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精霊国物語  作者: 物語
6/12

06.赤竜討伐編‐05

 とある村の宿谷。

 そこの一室のベッドの上、そこにカルフは居た。

 体中を白い包帯がグルグル巻いており、もはや、誰なのかわからなくなっている。それこそ、まるで、木乃伊の姿に酷似していた。

 

 傍らに置いてある、丸い形の机の上には、誰かからの見舞い品であろう、果物の詰め合わせが無造作に置かれている。そして、その隣には封筒に包まれた一通の手紙がある。


「負けたのか……」


 脳裏には碧眼との戦闘が思い浮かぶ。

 最後、自分が何も出来ず、仲間ともども吹き飛ばれたことを思いだし、くやしさで溢れてくる。それと同時に、あの時後ろに居た彼女らの安否も不安になり、気になった。


 シルフィア、アンナ。

 二人とも、若くして強力な魔法を扱える天才だった。それを、自分が守れなかったのではないかと、不安に絶望が押し寄せる。



「やあやあ、目を覚ましたのかい、よかった、よかった」


 と、部屋のドアを思い切り開けて、一人の男性が入ってくる。

 短髪黒髪であり、目はつり目だ。そして、ニッ、と笑顔で笑いかけてくる。

 そして、前身を白銀の鎧が包み、腰に短剣を差していた。

 ただ、鎧は赤く汚れており、血の跡が付着し、おそらくは、討伐から帰ってきたばかりなのであろう。


「カルサスか……」

「やあ、カルフ君、具合はどうだい? 医者の話では、一か月は安静にとのことだが、君なら一週間で退院できるだろう? まあ、休みたいというのなら、別に止めようとはしないから、その点は安心してくれ。ただし、どこかに外出、つまりは遊びたいというのは無理な話だと理解してほしい」


 立て続けに話すカルサスは、どこか、嬉しそうに見える。

 精霊軍大将カルサス。

 己と同級であり、同等の位であり、そして、カルフが一番信頼できる友であった。


「なぜ、カルサスはここにいるのだ?」

「ああ、君たちが前身ボロボロで見つかったって聞いてね、親友の僕からしたら、一刻も早く駆けつけなきゃ、て、思ってね、飛行艇で急いで来たのさ。とは言っても、来るのに7日も掛かってしまったよ、流石に王都から離れすぎだよね、君もそう思わないかい?」

「君たちということは、二人は生きているのか?」

「二人? ああ、シルフィアとアンナなら健康さ。まあ、二人ともカルフに比べて傷も浅かったみたいで、もう退院しているよ、君が体を張って、斬撃から守ったおかげさ」

「そうか、それはよかった……本当に良かった」


 二人とも、生きていることを知り、カルフは、ホッと、胸をなでおろした。


「あと、村人も全員が要塞都市フレーズに逃げ延びたよ、まったく、君のとこの部隊はやるね」

「そうか、それはよいことだ。あと、碧眼はどうなったのだ?」

「ああ、碧眼なら、精霊軍総大将様が追い払ったよ」

「総大将というと、アレス様が来られたのか」


 精霊軍総大将アレス。

 精霊軍の最高責任者であり、また実力も人族一であり、まさに、英雄だ。

 アレス様が動くということは珍しく、最近は無かった。


「ということは、碧眼はそこまでの強さだったということか?」

「ああ、そうさ、なんでも、level 8並の異常種だったそうだよ。まあ、カルフの最大討伐levelは7だから、まあ、勝てないのも仕方が無いことだよ。僕も7だから、勝てるのは、アレス様くらいじゃないかな」

「そうか……」


 明らかに桁違いな実力であったため、納得した。

 赤竜でさえ、level 7である。Level 8など、そうはいない。

 人族が誇るアレス様でさえ、討伐levelは8である。ということは、ギリギリな戦いだったのであろう。それで、殺せず、追い払っただけということであるか。


「赤竜はどうなったのだ?」

「ああ、そっちの方が問題さ。実はね、君たちが殺し損ねた赤竜の姿が忽然と消えてしまったのだよ。それこそ、蜃気楼かと思ってしまうほどにね」

「そうか……」

「まあ、安静にしていろよ、君は少し働きすぎさ、時には休憩も大事だよ?」

「ああ。そうさせてもらう」

「よし! それじゃ、僕は帰るよ、仕事があるからね。それと、テーブルの上の手紙は、シルフィア、アンナ、その他の仲間たちの現在の情報が載っているから、元気になったら、そこに行ってくれ。それじゃあな」

「ああ、しばらくすまない……」

「いいって、じゃ」

「ああ」


 カルサスはそう言い、窓から飛び降りて帰っていった。

 その常識外の行動にも慣れているのか、平静な表情で、カルフは机の手紙を手に取り。

 そして、読みはじめる。


 ◇



 時は戻り、10日前。

 カルフたちが、碧眼にやられたという情報が精霊軍総本部を掛け廻った。

 カルフと言えば、精霊軍の中でも5本の指に入る実力者である。そのため、カルフが負けたということで兵士たちには緊張が走り、幾多もの、精霊師たちが恐怖から震えていた。


 そんな中、カルフの上司であり、精霊軍総大将アレスは、一際豪華な部屋で作戦を練っていた。

 正面には、精霊軍大将カルサス、その隣には、精霊軍大将ミラが座っていた。


「まさか、カルフ君が破れるなんて、天地がひっくり返るくらいありえないですよ、本当に確かな情報源ですか?」

「それで、カルフ殿が負けたという情報は確かなことなのですか?」


 カルサス、ミラは目の前に座る、アレスへと問いかける。

 二人とも訝しみ、アレスを見つめた。


「ああ、本当のようだ。なんでも、碧眼の一つ目および、配下の者たちが現れたみたいだ。そして、カルフは碧眼に敗れ、今は近くの隠れ村にて治療中とのことだ」

「碧眼といえば、level6であったような?」


 ミラは自分の記憶と情報を確認しつつ、カルフが負けるはずがないと思う。


「ええ、確かに。カルフ君は討伐level7、とてもじゃありませんが、負けるとは僕にも思えません……」


 また、カルサスも、カルフがそいつらに負けるはずが無いと思い、余計に情報が間違っているのではと考える。

 だが、アレスは手元の資料を見つつ、ため息交じりに言う。


「いや、異常種の可能性が高い。それも、level8に匹敵するほどのだ」

「えっ?」「はっ?」


 二人とも、あまりの突拍子もない発言に、つい声が出てしまった。

 Level8。

 それは、アレスの討伐levelと同等だ。ということは、さしで戦った場合、自分たちですら敵わない相手ということだ。

 それこそ、人族にとって、赤竜以上の強敵、恐怖だということ。


 それこそ、要塞都市フレーズであろうが、数週間の篭城が限度だ。

 それ以上は、耐えきれず、村人ともども殺されてしまう可能性が高い。

 それゆえ、アレスは二人をこの場に呼んでいた。


「まず、ミラ、君は第2、第3部隊を引き連れて要塞都市フレーズへと向かってくれ。最短移動のために、機械型飛行艇1号の使用を許可する」

「了解です、早速向かいますわ」

「次に、カルサス、君は私と一緒に、一つ目の討伐に協力してくれ、そのため、第1部隊を引き連れる。即刻、集合を掛けてくれ」

「はい」

「それでは、精霊軍の名に置いて、任務を開始する」


 ◇


「アレス様、準備が整いました。しかし、第一部隊長および、その配下数人は、国境地帯に出撃しているとのことでありました」

「そうか、よし、ならば早速バルス村へと向かう、飛行艇2号に乗り込んでくれ」

「2号艇ですか? あれは、空人でしか、動かせないのでは?」

「運がいいことに、今、空人が戻ってきている。そのため、即刻行けるそうだ」


 空人。

 別に人外という訳でなく、人族だ。

 風魔法に特化した精霊師たちであり、その力は、巨大な物体を浮かせるほどである。

 普段から、飛行艇の運搬は彼らの仕事であり、そして、たった今帰還したところだった。


「そういえば、兵器も必要でしょうか?」

「ああ、まあ、持って行こうか。魔導砲ニつ、魔銃は全員分頼む」

「はい!」


 カルサスは返事をし、再度戻っていく。

 それを、アレスは見送り、手元の資料を見つめた。


「……level 8、か……」


 アレスの討伐levelと同等。

 別に、一騎打ちをするわけではなく、精霊軍対碧眼の戦いだ。

 それでも、自分が負けると部下たちが負けるということでもあり、静かに息を吐き。そして、傍らに置いてある拳銃を手に取った。


 魔法銃。

 己の魔力を糧に、放つ武器だ。

 そして、長年共に戦ってきた相棒でもある。


「これを使う必要があるか……剣は、いらないかな」


 アレスは、魔法銃を腰のケースに差し込み、席を立つ。

 そして、部下たちの場へと向かった。



「我らの任務は、カルフ隊の救助、碧眼討伐だ。私とカルサスが、碧眼を討伐する。だから、君たちは一つ目を攻撃し、要塞都市フレーズが落ちないようにしてほしい」


 そう、大きな声でアレスは言う。

 ……地上より、遥か頭上。

 飛行艇に彼らは居た。


「アレス様、自分も碧眼の討伐に参加するのですか? 正直、足手まといになる気がするのですが……」

「ああ、まあ、援護魔法を頼むよ」

「はあ、まあ、そういうことでしたら」


 カルサスは渋々といった表情で、了承した。

 それを見て、アレスは安堵する。

 回りから見たら、最強の位置に君臨しているように見える―実際そうなのだが―アレス本人にとっては、碧眼に一人で挑むと言うものは無謀なことであった。

 そのため、カルサスが協力してくれることを、内心では喜んだ。


「魔法銃も用意できたかい?」

「はい、急であったので予備は無理でしたが……」

「まあ、鍛冶師も、そう簡単に作れる代物ではないからね、仕方ないさ」

「はあ、ですが、何故魔法銃が必要なのですか?」

「あれ、カルサスは、一つ目と戦ったことは無かったか? 一つ目の前身は固く丈夫だから、剣とかじゃあ、傷つきにくいのさ。それに比べて、魔法は効果覿面ってわけ」

「魔法攻撃ですか、赤竜と同じですね」

「ああ、でも、残念なことに高位力の攻撃魔法を繊細に扱える精霊師なんてそうは居ないからね、だから、魔法銃の行使は有効的な手段なのさ」


 魔法銃の利点について、アレスは述べていく。

 それを、若者の精霊師はメモを取り。ベテランは当然だと言わんばかりに何回も頷いた。


「ですが、魔法剣でもよいのではないでしょうか?」


 カルフの後方にいた若者がアレスにオドオドしながらも尋ねる。


「ああ、確かに魔法剣も魔法を剣にまとわせて戦うことが可能さ。でもさ、一つ目は高位力の打撃攻撃をしてくるから、わざわざ近づかないほうが良いのさ」

「なるほど、そのため、遠くから撃てる魔法銃ということですか」

「ああ、とりあえず、さっきも言ったが、碧眼は僕とカルサスが倒す、だからそれ以外は、一つ目の討伐に集中してくれ」


「では、精霊軍の名に置いて、討伐作戦を開始する」


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