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怠惰の魔道士  作者: 山桜 愛花
第一章
8/26

うるさい夜

今回の話は【桜】がかきました!

『キーンコーンカーンコーン』


「それでは今日の授業はこれで終わりなのだ。

このまま終礼も済ませるのだ。

……特に連絡事はないのだ。それでは皆、明日もきちんとくるように(`・ω・´)キリッ!」


「「「「さよーならー」」」」


授業が終わると翔は何故か千秋に引っ張っていかれた。

…遂に実ったか?


「朔夜君!変な事考えてないよね!?」


何故か出て行った千秋が顔だけ教室の中に入れてそう叫んだ。

…エスパーか?


「ウチ、エスパーじゃないから!」


エスパーじゃないか。


「何にも考えてないから、ほら、行きたい所があるんだろ。早く行けよ。…だるい。」


俺がそう言うとなんだか納得がいかないような顔で千秋は出て行った。

千秋がいなくなると俺は早速自分の部屋にテレポートする。

この前みたいに誰かに止められる事もなかった。

今日は誰にも邪魔されないで寝てやる。



ーーーーーーーー



『バッコーーン。ドッコーーン。』


夜、俺は爆発音で目が覚めた。

この音は魔法による音だ。

魔法でないとすれば、こんな音は鉄砲などを使わないとならない。


「…五月蝿いな。この近くか?」


どうやら寮内で魔法が使われているようだ。

音的に戦っているのだろう。


「…三春先輩は何をやってるんだ?」


普通こんな事が起きたらすぐに三春先輩が鎮圧するだろうに。


なんとなく気になった俺は魔法の発生源を探ってみる事にした。白魔法のサーチという魔法だ。


「…んん…。これは千秋達の部屋?」


色々な所で小さな魔法は使われていたがこれ程の音を出す大きな魔法の反応は千秋と三春先輩の部屋からきていた。


「これは…………どういう事だ?」


意味がよく分からなかった俺は千秋達の部屋に行ってみる事にする。

俺にしては行動的だと思うかもしれないが、千秋とは一応小さい頃からの仲だし、翔のあの相談も気にならなくもないのだ。



ーーーーーーー



千秋達の部屋にテレポートで行くと何かを破ったような感覚がした。

きっと生徒が近づかないように先生が結界でも張っていたのだろう。

先生には申し訳ないが面倒臭いから、俺は張り直したりしない。先生、頑張ってくれ。

因みに俺がテレポートしたのは千秋達の部屋から少しだけ離れた所だ。

テレポートした瞬間魔法が当たるなんて事、嫌だからな。

先に結界を張っておく方法もあるがそれはなんか面倒臭い。なんでもなかったら意味がなくなるし。


『バッコーーン』


俺がそんな事を考えていると千秋達の部屋の扉が爆ぜて炎が吹き出してきた。

でも壁とか床とかは燃えていない。

誰かさんが学園の物には全て対魔法やらなんやらの結界をかけているからだ。

爆ぜた扉も扉を止める金具が取れて吹っ飛んだだけのようで廊下に綺麗なまま転がっている。


「でも、これは普通の状態じゃないな。」


仕方ないから対魔法の結界と対物理の結界を張って部屋に入る事にした。



「っ、千秋!」


「翔君そっちに攻撃して、ウチはこっちにする。」


「うん、分かった。」


『バコン、ドコン』


「ねぇ!千秋!」


「ッチ、また結界に防がれた。姉の結界はやっぱり強力だね。」




うーーん、状況を整理してみる。



部屋に入ったら千秋と翔が協力して三春先輩を攻撃していた。


………


………



うん、意味不明だな!


ていうか、千秋って黒魔法使えたのか?

ま、三春先輩の妹だしおかしくもないか。

黒魔法も使えるのに白魔法専攻に出来たのか、いいな、羨ましい。


ん?ちょっと待て。

よく見ると千秋と翔から他の魔法の気に紛れてよく分からなかったけど暗示の魔法の気配がするぞ?



…そうか!分かったぞ!

千秋は最近三春先輩の事、嫌っていた。そこに三春先輩をさらに嫌う暗示をかけられてそれから三春先輩を殺せだとかなんだとか言われたんだろう。

普通の人だったら嫌うくらいで、殺せ、といわれても普通しないような暗示でも、元々嫌っていれば『嫌う』から恨みやらなんやらに変わってしまうからな。


翔は…殺す事に戸惑いながらも暗示によって嫌うくらいにはなってるから千秋に言われて協力してるって所か?


『バコン!』


「ねぇ!千秋!」


って、そんな事考えてる暇じゃないか。

三春先輩の結界が破れそうだ。

反撃するにも三春先輩は妹思いだから、なかなか出来なかったのだろう。


これは助けに入らないとな。

一応、三春先輩とは小さい頃からの仲だし。

ふー、だるいけど仕方ない。


「!、朔夜くん!?」


俺は結界を前だけにして三春先輩の前に行き、また三春先輩を取り込んで球状にした。


「だるいけど、仕方ないから助けに来ました。…三春先輩、気がついてますか?」


「気がつくって何……。」


三春先輩はそう言いながら千秋達を見る。


「っ!もしかして、暗示!?」


「はい。千秋は確かに三春先輩を嫌っていましたがこんな事をする程ではなかったし、翔だってこんな事をする奴じゃありませんでした。でもそこに三春先輩を嫌う暗示がかけられれば千秋には思考支配と同じくらいの効果がでるし、翔は多少疑問に思ったりもしますが千秋に引っ張られればやるでしょう。」


そんな事を話していると俺が来てから最大であろう魔法がとんできた。


まったく、俺の事を認識できいないのか。

それとも、俺もろとも消そうとしているか。


…地味に両方傷つくぞ。


「おい!千秋、翔。俺が分からないのか?」


「…朔夜、君?」


「え?朔、夜?」


よかった、気がついてくれた。

さっきは、ただ暗示の所為で気が変になって気がつかなかっただけだ。…多分。


しかし、千秋は三春先輩の前に俺が立って結界を張っている事に気がつくと、ニター、と嫌な感じの笑みを浮かべた。


「へー、朔夜君は姉の味方なんだぁ。という事はウチの敵だねぇ。せめて痛くない様にしてあげるから大人しく殺されてね♪」


なんだ、これ!さっきの後者の状態になったぞ!暗示をかけられてるにしろ思考支配みたいに行動まで縛られる訳ではないだろうに!


…それほどまでに三春先輩を恨んでいるのか、それとも元々俺の事を少しは気にくわないと思っていたのか。

後者だったら嫌だなぁ。


「ちょっと!千秋ちゃん!どうしたの?朔夜だよ?殺すなんて本気じゃないよね?」


お!翔、俺は嬉しいぞ!


「何言ってるの?朔夜君は姉を庇ってるじゃん。つ、ま、り、ウチらの敵だよ?」


「…千秋ちゃん…。」


翔と千秋が話し合ってる内にこっちも作戦をねろう。


「三春先輩。まだ魔法、使えますか?」


「まだ、少しは出来ると思うよ。翔くんだよね?翔くんならちょっとは近づけるから今の私でも解呪出来ると思う。任せて。」


「なら俺は千秋の方に行きます。…傷つけない様に気を付けますから心配しないでください。」


心配そうに三春先輩が千秋を見つめたのでそう声をかけた。


「…うん、ありがとう。朔夜くん。」


解呪は、相手がかかっている魔法を読み取って、絡まっている糸をほどくように相手を傷つけないように魔法を取る。

集中力を必要とするし魔法を読み取るのに出来るだけ近づかないといけない。


まぁ、俺には二人同時に出来なくもないのだが、面倒臭いからな。

酷い奴だとかいうなよ!?

忘れたのか?俺は怠惰の魔道士なんだぞ?

今、協力してるのも特例なんだ。


…ま、三春先輩も疲れてるだろうし千秋が三春先輩の方に行かない様に壁だけは作ってやるか。

この状態の三春先輩に千秋はちょっときついからな。


「じゃあ、三春先輩、頑張ってくださいね。だるいけど、俺も頑張りますよ。」


『ドンッ』


俺と三春先輩の間に俺がお馴染みの三つの結界(対物理、対魔法、防音)と氷魔法を合わせて今作った魔法『屈強な壁』が現れる。

うん、話し合ってた千秋と翔も上手く分けられた様だ。


氷も入れたのは白魔法を習っておらず、上手く結界を見る事の出来ない翔にも壁があると教える為である。

俺の結界はだいぶ見つけづらいから、もしかしたら翔だけでなく千秋も見つけられないかもしれない。

友達が壁があるのにないと思って歩いていこうとしたりする姿を見るのはちょっと辛いからな。

きっと戦闘中なのを忘れて笑ってしまう。

大爆笑だ。


「!?翔君!翔君!……あーあ、やっぱり朔夜君はウチらの敵なんだね。

…黒魔法を専攻してないから一人にすればウチが朔夜君に勝つなんて不可能だ、って思ってるのかもしれないけど、ウチ、確かに黒魔法は専攻してないからそんなに使えないけどあの姉のお陰で白魔法で攻撃する事も出来る様になったから余り見くびらない方がいいよ?」


白魔法で攻撃…三春先輩の結界ロープの剣や矢版でも放つのだろうか。


それよりも気になる事がある。

いや、にたにたと笑う千秋も気にならない訳ではないぞ?ただ、それよりも、ちらちらと三春先輩か千秋のベットが目の端にうつるのだ。

ベットは寮備え付けのものだから傷一つない。ふかふかで気持ちよさそうで…。

はぁ、なんか急にだるくなってきた。でも三春先輩に約束しちゃったしなぁ。

責め苦だ。凄まじい誘惑だ。

本当になにが悲しくて俺は今、ベットをみながらこんな事をしているのだろう。

あぁベットの中に入りたい…。


俺がそんな事を考えている内に千秋は完全な戦闘態勢に入っている。


「はぁ、仕方ない。これ、もう、やるしかないよなぁ…だるい。寝たいなぁ。」


ーーー戦闘、開始だ。…はぁ、だるい。

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