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現代剣聖物語 モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 外伝  作者: よっしゃあっ!


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23/98

23.先輩とハルさんのステータス


 お昼はコンビニから拝借してきたお弁当だ。

 リュックはないので、レジ袋に入れて持ち歩いてきた。

 流石に、あの河原で食べる気はないので、少し移動する。

 ……そういえば、ワイズマンワームの肉片って消滅せずに残ったけど何でだろう?


≪絶命する前に肉体から切り離された部分は消滅せずに残ります≫


 あ、そうなんだ。

 ありがとうございます、検索さん。


≪追記≫

≪ワイズマンワームの肉は非常に美味で栄養価も豊富です。血抜き、保存加工の必要もないため、携帯食として持ち歩くことを推奨します≫


 要りません。

 それは遠慮します。


≪…………≫


 まあ、食料の問題はこれから考えなきゃだけど、流石にモンスターの、それもでっかいミミズの肉を食べるのは流石に遠慮したい。

 ……どうしようもなくなったら考えるかもだけど、そんな事態がないように頑張ろう。


「あそこにあるベンチで食べますか」

「そ、そうだね……」

「みゃぁー」


 お昼を食べると、大分気持ちが回復してきた。

 うん、さっきはヤバかった。

 何というか、私じゃないもう一人の私が暴れまわっているような感覚だった。

 アレは良くない。心の平静大事、ほんと。


「それじゃあ、『鑑定』スキルを試してみますね」

「うん」


 と言っても、先輩のステータスは事前に教えてもらってるので見るのはハルさんの方だけだ。

 あ、ちなみに先輩の現在のステータスはこんな感じだ。



ヤシマ シチミ

LV3

HP :18/18

MP :35/35

力  :10

耐久 :8

敏捷 :9

器用 :11

魔力 :20

対魔力:20

SP :0

JP :0


職業:魔術師LV2


固有スキル なし


スキル

火魔術LV2、魔術強化LV2、MP強化LV1、初級魔道具作成LV2



 先ほどの戦闘で先輩もレベルが2つ上がった。

 なので魔術師をLV2に上げ、火魔術、魔術強化、初級魔道具作成をそれぞれLV2に上げたようだ。

 初期獲得スキルもいろいろあったのだが、耐性スキルや役立ちそうなスキルが殆どなかったため、今あるスキルを伸ばす方向にしたらしい。

 

「そういえば、魔道具のレベルが上がりましたけど、LV2だとどんなのが作れるんですか?」


 コンビニで試したが、LV1で作れる魔道具は『火石』というこぶし大の火を起こす石だった。

 ただ火力が弱く持続時間も短いため、せいぜい火を焚いたり、水を沸かす程度にしか使えなかった。

 レベルが上がって、もう少し良いものが作れるようになったのならいいけど……。

 

「えーっと、LV2だと……あ、『火魔術の杖』ってのが作れるみたい」


 先輩が手をかざすと、何もない空中に捻じれた杖が現れた。

 木の枝をねじったようないかにもファンタジーの魔法使いが使ってそうなヤツだ。

 

「これが火魔術の杖だね。あ、頭の中に使い方が浮かんできた。えーっと……あ、凄い。これを持ってスキルを使えば、威力が15%上乗せされるんだって。それとMPの消費も一割抑えられるみたいだよ」

「それは凄いですね」


 威力の上乗せに、MP消費も削減できるなんて凄い魔道具だ。

 やっぱり魔術師は当たりの職業かもしれない。


「あ、でも回数制限があるみたい。十回以上のスキルの使用には耐えられないんだって」

「あー、成程。そのくらいのデメリットは仕方ないですね」

「一本作るのにMPが10必要みたいだから、戦いの最中に作り直すのは難しいかも。でも作り置きは効くみたいだし、今のうちにもう一本作っておくね」

「そうですね。それがいいと思います」


 先輩のMPはおおよそ一時間くらいで20回復する。

 私は一時間で10程度だから、倍近い回復速度だ。

 この辺も、職業の違いが反映しているのだろう。


「さて、それじゃあ本命のハルさんのステータスだね」

「みゃぁー?」


 ハルさんに向けて『鑑定』を発動する。

 ちなみに『鑑定』を取得できたのは私だけで、先輩は取得できなかった。

 あんだけ怖い思いをさせたのに申し訳ないけど、こればっかりは運なのでしょうがない。

 さて、ハルさんのステータスはどんな感じだ?



ハル

三毛猫LV9

HP :1■/1■

MP :■/■

力  :9

耐久 :■■

敏捷 :■■

器用 :1■

魔力 :■

対魔力:■

SP :18


固有スキル ■■


スキル

戦闘支援LV1、透■LV2、■■■■LV1、■音■■LV2、■主■守LV2



 なんだこれ、文字化けして殆ど見えない。

 どういうこと?


≪鑑定はLVに応じて見える情報量が変化します。相手の意思にもよりますが、LV1では相手が容認しても名前、LVを確認できる程度です≫


 そ、そんなぁー。

 あれだけ必死になって覚えたのに。

 でもまあ、鑑定のレベルが上がればもっとちゃんと分かるようになるか。 

 こんなことなら、さっきのレベル上げで入ったSPの分、鑑定に当てればよかった。肉体強化と剣術の方、上げちゃったもんなぁ……。


「みゃぁー?」

「何でもないよ、ハルさん。そんな不安そうな顔しないで」


 私が残念がっているの察したのか、ハルさんが不安そうな顔で私にすり寄ってくる。

 不安そうなハルさん、凄く可愛い。抱きかかえてなでなでするとようやく安心したようだ。


「懐かれてるね」

「嬉しいです。まだ飼って二ヵ月くらいなんですけど」

「へぇー、ちなみにどうやって出会ったの? ペットショップ……じゃないよね? オスだし」

「はい、アパートの近くで段ボールに入れられてて、見た瞬間放っておけなくて……。ん? なんで捨て猫だって分かったんですか?」

「だって三毛猫のオスって凄く希少なんだよ? 知らなかったの?」

「……初耳です」

「まあ、血統書がないと価値とかないみたいだけどね。でも珍しいのは間違いないよ?」

「へぇー」

「みゃぁー?」


 知らなかった豆知識。

 まあ、希少だろうが、何だろうが、ハルさんはハルさんだしね。

 おー、ほれほれ、耳の付け根が気持ちいいのかなぁー?


「ふみゃぁー……」


 ご機嫌な声を上げるハルさんを見てると、凄く癒される。

 はぁー、こんな地獄みたいな世界でも、ハルさんはほんと癒しだよ。


「というか、先輩、何故そんな豆知識を?」

「私も昔猫飼ってたの。この子と同じ三毛猫でさ。……もうずいぶん前に死んじゃったけどね」

「そうだったんですね」


 そう言って先輩は少し寂しそうにハルさんを撫でた。

 

「ん……?」

「どうしたの?」

「……なんだか嫌な気配がします」


 背中がざわざわする。

 多分、近くにモンスターが居る。

 周囲を確認すると、周囲に生えた巨木。

 その枝に猿のようなモンスターが居た。

 体毛が黒く、手が異様に長い。


「キキキ……」

「ッ……!」

 

 猿のモンスターと目が合った。

 奴は牙をむき出しにして嗤う。

 すると、奴の肉体に変化が起きた。

 ざわざわと全身の毛が逆立ち、目が赤黒く変色したのだ。

 

(まさか……コイツが検索さんの言ってたクレイジーエイプ……?)


 どちらにしてもあのモンスターは私たちを逃がすつもりはないらしい。


「先輩、休憩はここまでです」

「うんっ」

「みゃぁー」


 ソウルイーターを取り出し、先輩は火魔術の杖を構える。


「ウッキャァアアアアアアアアアアアッッ!」


 次の瞬間、クレイジーエイプが私たちへと襲い掛かった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 私たちの戦いはこれからだ! ーーー完ーーー
[良い点] ハルさん某狂戦士みたくなっとるw
[気になる点] クレイジーエイプは繊維を溶かす白濁液出さないんですか?()
感想一覧
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