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詩、あるいは詞

アンコウマン

作者: 志賀飛介

彼はアンコウマン

それゆけアンコウマン

不完全有欠の最強ヒーロー


彼は見た目が気持ち悪くて、それに匹敵するくらい中身も駄目で

とうてい好きになれない、生理的に受け付けない

自他共に認める最悪のヒーロー

そんな卑屈さの影に見え隠れするのは、愛されたいという欲求

それが裏目に出たりする、残念なヒーロー


彼は今日も平和のために戦う、何だか自分と似通った怪人を倒す


『こんな気持ち悪い半魚人はさ、命ぐらい賭けないと生きてちゃいけないんだよ

報われたいなんておもっちゃいけない、いいことしたって返ってこない

でもやっぱりちょっとだけ報われたいから缶ビールを買って帰る

強敵を倒した後のビールはきっといつもよりずっと美味い』


彼の体はヌメヌメしてて、助けられた人が思わず嫌な顔をする

だけど彼はそれぐらいがいいと言う、助けられた側が変に感謝せずに済むから

ただ仕事してるだけだからと笑う

そんな気持ち悪い笑顔の端にきらりと光るのは、報われたいという欲求

「ちやほやされたいなぁ」と呟く、たまに正直なヒーロー


妄想の中では華麗に戦い、現実に打ちのめされる

死んだ母ちゃんに優しくされて夢枕を濡らす

大きなおっぱいが好きで野良猫に逃げられて

昔の日記を読んで一人で恥ずかしくなって

テレビに映るイケメンになぜか嫉妬して

なんかもうかわいそうなくらい残念なヒーロー


彼は今日もみんなのために戦う、見殺しにしたいほど嫌いな人を救う


『こんな気持ち悪い半魚人はさ、命ぐらい賭けないと生きてちゃいけないんだよ

どんなにひどい扱いを受けようと、復讐した途端にこっちが悪者になるんだ

でもやっぱりちょっとだけ悔しいから彼女持ちにはぬめりを多めに付ける

嫌な顔されてるとこを想像するといつもよりちょっとだけビールが美味い』


そう言って彼は命を賭ける

命を賭けて戦う

彼はアンコウマン

僕らのアンコウマン

完全無欠の最強ヒーロー


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