姫様は教科書を忘れたようですよ?
世界線は割と現実ラブコメに近い感じになると思います。
さて、この後のことを憂いても仕方ないと割り切った僕は現在の授業に集中することにした。いや、決して現実逃避したいとかそういう意図はない本当だよ?胃がキリキリと痛んでるのを鎮めるためじゃないよ、授業は真面目に受けないとね。
現在の教科は、魔法学だ。この授業は3年生(僕の今の学年)から受けれる授業で、自分の体内にある魔力の向上の鍛錬方法や、魔力を使って火や水を出す魔法の威力向上方法について教えている。何故三年生になって教えているかと言うと、低学年の生徒に高威力の魔法についての知識を与えるとその危険性を理解できず、人を殺めてしまう可能性があるのだ。そのためある程度大きくなり魔法がいかに便利で危険なものかを理解させてから教えているらしい。まぁ、それでも馬鹿はどこの世界にでもいる者で、高威力の魔法をチラつかせて人を脅したりする人や魔法で人を殺す者は跡を絶たない。
そんな危険なことを教えているということで、教師の先生はめっちゃくちゃ厳しい。居眠りしそうになるとチョークが頭に直撃させたり雷の弱い威力の魔法を喰らわしてくる。授業中はトイレや保健室に行くことは厳禁、忘れ物などしようものなら火魔法によって全身丸焼けされてしまう。一度始まったら真面目に受けるしか怪我をしない方法がないスパルタ授業だ。
まぁ、多少の私語は許されているので緩い部分も少しはある。(ちなみに二分以上話していたら丸焼きにされるので注意が必要だ。)
「火の魔法の威力向上方法について書かれているページをマリア様読んで下さいますか?」
「はい」
教師に当てられた姫様は返事をしたのだが立ち上がらない。
どうしたんだろうと思いつつ、そちらを向くと机の上にはノートしか無かった。その奥に座っている護衛の人も同じ状況である。彼女達はどうやら教科書を忘れたらしい。
一瞬で状況を把握した僕は、先生にバレないよう風の魔法で姫様のところに教科書を運んでやり、読み初めの部分を光魔法で光らしておいた。
マリア様は少しだけ驚いた様子で、こちらを向いたがすぐに教科書を読まないといけないのだと思い出し読み始めた。
「火の魔法は基本的に風魔法と合わせることで威力が上がると初代勇者様が……………の二つの方法が現在威力向上の効果があることが確認されています」
「はい、マリア様ありがとうございます。先程マリア様が読まれた通り……」
教科書を読み終えたマリア様は椅子に腰を掛けて、教科書に何かを書き込んでからこちらに風魔法で送り返してきた。
『教科書を貸してくださりありがとうございます。とても助かりました』
と女の子らしい丸文字でお礼が書かれていた。僕はクラスの誰も知らないようなクールな姫様の可愛いらしい一面を知り軽く悩殺されそうになったが、何とか社交辞令としてノートのページを千切り、返事を送り返した。
『当然のことをしたまでですよ。姫様のお役に立ったようで何よりです』
それを見た姫様は、また何かを書き込んでページを送り返してきた。
『貴方が隣で良かったです、私の周りの人はおっちょこちゃいな子ばかりなので貴方のように先生にバレないよう貸してはくれないでしょう』
と返事がきた。おっちょこちょいって彼らはちゃんと姫様の警護ができているのだろうか?少し不安である。そして返信を書くべきか悩んでいると下の方に小さく
『これからよろしくお願いします』
と書かれていたので、僕も
『こちらこそ、よろしくお願いします』
と返信を返すと嬉しそうに姫様は微笑を浮かべ僕の方を見てきた。万人を魅了する彼女の笑顔を直視してしまった僕はドキドキと胸が高鳴ってしまいこの後の授業の内容が全く頭に入らなかった。
本日二度目じゃ、後もう一つ19時に投稿するよ。
ファンタジー世界って書いててやっぱり楽しいですね。
読者の方にも是非楽しんでいただきたいです。
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