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怠惰の魔道士  作者: 山桜 愛花
第一章
6/26

僕に出来ること

うーん、かなり翔が病んでしまった!


苦手な方は最後の方は飛ばしてください。


今回の話は【山】がかきました。

翔side

『キー、バタン』


はあ...三春先輩があの場に現れなかったら、確実に僕は濡れ衣で携帯を没収されてただろうな…三春先輩は最近、校則を厳しくしてる人だけど、僕は悪意があってやってるとは思えない。

だって、本当にそういうひねくれた人なのなら、僕はあの場で三春先輩に庇われなかった筈だし。


「なんなんだろう…」


「?、何か言った?翔君?」


「えっ!」


急に後ろから声がしたものだから、驚きのあまり変な声を出してしまった。




「?、何、私の顔に何か付いてる?」


「いや、何も。もう、千秋ちゃんったら急に入ってくるからビックリしちゃったよ〜。どうしたの?わざわざこんな時間に(※6時です)男子寮の僕の所まで来ちゃってさぁ」


そう!

急に現れたその人物とは、三春先輩の妹で、僕の大事なクラスメイトの千秋ちゃん!


「何言ってるの、ちゃんと要件があって来たの。そんな夜這いみたいな事しないし…って、この時間ってまともな時間じゃないかな!?あと、何ニヤニヤしてんのよ!」


「いやぁ、照れる千秋ちゃんが可愛くてぇ」


「はぁ、もういちいち反応するの面倒くさいだから、先に要件言うね」


そう言って、千秋ちゃんは僕の部屋にあるソファーにストンと座って、コッチを向いた。


「あのさ…ウチの姉の事、どう思う?」


「唐突だねぇ」


三春先輩の事は、今日の件もあってからか、悪い人とは思えない。だが、必ずしも良い人、とは言えないだろう。だけど、千秋ちゃんのお姉さんだしね、千秋ちゃんが傷つかないようにしなきゃ。


「うーん、まだ、確実に悪いとは言えないかな、で、三春先輩がどうしたの?」


「それがね、ウチの姉の悪巧みを止めようと、最近『アウトロー』って言う組織が、学校内に出来たらしいの。それにウチも勧誘されたのよ。」


アウトロー、そんな組織があるのか…

見た感じ三春先輩個人は別に嫌われてなさそうだったからそんな組織があるなんて思いもしなかった。


「それじゃあ、千秋ちゃんは入るの?その組織に」


「それを今悩んでるの…でね…そ、その、あの、翔君も、一緒に、入る…とかになったら、あの…えと、」


彼女は目線をキョロキョロさせながら僕を上目遣いで見てくる。


…まぁ、要するに、僕と入りたいという事なのだろう。


「そっか、じゃあ、一緒に入ろうか」


彼女は待ってましたと言わんばかりにハッと、コッチを向いた。


「い、いいの?」


「うん、いいよ。」


「ふふっ♪ やったぁ!…て、そんな喜んでる暇は無くて、これからアウトローの活動場所に行って、このことを伝えに行かなきゃ!」


言いながら彼女は僕の腕を掴んで走り出した。

そういえば、聞いていなかったけど千秋ちゃんが何故アウトローに入りたいのだろう?


「ねぇ、千秋ちゃんはどうしてアウトローに入りたいの?」


さっきまで笑っていた、千秋ちゃんの表情が、無表情に変わった。


聞いてはいけないようなことを聞いたような気がして、ちょっと気まずいなぁ。


しかし千秋ちゃんは、すぐにまた笑顔に戻って僕に理由を教えてくれた。


「姉が、大嫌いだから、だよ」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




『Outlaw』


この部屋の扉にはそう書いてあった。

こんなに堂々としていていいのだろうか…?

まぁ、それはさておき、取り敢えず中に入ってみるとしよう。


コンコン


「失礼します、あの、ここに入りたい、黒木翔と、竹谷千秋です、」


中には四人ほど人がいた。

部屋の真ん中にあるベッドに座っている人が、多分リーダーだろう。


「ああ、竹谷と…横にいるのは黒木?ここに入ってくれるんだ、ありがとう。」



「杏が誘ったのって2人だったかな?まあいいや。俺は早瀬。早瀬良牙。本来なら四年生なんだが、留年してしまってな、3年生だ。まあ、よろしくなー。」



真ん中に座っている人が僕たちに声をかけてくれた。

その横にはちょっと背の高い、クールな雰囲気の人がいる。


「私は杏。よろしくだよ。」


「あ、あの、竹谷千秋です!よろしくお願い致します!」


「黒木翔、です。よろしくお願い致します。」


僕達も自己紹介をしておいた。

周りを見渡すと、部屋には…本、マンガ…色々な本に、ギター、あれは…シンセサイザー?それから大きな箱…て、すごい部屋だな。


「あの、いろんなものがあるんですね」


「ああ、ここはもともと明日香先輩の部屋なんだ。ウチらは、明日香先輩に部屋を貸してもらってて。因みに明日香先輩がここ、作ったんだぞ」


明日香先輩…確か、美月が言ってたあの、インドア派のちょっと変わった先輩か。

あの朔夜と似た様なめんどくさがりの明日香先輩が此処を作ったってのは意外だな。


僕は複雑そうな顔をしていたのだろうか、杏先輩がお茶を持って来てくださり、


「まあ、とりあえず複雑な所は気にしなくていいから、お茶でも飲んで?」


と言って、僕と千秋ちゃんは椅子に座らせてもらった。

良牙先輩が僕たちの目の前にあった椅子に座り、杏先輩はその隣に座った。


「じゃあ、早速、君達2人に仕事を与えようかな。」


「…はい、何ですか?」


「…竹谷三春を____________________」


…え?


三春先輩を…?


僕は、まさかこんな命令が出されるとは思ってもいなかった。


千秋ちゃんも目を見開いて、動揺している。


そもそも僕は別に三春先輩の事を…



『憎い。大嫌いだ。いなくなればいい。』


いなく、なれば…。



……あれ?


僕は今、何を、考えて…?




「やりたくなかったらやらなくて良い、俺と杏がやる。」


僕はこの言葉に正直ホッとした。


はやくこの部屋からでたい。

なんだかこの部屋にいると、変な気分になる。


そして、千秋ちゃんと一緒にこの部屋を出ようとして…それは、できなくなった。


「…いいえ、やります。ウチが、やります」


他ならぬ千秋ちゃんがやるといってしまったからだ。


「千秋ちゃん、正気!?君のお姉さんなんじゃ…」


「何?姉だから何?やつとはもう繋がりは無いの。ただの他人なの!それに、やつはS組で、ウチはF組だよ?こんなに能力の差があるウチら…きっとウチよりやつの方が才能を持って生まれたの!やつは小さい時から、親に千秋をよろしくねだとか、家族をよろしくね、なんて言われて来てさ!何でこんなにウチらには差があるの…」


「千秋、ちゃん…」


「…ごめん、喋りすぎた…。嫌なら、翔君はやらなくてもいいよ」


きっと、僕が何と言おうと、千秋ちゃんの意思はかわらないんだろうな。僕はただ、彼女を傷つけないように、守ることしか…いや、おそらく守ることすらもできないのだろう。


「…いや、僕も、やるよ」


だけど、こんな千秋ちゃんを一人にする事は出来ない。


ねえ朔夜、君だったら、どうするのかな?

君だったら、千秋ちゃんを救える、のかな?

幼馴染の君なら…。


…もう僕には、何も、できないよ…。



…ごめんね。

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