妹が心配な姉とだるい俺と必死な男と変な先生
今回の話は【桜】が書きました。
短いですがどうぞ!
「朔夜くん!三春だよっ☆」
「…そんなの、みれば分かります…。なんの用でしょうか、だるい…。」
「おお!朔夜くんにしては積極的だね〜。最後の、だるい、は余計だけど!」
「…はぁ、だるいので早くしてください…。」
「ほーい、えっとねー。用は全部で3つ!」
三春先輩はそういうと俺に向かって三本指を突き出してくる。
「ひとーつ、今日はきちんと授業受けた?」
そう言うと三春先輩は一本、指を曲げる。
「三春先輩なら知ってるでしょう…。」
「ん、知ってる!朔夜くん、今日は頑張ったね!
じゃ、ふたーつ、朔夜くんは2年F組で鳴った音、どう思う?」
三春先輩は二つ目の指を曲げながら言った。
事情徴収か?仕方ない、翔の為に言ってやろう。
「そんなの、知りませんよ…。ただ、翔でない事は確かです。」
「へぇ。」
三春先輩は俺の言葉の真偽を見極めるように首を傾げ、俺の目を覗き込んでくる。
しばらくそうすると首を元に戻し、うんっ、と頷くと三つ目の指を曲げた。
納得したのだろう。
「じゃ、みーつ。…あの、その、千秋はどう?」
堂々と三つ目の指を曲げた割に質問の方はとても小さな声で聞いてくる。
「そんな事、本人に聞けばいいじゃないですか。同じ部屋でしょう?」
「それが出来ないから朔夜くんに聞いてるの…」
「ま、元気ですよ。勉強面は知りませんが生活面では楽しそうにしてます。それじゃあ、俺は自分のベットに戻って寝ます。さようなら。」
俺はそう言うとテレポートした。
「あ、ありがと!朔夜くん!あ、あと大神くんが…」
ーーーーーー
夕食の時間までまだ充分ある。
よし、寝よう。
『ガッコーン!』
俺の部屋の扉が乱暴に開かれた。
……安眠妨害だ。
「美月朔夜ぁー!俺と戦え!」
犯人は大神薄先輩である。
「…そんなに叫ばなくても聞こえてますよ…。それではおやすみなさい。」
俺はそう言うとベットの周りに結界を張り、再び寝る。
結界は防音と対物理と対魔法だ。
「聞いてねーだろ!ほら!これみろ!生徒会長に模擬戦場使用許可書もらったんだぞ!」
「…くぅ。」
当然、結界に阻まれ聞こえない。
「ちっ、それならこうだ!喰らえ!生徒会長特性結界消滅ボール!」
結界消滅ボールとはその名の通り結界を消すボールだ。ただし一度弾けたらもう使えないが。
『ばふん』
いつも思うんだが、何だが迫力のない音だよな。
「美月、起きろ!模擬戦場行くぞ!」
薄先輩は寝ている俺に近づくと俺を片手で横に持ち、走り出した。
ーーーーーーーーー
「美月、立てよ!」
別に俺は負けた訳ではない。
俺は今、俺独自に生み出した白魔法の結界と黒魔法の火やら水やらを合わせた魔法に横たわり寝ている。
その名も、マイベット、だ。
そのままじゃん、とか言うなよ!?
「…くぅ。」
「よし!お前がそうならこっちから行かせてもらうぞ!舞い踊れ!炎の子!」
「…ふぁ。対魔法結界。」
ーーーーーーー
その頃、黒木翔は…
「授業中のケータイ音、君のだね?早く罪を認めたまえ。」
「だから、違うっていってるでしょう!?先生!」
「それでは、君の外出許可を取り消すしかないね。」
「そんな!それでは仕事が出来ません!」
「は、速水先生。黒木くんだと決めつけるのは良くないと思いますょ…。」
「皐月くん。2年F組でケータイを持てるのは黒木くんだけだ。それとも何だね?皐月くんは我輩のクラスに無断でケータイを持っている奴がいると言いたいのかね?」
「っ、そ、そういう訳では………あぁこんな時、三春さんだったら……。」
『キー、パタン。』
「ただいま、戻りましたー。三春です」
「おお、竹谷さん。丁度いいところに。黒木くん、なかなか罪を認めないのだ。」
「うーん。その事なんですけど、取り敢えず保留にしません?もっと詳しく調べないといけないかも。」
「そうかね?竹谷さんがそういうのなら、黒木くんは寮に戻りたまえ。」
「へ?あ、ありがとうございます。」