13.スキル解説
次は初期獲得可能スキルってやつを調べてみるかなー。
えーっと、どんなのがあったっけ?
ステータスを開き、確認する。
≪初期獲得可能スキル一覧≫
≪肉体強化、刺突、ストレス耐性、恐怖耐性、毒耐性、麻痺耐性、ウイルス耐性、薬品生成、毒薬生成、応急処置、速筆、交渉術、番狂わせ、逃走≫
お、出てきた、出てきた。
改めて見ると結構多いなぁ。
検索さーん、とりあえず上からずらーっと解説お願いできますかー?
≪……検索に該当する思念を確認しました≫
あれ? なんか間がなかった?
もしかして雑に質問して怒ってる?
気のせいかな?
≪スキル『肉体強化』について≫
≪HP、力、耐久、敏捷、器用のステータスを上昇させる。LVが上がるごとに上昇する数値も上がる。LV1だと各項目が5上昇する≫
≪スキル『刺突』について≫
≪突き技のダメージが上昇する。LVが上がるごとにダメージ率は上昇する。LV1では与ダメージ5%上昇≫
≪スキル『ストレス耐性』について≫
≪ストレスに対して耐性が付く。LVが上がるごとにストレスに対する耐性は上昇する≫
≪スキル『恐怖耐性について』≫
≪恐怖に対し耐性が付く。以下同文≫
≪スキル『毒耐性』について≫
≪毒に対して耐性が付く。以下同文≫
≪スキル『麻痺耐性について』≫
≪麻痺に対し耐性が付く。以下同文≫
≪スキル『ウイルス耐性』について≫
≪ウイルスに対し耐性が付く。以下同文≫
おや、検索さんや。
なんか耐性スキルに関しては以下同文が多くない?
≪耐性項目以外の説明は同じです≫
≪同様の説明をするのは、時間の無駄です≫
あ、はい、そうですか。
有無を言わさぬ検索さんである。
やっぱり怒ってるよ、絶対。
≪スキル『薬品生成』≫について
≪魔石、アイテムを使用し、薬品を生成することが出来る。LVが上がるごとに生成できる薬品の種類は増え、その質も上昇する。取得の際、生成リストおよびレシピの項目が追加される≫
≪スキル『毒薬生成』について≫
≪魔石、アイテムを使用し、毒薬を生成することが出来る。以下同文≫
へぇー、アイテムを使用して薬や毒を作れるのかー。
ホント、ゲームみたいね。
でも薬品と毒物がそれぞれ別になってるのは何でかしら?
薬だって用法、用量を間違えれば毒になるし、その逆も然りだ。
≪カオス・フロンティアにおける薬と毒は完全に別物です。分量や配合を変えても、薬が毒になることも、その逆もあり得ません≫
へぇー、そうなんだ。
その辺はファンタジーな設定なんだね。
≪スキル『応急処置』について≫
≪簡易的な治療アイテムや、止血薬、傷薬を生成し、使用することが出来る。LVが上がるごとに重度の傷にも対応できるようになる。取得の際、生成リストの項目が追加される≫
あ、これかなり便利なスキルかも。
この状況じゃ、こういうスキルって凄く役立つよ。
≪スキル『速筆』について≫
≪文字を書く速度が上昇する。LVが上がるごとに書ける速度は上がる。器用に成長補正≫
≪スキル『交渉術』について≫
≪交渉における話術が巧みになる。LVが上がるごとに効果は上昇する≫
≪スキル『番狂わせ』について≫
≪戦闘において相手のレベルが自分を上回っている場合、全ステータスが上昇する。また、その差が大きいほどに上昇するステータスも大きくなる。≫
≪スキル『逃走』について≫
≪逃亡時において、敏捷ステータスが上昇する。LVが上がるごとに上昇率も上がる≫
これでスキルの効果は全て判明した。
さて、どれを選ぶべきかなー。
説明によれば、一つのスキルを取得するのに必要なSPは1ポイントらしい。
私のSPは20ポイントもあるから、ここにあるすべてのスキルを取得することが出来る。
(でもSPってそれ以外にも使えるっぽいんだよねぇ……)
SPはスキルを取得するだけでなく、既存のスキルのレベルを上げることもできるらしいのだ。
レベル上げに必要なポイントは、上げるレベルと同じ数。
LV1のスキルをLV2にする場合は2ポイント必要ってことだ。
取得するスキルを絞って、残りのポイントをレベル上げに使うのも選択肢としては十分ありだろう。
(うーん、どうすればいいんだろう? ねー、検索さーん。おすすめの組み合わせとかってありますかー?)
≪検索に該当する思念を確認できませんでした≫
該当なしってちょっと!
あくまでスキルとかの説明はするけど、選ぶのは自分でやれってこと?
武器とかパーティーメンバーは推奨してくれたじゃん!
≪――それはそれ。これはこれです≫
そう言われてしまえば、ぐうの音も出ない。
てか、検索さん本当に自我とかないんですよね?
普通に私と会話してますけど……?
≪そう感じるのであれば、それは使用者であるクジョウ アヤメの――≫
あー、分かりました、分かりましたよ!
自分で考えますよーだ。ふんっ。
一旦、検索さんの思念入力をオフにする。
「うーん……」
ステータスを眺めながら、じっくり考える。
さて、どうするべきか……?
「みゃぁー」
「ハルさんはどうすればいいと思う?」
パーティーメンバーになったハルさんに私は問いかける。
ハルさんは魔石をボリボリ齧りながら、「わかんなーい」と適当に相槌を打った。
まあ、そりゃ猫だもんね。スキルの事なんて分かるわけ――
「――って、ハルさん! 何食べてるの!?」
「みゃ、みゃぁーっ」
ない!
ポケットにしまってあったはずの魔石がなくなってる!
いつの間に取り出したのさ?
「だ、駄目だって! そんなもの口にしたら! ほら返しなさい!」
「にゃ……みゃぁ~~!」
すぐにハルさんから魔石を取り上げようとするが、ハルさんは魔石を離そうとしない。
それどころかバリバリと一気に魔石を平らげてしまった。
「みゃんっ」
「えぇー……」
満足そうにげっぷをするハルさん。
だ、大丈夫なの、これ……?
確か検索さんはハルさんにあげた方がいいって言ってたけど、それにしたって石を食べるとか問題あり過ぎない?
「……ん?」
あれ? 気のせいかな?
今、一瞬ハルさんの体が薄く光ったような気がしたけど……?
「みゃぁ……すぅ……」
石を食べて満足したのか、ハルさんは眠ってしまった。
とりあえずは異常はなさそうだ。……本当に大丈夫だよね、これ?
はぁー、今日はもうずっと驚かされっぱなしだよ……。
なんだか一気に眠たくなってきちゃった。
(でも、寝る前にスキルは取得しといた方がいいわよね……)
「うーん、あやめちゃーん……えへへ……」
「全く、どんな夢を見てるんですか、先輩ったら……」
緊張感無いなぁ、ほんと。
すやすや眠る八島先輩のほっぺをぷにぷにしながら、私はどのスキルをとるべきか必死に考えるのだった。




