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ゲス豚ロリコン疑惑

 取得条件に当てはまったところで、使い方を見てみよう。この魔法はまずなりたい異性の姿を頭の中で想像する。髪の色だとか顔の造形だとか。ちなみに目の色は変えることはできないようだ。


自分と同じ年くらいの異性に変身するみたいなので、大人の異性に変身したいと想像しても、実際にはその想像した大人を幼くしたようにしかなれない。


 そしてこの魔法は成長と共に想像した異性の姿も進化していくようで、年をとるにつれて異性の姿も身長が伸びたり、色気がでたりする。


一回その姿を確立してしまえば、そのあとは簡単で性転換と呟けばすぐに異性の姿になれるようだ。


一回覚えてしまえば、何歳になろうが性経験しようが魔法を使えなくなることはない。あくまで習得条件であり、使用条件ではないからだ。



ということなので、なりたい異性の姿を想像してみよう。失敗は許されない。あまりふざけた姿を想像すれば後々後悔してしまうこと間違いなし。確立してしまえば後々変えることなんてできないのだ。


髪の色はどうしようか。珍しいわけでも無いから懐かしい黒髪にしようかな。顔はやっぱりかっこいい方がいい。目鼻立ちははっきりしていてそれでいて優しそうで笑顔が素敵な人。よし、想像はばっちり。


「性転換」


ぼそりと呟くと魔力が全身にぶわっと行き渡るのを感じる。全身に行き渡り魔力の流れがおさまったところで確認してみよう。でも鏡までいったら怪しいし、どうしようか。悩んで頭に手をやるといつもと少し髪の感触が違うことに気付く。一本抜いてみよう。



ぷちっと髪の毛を抜きそれを見ると、いつもの金髪ではなく黒い髪がそこにはあった。どうやら成功したようだ。黒髪になっているということは、異性になれているんだろう。なんとか習得条件はクリアしていたらしい。これで問題なくギルド登録ができる。



安心したらいっきに疲れがでた。今日はずっと図書室で本を読みあさっていたからその疲れが出たのだろう。もうしばらくは本は読まなくていいや。眠い。姿を元に戻して寝よう。


今日ずっと私に付き添ってくれていたアベルと共に図書室を出る。私が眠いのに気づいてお姫様抱っこをしてくれるアベルは紳士的だ。もしも私が惚れてしまったら責任はとってくれるのだろうか。






一眠りから覚めるとアベルがベッドの傍に付き添ってくれていた。目をあけたら視界にパッと輝く笑顔が入ってくるのだから破壊力は抜群。見た目は3歳児だけれど精神年齢は違う私がそんなの見たらときめくに決まってるじゃない。惚れられてもしかたないことをしているというのを彼は自覚しているのだろうか。


アベルはたしかまだ20歳にもなっていない。15歳ぐらいだっただろうか。12歳差ぐらいならばお付き合いにも問題ないし。しかし身分の差が問題だ、諦めよう。私の使用人達が自覚なしに私の心を奪っていくのはいつもどおりのことだ。みんな若いからなぁ。


私に仕えている使用人達は皆若いですが、それは私の使用人に限ったことではない。屋敷全体の使用人自体が若いのだ。屋敷全体を基準に考えるのならばむしろ私の使用人は若くない方に入る。20代後半の使用人は私のところにしかいないのだから。


「ねぇアベル、どうしてここの使用人達はみんな若いの?」

「それは、旦那様が若い人しか雇わないからですよ。なぜかある程度年齢がいくとクビになるんです。何人かクビにならない人もいるので例外はあるんですけど、お嬢様の使用人はその例外が集まっていますね」

「なんでかしらね。それにどうしてクビになってしまうのかしら」


「それは僕にも分からないですけどクビになっても皆勤め先に困ることはないのであまり問題ないんですよね」

「どうして困らないの?」

「僕もそうなんですけど、ここのお屋敷の使用人は他のお屋敷からひきぬかれてきてることが多いんです。だからクビになった後、たいていの人は元のお屋敷に戻ってますね」

「アベルは何歳頃にひきぬかれたの?」

「7歳ぐらいですかね、他の使用人も大体それくらいで引き抜かれていると思いますよ」

「お父様はそのくらいの年の子が好きなのかしら、アベル、お父様に変なことされなかった?大丈夫?」


「ええ!? なにもされてないですよ、旦那様にそのような趣味はないかと思います。むしろ、このお屋敷にきて分かったことなのですが、前のお屋敷の旦那様が僕を怪しい目で見ていたなと気づいたんですよね。それは旦那様がそういう趣味がないからこそ気づいたことなんですが」

「ここのお屋敷にきていなければ危なかったかもしれないのね」


「はい、ですので僕は旦那様には感謝してるんです。要領もよくなかった僕を雇ってくださってるのですから」

「アベルはなんでも上手にできるじゃない」

「そんなことはないですよ、少なくともお嬢様専属となる前は空回りしてばかりでしたから。ここでは愛想だったり、ご機嫌とりをうまくできないといけないんですけど、僕にはなかなか難しくて。お嬢様専属のもの達は皆そうじゃないですかね。一部の人を除いて苦手だと思いますよ」

「へぇそうだったの、気づかなかったわ」



ゲス豚もたまにはいいことをするもんだ。偶然でもアベルを魔の手から救ったのだから、ナイス引き抜きだ。でも屋敷に若いというより幼い子が多いのだからやはりそういう趣味があるのではないだろうか。アベルは純粋だからきっと分からないだけだ。そうでもなければ使用人が皆若いのはおかしい。心の中でyesロリコンnoタッチと思っているに違いない。手を出さないとはいえ一応父親なもんだから少し複雑な気持ちになる。そこらへんの趣味まで直す必要があるなんてまったく困った男だ。地道に頑張って矯正しよう。




♦♦♦


ある日突然その日はやってきた。やたらと屋敷がバタバタしていて、なにごとだろうと気になり部屋を出てみると使用人達がお母様の部屋に集まっていた。いったい何があったのか。


 小走りでお母様の部屋までたどりつき、お母様の近くに寄ろうとすると使用人達は道を開けてくれた。お母様がいるであろうベットに近づくとその近くにはゲス豚とお医者様が立っていた。ゲス豚が目から大量の涙を流していることに気付く。


 まさか……と思いお母様を見るが、そんなことはない。顔色は悪いし具合は悪そうだが生きていることは確かだ。まさか余命か短いのだろうか。なぜだと私がお母様を見ているとゲス豚が話しかけてきた。


「マジュリスに弟か妹ができるんだよ」


そっちか。気持ちは分からんでもないけど大袈裟すぎるんだよまったく。さっきまでは涙を流す程度だったのに今は更にパワーアップして泣きわめいている。汚いし、うざったい。しかたないのでゲス豚にハンカチを渡すとマジュリスは優しい子だと言ってまた更に声を荒げて泣きわめく。逆効果だった。



 それにしても赤ちゃんか。私が女だから両親的には男の子が生まれた方が嬉しいんだろうな。私が婿養子をとるという手もあるけど後をつぐのはやはり自分の子の方がいいのではないだろうか。


 まあもし女の子が生まれたとしても、この両親ならばどちらにせよ喜ぶだろうからどちらでもいいといえばいいんだろうけど。そこらへんは貴族なのにいい両親だと思う。私の想像していた悪役は子どもを駒のようにしか考えていないイメージだったのだけれど、ゲス豚はそんなことはしないと言い切ってもいい。だからそんな心配は無用だ。


  ゲス豚はどうだったのだろう。幼い頃駒のように思われていたのかもしれない。そういえば私お祖父様やおばあ様に会ったことがないな。会ったことがないからゲス豚がどのように扱われていたのか想像がつかない。こういう時はダイスに聞くのが1番だ。



私は少し落ち着いたゲス豚を部屋に残しお母様の部屋をあとにした。さっき自分の部屋でダイスを見たような気がするので、きっといるだろう。部屋に戻りきょろきょろと部屋を見渡すとやはりいた。



「ねぇダイス聞きたいことがあるの」

「私に分かることならばお答えいたしましょう」

「お祖父様やおばあ様はどこに住んでいるの、私会ったことがないのだけれど」

「奥様の方でしたら、遠くのほうの領主さまをしてらっしゃいますよ。旦那様の方はすでにお亡くなりになっていらっしゃいます」

「え、どっちも?」

「そうですよ」


 なんということだ。それならば見たことあるはずがない。むしろ会っていたらびっくりだ。


「旦那様が13歳の時にお亡くなりになりました。その時には私もすでにお屋敷で働いていたんですがいい人達だったものですから、知らせを聞いた時にひどく落ち込んだ覚えがあります」

「どうして亡くなってしまったの?」

「馬車で移動中のところ、何者かに襲われたそうなんですよ。旦那様もご一緒だったのですが、旦那様が助かっただけでもラッキーだったのかもしれませんね」


「護衛もいたのでしょう?なぜお父様だけ助かったのかしら」

「旦那様は優秀でありましたからね。なんとか逃げることができ、自分だけは助かることができたとおっしゃっていましたね。助かったのがご自分だけでしたからひどく落ち込んでいらっしゃいましたけれど、その後もまだ幼いながらも当主を継ぎ、弟様を育て、いままでやってこられたのですから素晴らしいと私は思いますよ」


 あのゲス豚が優秀? なにか勘違いでもしているんじゃないだろうか。明らかに顔を見れば頭も悪そうだし、強いようにもみえない。あんな肉にまみれたボディ。


「お父様は強かったの?」

「それはもう。王立魔法学校で常に首席でしたから、文句なしにお強いでしょう」

「今も強いのかしら」

「私もどんどん体積が増えていく旦那様を見ていてあの時の強さは過去のものだと思っておりました。ですがマジュリス様の使用人になり、私も強くなったから分かることなのですが、旦那様は今もお強いです。私も勝てるかどうか危ういですね」


 なんだって!? ダイスは私の使用人の中でも強い方だと聞いている。そのダイスでも勝てないかもしれないだなんて嘘でしょ。あんなに丸々と太ったゲス豚がまともに身体が動くわけないではないに決まっている。


 しかも首席とかなんの冗談か。王立魔法学校は貴族は多いが、実力を重視する学校だったはず。いくらお金を積んだとしても賄賂による首席は難しい。ということは実力でということなんだろうけど信じられない。


 んん? ということは私の作戦がうまくいかなくなってしまう。甘えるか諭すか実力での3つの方法のうち一番有力だった実力でが使えなくなってしまうことになる。さすがに私、SSランクの魔物を楽々と討伐できる人が勝てるか危ういと言っているのに、仕掛けるほどアホではない。



 こんなはすじゃなかったんだけどな……普通噛ませ犬って弱いはずじゃないの。これじゃまるで黒幕じゃんラスボスかよ。分かるわけがないよ。見た目はすごく弱そうだし、服の趣味も悪いし顔も豚のようだし身体も肉に覆われているし。どっからどう見ても噛ませ犬にしか見えない。黒幕レベルの強さだなんてわかるはずがない。



「お父様が苦手なものってあるのかしら」

「どうでしょうかね。見ている分にはあまり変化はありませんが……わずかながらに雰囲気に出るときがありますね」

「それはなに?」

「物ではありません、人ですね。仲良くしていらっしゃる方何人かとお会いなるときに少しばかりまとう雰囲気が変わる時がありますね」


「それはどんな人なの?」

「優しくて領主として立派な方々ですよ。ですから雰囲気が違うのも気のせいかと思っていたんですが、その方々と会うたびに旦那様の雰囲気が変わりますから、何かしらの気持ちを抱いていることは間違いないでしょう」

「嫉妬じゃない」

「どうでしょうかね。断言はできませんが嫉妬とは違う気がします。私使用人の中ではここでお仕えして長い方ですから、旦那様のお気持ちも大体分かるんですが、そういう感じではありませんでしたよ」

「じゃあどういう感じなのよ」


「憎悪と怒りが混じった感じが一番近いですかね」

「なんでかしらね」

「それはさすがに分かりませんがそうですね……その方々と会うと必ずと言っていいほどその方々の使用人を引き抜いて屋敷に連れてかえってましたね」


「大体7歳のくらいの?」

「よくお分かりで。そうですそのくらいの年の子です。しかも非常に外見の可愛らしい子を連れてきます」


 自分の屋敷以外に可愛いロリやショタがいるのが許せなくて怒っているのだろうか。まったく大人げない異常性愛者だ。さすがゲス豚なだけある。どうすることもできない。ロリやショタが好きなのは確実だろうからこの弱みをちらつかせて奴隷を買うのを阻止する方向で行こう。






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