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現代剣聖物語 モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 外伝  作者: よっしゃあっ!


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27.骸骨の軍勢


 スケルトンたちの後をつける。


(……バレてない、よね……?)

 

 先程からひやひやしっぱなしだ。

 でも索敵系のスキルがあれば、私達の事なんて一発で分かるはず。

 だから多分ばれてない、と思う……。


「カカッ」

「ケケケ……」


 スケルトンたちは進軍を続ける。

 時折、ゴブリンや黒い狼のようなモンスターが襲い掛かっていたが、骸骨騎士たちがそれらを一蹴した。

 

(強い……それにアイツらの持ってる武器、私の持ってるのと似てる……)


 三体の骸骨騎士がそれぞれ槍、弓、杖を装備していた。

 そのいずれもが、私の持つソウルイーターと同じような禍々しさを感じる。

 まあ、元々彼らの持ってた武器だけど。


≪骸骨騎士らが持つ武器は、魔槍、魔杖、魔弓のソウルイーターです≫

≪長い年月を掛け、敵を屠り続けた結果、魔剣と同じように魂を喰らう武器へと変化しました≫


 へぇー、そうなんだ。

 ソウルイーターって魔剣の名前じゃなく、どちらかと言えば、武器の総称みたいな感じなんだね。


「お、おい、なんだよ、あの骸骨の群れ?」

「ひ、ひぃぃいいい!」

「助けてくれええええええ!」


 マズい、人だ。

 彼らはスケルトンの大軍を見ると、すぐに背を向けて逃げ出した。


(助けないと――)


 勝てなくても、注意を引くくらいなら出来る。

 そう思い、物陰から出ようとした。

 だが、


「カカカッ」


 杖を持った骸骨騎士が声を上げる。

 すると彼らを追おうとしていた下級スケルトンたちは動きを止めた。

 

(え? 追わないの?)


 スケルトンたち――いや、三体の骸骨騎士たちは視線を合わせると、こくりと頷く。

 彼らは逃げ惑う人々から視線を外すと、再び歩き始めた。

 他のスケルトンたちもそれに倣って歩きはじめる。


(どういう事……?)


 人を襲わない……?

 どうして?

 何か理由があるのだろうか?


≪他者の行動原理については検索の対象外です≫


 検索さんが私の疑問に反応する。

 でもどうやらこれについては検索の対象外らしい。

 

「あやめちゃん、どうする……?」

「……もう少し、後をつけましょう」


 あのスケルトンたちは何となく他のモンスターとは違うような気がする。

 私達は再びスケルトンたちを尾行した。



 スケルトンたちの後をつけ始めて数分後。


(何……この、寒気……?)


 先程から寒気が止まらない。

 まるで極寒の中に裸で放置されたかのような感覚。

 私だけでなく、ハルさんや先輩も同じように冷や汗をかいている。

 一体、スケルトンたちはどこを目指しているというのか?


「カカカッ!」


 槍を持った骸骨騎士が号令をかける。

 ようやくスケルトンの大軍は歩みを止めた。

 その先にあったのは――、


(……穴?)


 ここからではよく見えないが、彼らの前には巨大な穴のような物が開いていた。

 道路をスプーンで無理やりくりぬいた様な巨大な丸い穴だ。

 でも、なんとなく確信した。

 あの『穴』が彼らの目的で、私達の寒気の正体もまたあの『穴』だ。

 

「カカッ」

「キシッ……」


 槍を持った骸骨騎士が、杖を持った骸骨騎士へと声を掛ける。

 杖を持った骸骨騎士は前に出ると、おもむろに杖を掲げた。

 すると轟ッ! と巨大な火の玉が彼らの頭上に出現した。


(まさか……アレって火球ファイヤーボール……?)


 先輩のスキルと同じもの。

 だがその規模が違う。

 あの巨大な火球に比べれば、先輩の火球など線香花火にしか思えない。

 

≪獄炎球≫

≪火属性魔術LV9で取得可能となる高位スキルです。火球の強化版でその威力は込められたMPによって変化しますが、おおよそ十倍から二十倍の火力を誇ります≫

 

 検索さんが補足する。

 そうか、アレは先輩のスキルの発展型だったのか。


「カッカッカカッカカカカカカカカカッカカカカッッ!」


 杖を持つ骸骨騎士は獄炎球を目の前の穴に向けて放つ。

 コンマ数秒の後に、穴から巨大な火柱が上がった。


「……ッ!」


 言葉が出なかった。

 なんなの、アレ……。

 スキルのレベルが上がると、あんなミサイルみたいな攻撃が出来るっていうの……?

 だが、それよりも――、


(寒気が……収まらない)


 先程から感じていた寒気。

 それが一向に収まる気配がない。

 三体の骸骨騎士も、武器を構えたままずっとあの穴を見つめている。

 一体、あの穴に何が居るのか?

 その正体はすぐに分かった。


「――ォォ……ォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンンンンンンンッッッ!!」


 その叫びを聞くのは、これで三度目だ。

 全てを揺るがす咆哮と共に、穴の中から一体の巨獣が這い出てきた。


「――ベヒモス……!」


 昨日、私達が避難した学校を壊滅させ、多くの人間達を殺した最悪のモンスター。

 あの巨大な穴は、ヤツの『巣』だったのだ。


「カカカッ!」

「カカカカカッ!」

「カーッカッカッカ」


 ベヒモスの姿を見ると、三体の骸骨騎士は嬉しそうに骨を鳴らした。

 その反応を見て、確信する。

 間違いない。あの骸骨騎士たち、あの化け物と――ベヒモスと戦うつもりだ。


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