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現代剣聖物語 モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 外伝  作者: よっしゃあっ!


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24/98

24.おや、ハルさんの様子が……


「ウキ……ウッキャアアアアアアアッッ!」


 クレイジーエイプは大きく跳躍すると、先ほど居た巨木の枝を思いっきりへし折った。

 

「なっ……!?」


 嘘でしょ?

 巨木の枝は幹に比べれば確かに細いが、それでも人の腕よりも遥かに太い。

 それに長さも数メートル近くあるのにあっさりとへし折るなんて。

 なんて腕力だ。


≪クレイジーエイプは『狂化』によって全ステータスを上昇させています≫


 検索さん、解説サンクス。

 あの毛が逆立ったり、目が赤黒く濁ったのはやっぱりスキルだったのか。

 てか、全ステータス上昇ってちょっとズルくない?


「ウッキャアアアアアアアアアアッ!!」


 クレイジーエイプはその枝をブンッと振り回し、私たちを攻撃する。

 鞭のようにしなった枝は、軽々と地面を陥没させた。


「うっそ……」


 その威力に私は寒気がした。

 たかが木の枝。されど木の枝。

 そういえば、妹がハマってた漫画に丸太で敵を倒すキャラが居たな。

 漫画だって馬鹿にしてたけど、丸太って本当は凄く理にかなった武器だったのね……。


≪……≫


 なにやら検索さんの呆れる気配がするが、今はスルーだ。


火球ファイヤーボール!」

「ウッキィ!」


 クレイジーエイプは先輩の放った火球をあっさりと避けた。


「先輩! クレイジーエイプは『狂化』ってスキルでステータスを上昇させています! 普通に攻撃しても避けられます」

「えェ!? じゃあ、どうするの?」


 本来なら私が前に出て戦い、先輩が後方から支援するってのが、正しい戦法なんだろうけど、今の先輩の腕前じゃ、私に当たる可能性もある。

 私も先輩の攻撃を気にしつつ、戦える自信は無い。

 となれば――、


「先輩! 奴の足元に向けて火球を!」

「えっ? わ、分かった! えいっ」


 先輩は私の指示通りクレイジーエイプの足元を狙って火球を放つ。

 

「ウッキィ!」


 当然、ステータスが強化されたクレイジーエイプはこれを簡単に避けた。

 ――ここだ!


「えいっ!」

「ウッキャッ!?」


 私は手に持ったソウルイーターをクレイジーエイプ目掛けて投げつけた。

 空中なら躱せないよね!

 

「ウッギャアアアアアァッ!?」


 クレイジーエイプの脇腹を、ソウルイーターは軽々と切り裂いた。

 よし、狙い通り!


「ッ――ウッギィィィイイイイイイイッッ!」


 だがそこでクレイジーエイプは恐るべき反応速度でソウルイーターを抱き寄せた。

 木の枝を投げ捨て、自分を切り裂いた魔剣を構える。

 そうだよね。木の枝よりも、そっちの方が断然強いよね。


「ウ、ウキキ……」

「あやめちゃん、武器が!」


 魔剣をもって勝ち誇った笑みを浮かべるクレイジーエイプ。

 後ろから先輩の泣きそうな声が聞こえてくるが問題ない。


「残念だけど、返してもらうね」

「ウキ……? ウッキィッ!?」


 私が手をかざした瞬間、ソウルイーターはクレイジーエイプの手から消え、私の体内へと収まった。

 うん、試してなかったけどやっぱりこの方法、使えるみたいね。

 この魔剣は私の意思で自由自在に収納できる。

 それなら相手に投げつけて、その後手元に戻すことも出来るんじゃないかと思ったのだが、予想通りだった。

 

「ウ、ウキ? ウキキキイ?」

 

 魔剣が消え、動揺するクレイジーエイプ。


「先輩、今です!」

「え、あ……うんっ! 火球ファイヤーボール!」


「ッ……ウッキャアアアアアアッッ!」


 先輩の放った火球は動揺するクレイジーエイプの頭に被弾し、炎上する。

 クレイジーエイプは地面を転がり、必死に火を消そうとするが、そんな時間は与えない。


「悪いけど、そっちから襲ってきたんだから恨まないでよっ」


 私は再びソウルイーターを取り出し、クレイジーエイプに斬りつけた。

 

≪経験値を獲得しました≫

≪熟練度が一定に達しました≫

≪剣術がLV3からLV4に上がりました≫


 経験値を告げるアナウンス。

 

「な、何とか勝てたね……」

「ええ、ですが、油断しないで下さい、先輩……」

「え?」


 検索さんの情報ではクレイジーエイプは群れで行動するモンスター。

 どこかに仲間が潜んでいる可能性は高い。


「……出てこないね?」

「そう、ですね……」


 たまたま一匹だけだったって事かな?

 だとすればラッキーだ。

 一匹だけでもかなり強かったし、あのレベルが群れで来られたら危なかった。


≪経験値を獲得しました≫

≪経験値が一定に達しました≫

≪クジョウアヤメのLVが13から14に上がりました≫


 え? アナウンス?

 どうして……?


「あれ? そういえば、ハルちゃんは?」

「え……?」


 そういえば、先ほどからハルさんの姿がない。

 すると少し離れた茂みから、ハルさんが出てきた。


「みゃぁ」

「ハルさんッ! どこに行ってたのさ」

「……けっぷ。みゃぁー」


 ハルさんは口元をぬぐうと、申し訳なさそうに頭を下げた。

 全くもう、心配させないでよ……。

 というか、なんでそんなお腹いっぱいな顔してるのさ。


「あー! あやめちゃん! これ見てよ!」

「どうしたんですか、先輩?」

「いや、だってこれ……。私もレベル上がって、今ステータス見たんだけど、パーティーメンバーのとこ……これって……」

「……?」


 要領を得ない先輩の言葉に首をかしげつつも、私も自分のステータスを開く。

 パーティーメンバーのところがどうしたって言うのさ?



クジョウ アヤメ

LV14

HP :113/103

MP :70/70

力  :104

耐久 :102

敏捷 :104

器用 :107

魔力 :60

対魔力:60

SP :3

JP :4


職業:聖騎士LV4


固有スキル 検索


スキル

剣術LV4、纏光LV2、聖属性付与LV2、浄化LV2、肉体強化LV3、刺突LV1、ストレス耐性LV2、恐怖耐性LV2、毒耐性LV1、麻痺耐性LV1、ウイルス耐性LV1、毒薬生成LV1、応急処置LV2、番狂わせLV1、逃走LV2、鑑定LV1


パーティーメンバー

ハル 猫又 LV1

ヤシマ シチミLV3



 ………………んん?

 なにやらハルさんの種族がおかしなことになっていた。



本編時系列 カズトさん起床



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― 新着の感想 ―
[一言] 和人寝すぎてて草
[良い点] 本編との時系列…いいね(^^)v やっと起きたんだ(笑)
[一言] 妹がハマってた漫画 彼  岸  島
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