじゃねぇ! 可能だ! やれるに決まってんだろ! リィンの置き土産が効いてる今なら、俺たちだけで十分だ!』


 ベ、ベレさん、声が怖いです。

 嬉しいのは分かるけど、あんまし大きな声を上げないで……。

 頭の中でキンキン響くんです。


「えーっと、ハルさん? ハルさんのスキルでベヒモスの『巨獣防壁』を別のスキルに変えてもらいたいんだけど、出来る?」

「みゃぁ? ……みゃう!」


 ハルさんはよく分からないけどやってみる! と頷いてくれた。

 よし、それじゃあ早速――、


≪――『変換』は発動中のスキルを変換することは出来ません≫


 あ、検索さんが待ったをかけた。

 どうやら発動中のスキルに関しては、効果の対象外のようだ。

 そこまでチートではなかったか……。いや、それでも十分すぎるくらいチートだ。

 ボルさんたちにも説明すると、ちょっと――いや、かなりがっかりした感じだった。


『まあ、それなら仕方あるまい。どちらにしろ、ハルのスキルはベヒモスとの戦いでは重要なカードになるはずだ。当初の予定通りに行動するとしよう』

「ですね」


 ベヒモスのスキルを一つ選んで、ゴミスキルに変えれるのであれば、それはそれで強力なカードになる。

 戦力差を埋めることが出来る。

 という事でまずは『メール』の取得。

 スカルシープを狩りに行くとしよう。


『では明日の朝一でスカルシープの狩場に向かうとしよう』

「え? 今すぐじゃないんですか?」

『もう夜だ。スカルシープは我々と同じアンデッド系のモンスターだ。昼よりも夜の方が強くなる。行動するなら日が出ている内の方がいい。それに、君たちも疲れているだろう。我々も体力を回復する必要があるし、今日はもう休むべきだ』

「それもそうですね……」


 確かに今日はずっと動きっぱなしだった。

 なんか一気に疲労が押し寄せてくる。

 凄く眠い。

 

「ふぁぁ……」

「あやめちゃん、ここで寝ちゃ駄目だって。佐々木さんに頼めば、避難用のテント、使わせてもらえるから、そこで寝よう」

「そう、ですね……」


 私たちは佐々木さんにお礼を言い、テントで休ませてもらった。

 あー、毛布に包まれてると温かくて気持ちいい。

 ワイズマンワームにクレイジーエイプ、マイコニドに最後はベヒモスと骸骨騎士だ。

 ……正直滅茶苦茶濃い一日だった気がする。


「明日も頑張らないとなぁ……」


こうして、モンスターがあふれて一日目――いや、正確には二日目の夜は過ぎていった。


本編の時系列は、16話付近。

カズトさんがショッピングモールに居たハイオークさんから逃げるあたりです。

……濃いなぁ。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 鑑定とかの相手のステータス(というかスキル)が見えるスキルがなくても変換可能なのかな?
[一言] 既存の別スキルへ変換するのかぼくのかんがえたさいきょうのスキルへ変換できるのかで大分変わりますねこれ
[気になる点] 変換って例えば念話を送った相手を即死させるスキルに変えることもできるってことだよなあ
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