賢者様は猫に懐かれたい
本日も二本目これで一応今のところ出す予定のヒロインとは絡ましました。次から物語が動き出すので楽しみにしておいて下さい。
「「「死ねぇ!」」」
「やっぱりねーーー!」
僕は授業の終わりに更衣室に向かうと案の定男子共全員が僕に魔法を放って来た。今回は着替えるために対策を講じておいたので問題ない。それは、みんなが僕の友人を僕だと認識させる魔法だ。これは発動するのにかなり時間の掛かる魔法なのだが以前にいたずら半分で制服に細工しておいたあの日の自分を褒めてやりたい。友人には一度僕を見捨てた罰だ、これくらいは勘弁して欲しい。その代わり魔法を喰らっても自己治癒するよう服に魔法をかけておいた、後は頑張りって僕のためにみんなからボコされてくれ。
今日の授業は、これでおしまいだ。とりあえず今日は寮の部屋にさっさと向かおう。友人が僕じゃないとバレるまで数秒もないからね。そうと決まれば教室に置いてある。学生鞄をとってこないと。そうして僕は友人の冥福をパンと手を叩いて祈り、そそくさと教室に向かった。
◇
特に教室では誰とも絡まれることなく、自分の鞄を回収した僕はルンルン気分で校舎を出た。今日はあの席に座らなくていいのだ。そんな解放感から寮に向かう足取りも軽くなっていった。
歩いて数分のところで、学校の塀の上に白猫の上から降りてこちらにやってきた。僕も猫に近寄って頭を撫でてやる。こいつはよくこの辺に現れるので餌をやったりしていたら懐かれて今では自分の方から降りて来てこちらに近づいてくるようにすらなった。はぁ、このモフモフした肌触りに今日一日の心労が癒されていく。一生このまま撫で続けたいなぁ。あっ、今日は珍しく他の猫も来た。そうやって猫を撫でまくっていると気づいたら猫が数匹、僕に群らがっていた。しかもグリグリと身体を擦り付けて俺も撫でろとアピールをしてくる。
(仕方ないなぁー)
と思いつつ顔をだらしなく緩め撫でてやる。いやぁ本当に動物はいいね。人間と違って余計なことを考えなくていいし、あぁー癒される。
すると、ザッザッと足音が聞こえたところで急に猫達が僕のところから離れていった。急にどうしただろう?と思い足音のする方向を見ると
「……どうして逃げちゃうの?」
何故か泣きそうな顔して猫に手を伸ばしている賢者の末裔のリーサ様ががいた。猫の姿が完全に見えなくなった瞬間手をついて俯いてしまった。そして何か頭の中で閃いたのかぽんっと手を叩いて僕の方に向かって来た。
「ねぇ…どうやったら猫に…懐かれるようになるの?」
リーサ様は小さな手をぐっと握って僕の顔を見上げながら質問をしてきた。まぁそうなるだろうなと何となく察していたので質問に答えることにした。
「別に対したことはないですよ、魔力が外に排出するのを抑えておくんですよ。猫とかの動物って魔力に敏感だから、今のリーサ様みたいに魔力が大量にダダ漏れだと逃げちゃうのは当然です」
「…そうなんだ…知らなかった…魔物が近づがなくなるから楽だと思って…魔力を放出してたのが…こんなところで仇になるなんて」
知らなかったと目を見開き賢者様は、すぐに魔力の放出を抑え殆ど魔力が外に流れていない状態になった。だがそれをしても猫はもう近くにいないので、今日は猫と仲良くなることは無理だろう。だが、これからのことを想像して幸せそうな表情をしている彼女にこれをいうのは野暮なので、あえて言わないようにして、ここを立ち去ることにした。
「じゃ、頑張ってください。健闘を祈ってます」
「…ん。こちらこそ教えてくれてありがとう、……そういえば名前を知らなかった…貴方名前はなんて言うの?」
「ハル ヒロバスです。良ければ覚えておいて下さい」
「ん…しっかり記憶した。師匠の名前は絶対忘れない」
あの程度のことを教えるだけで、賢者様の師匠になれるんだーと何の感動もなく、全人類の誰もがこの年で得たことのない称号を手に入れた僕は苦笑いを浮かべるしかなかった。
最後まで読んでくださり感謝です。面白かった、続きはよ出せやと思った方はポイントやレビュー、ブックマークや感想の方をお願いします。一応自分の中では一章的なのは姫様の話にしようかなって思ってます。大まかな内容しか決めていないので、あれですが出来るだけ盛り上げようと思います。明日の更新は朝の7時と夜の19時にする予定です。