24話 カロレオン攻防戦 其の弐
私はシグルス、カロレオン教会騎士団の団長を務めている、いま私は祈りを捧げている、誰に言われた訳ではなくソウしたいと思えたからだ。
周りを見ると我ら団員だけでなく、敵であり戦い打ち負かしたはずの獣人達までもが祈っていた、幻想的な青白い炎が揺らめく戦いの跡で。
今回のカロレオン攻防戦は最初から勝ち目がなかった、ヒルデノート様から聞いた敵数が全数でないのに既に500人、我らの2.5倍だ普通2倍の敵には勝てない、ハグバルド子爵も覚悟を決めたようで町壁の外に布陣した。
偵察から戻られ聞かされた敵の規模は更にどうしようもない兵力差10倍だった、今さら状況に変わりはないが。
ところが獣人の将であるドラウグの降伏布告に対し子爵が折れようとしている、ふざけるな!ヒルデノート様が視線で訴えかけてきたモチロン頷く。
さて此れが最期の戦いだと思ったが、矢を放つとヒルデノート様の声が響く。
不思議だ合同訓練の時にも感じたが負ける気がしない、そうだなアノ争奪戦で一番戦っていない騎士でも89人相手に最後まで立っていたではないか、それ以降は更にだ、たかが8人くらい倒せぬ訳がない団員の皆も答える。
最後の矢を放つ、神兵アインへリアルか此の戦いに勝ち誇りをもって名乗ろうか、では号令を掛けるとしよう総員突撃。
獣人は人間より体格が優れているため正面からぶつかると打ち負ける、なのに吹き飛ばせた陣形で突進しないとこれほど脆いとは。
それにしてもヒルデノート様もフォルセ様も少しは後方に下がって頂きたいものだ、もう勝利は揺るがないのだから。
ドラウグ将軍が戦況を回復するために前線に出てきた、良いだろう相手にとって不足はない、なのにヒルデノート様が戦いを受けた、神剣を鞘に納めて魔弓ですと!5mほどしか離れていないのに。
一騎打ちが始まるヒルデノート様は強かった、弓で突進するとは思わなかったが、なんなのだろうアノ速度は神剣を振るっている時より更に上だ、常にドラウグ将軍の間合い半歩先に居る、無理な動きをさせられている事に気付いていない将軍に勝ち目はあるまい。
皆で勝鬨をあげる、本当に100騎全員で勝利を掴めるとは、町からも歓声が聞こえる中でハグバルド子爵が門のまえで呆然としていた、残念ながら貴方は10倍の敵を打ち破る栄誉を自ら捨てたのだ。
ヒルデノート様の言葉に耳を疑った、敵の副官に会いに行くですとマダ300人は残っているのに、もちろん我ら100騎も付いて行く。
そこで聞いたのは撤退の予定と倒れた兵をどうするのかだった、船で運べる訳もなく獣人達に埋めさせるものと思ったのだが。
「大切な人を守るため戦い殉じた戦士に敵味方は無く敬うべき」
自ら弔うらしい。
跪き祈ると野に倒れた700体のシカバネが青白い炎に包まれ消えてゆく、私も祈らずにはいられなかった、獣人達も心に響くものがあったのだろう。
離れてゆく帆船を見送る、結局ビエノア侵攻は小競りあい程度で明らかに陽動だったらしい。
さあ此れで安心してうたげだ、完勝したのにアマリ喜ばれていなかったが、今日は町を上げて盛大に行なうからヒルデノート様も楽しまれるだろう、騎士達は作戦が終わるまであまり飲み過ぎんようにな。
宴が始まったヒルデノート様も楽しそうだ、よし作戦開始、フォルセ様ほど強ければ諦めるしか無いがきっと此の方法でいけるはず。
今回われらは神兵の称号を頂いた、是非とも天界の文字で装備に刻みたいのだが、きいても教えてくださらない、さいわいフォルセ様と違いヒルデノート様は酒に強くはない、酔いが回ればおそらく。
そして今回の功績を持ってノルナゲスト司教長より個別の団名を付けて良いとのこと、紋章名はアインへリアルにし、デザインは神剣を持ち空を舞う御二人の交差する姿、みな異論がある訳なくスグ決まった。
皆で交代して歓談してるうちに一人の騎士が拳を握りしめて戻ってきた、やったか!でかした大手柄だ、彼の背中には[einherjar]とあった。




