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図書室にこもります

 図書室に戻った私はご飯を食べた事により、やる気が増えたため興味が惹かれた本を片っ端から読んでいくことにした。『食べれる野草大全』やら『食べたら死ぬ毒キノコ50選』やら『美味しい魔物~オススメの食し方~』などさまざまな本を読み、知識を深める。この先ゲス豚がなにかやらかして、お屋敷取り潰しになった時に困らないすべは知っておくべきだ。


 この身体は記憶力は良い方だけど一度読んですべてを覚えることができるほどの頭ではない。何回か繰り返し読んで覚えていくほかないのだ。ぶつぶつと本に書いてあることをとなえる。


 ブツブツ言っていてふと思ったけれど自分の屋敷の中とはいえ、ぶつぶつとひとりごとを呟いている姿は傍から見ればとても不気味だ。しかも内容が致死量は、とかこの部分に触れるとたちまち皮膚が焼けただれなんてことを言っているものだから不気味さは増すばかり。少し本の内容を変えることにしよう。



 ひとりごとを呟いても不気味じゃない内容。私は『世界の料理~端から端まで食べ比べ』という本を手にとり、読み進めていく。この世界では日本料理に近い料理は無さそうだ。和食が少し恋しくなってきたんだけれど、もう食べれることはないのね、残念。


 前世の私がどんな料理を好んでいたかは思い出すことは出来ないけれど、一般的なことはしっかりと覚えているので和食にたいしての記憶は残っている。でも食べれないのであれば記憶なんてあっても意味がないな。


 和食は存在しないけれど、お米は存在しているようだ。といってもパエリアに使うようなお米。お米という存在がないよりはましだけど誰か日本のお米のように改良してくれないだろうか。白米食べたい。


 

 パラリとめくりよんでいると美味しそうな料理がたくさん。ここは前世で言うファンタジーな世界だけれど、料理もそれに相応しいファンタジーらしく見たこともない料理がたくさん載っている。


 特に目を惹かれたのが食材に星屑が使われていることだ。気になったので他の本で調べたところ、月に一度星屑が落ちてくる日というものがあるようで、星屑はキラキラとした結晶なのだそう。


 地球でいう星が落ちてくるのを想像してはいけない。もし地球と同じ星であれば星屑だとしても月に一度大きなクレーターができるはずだから、毎月一度は恐怖の日が訪れることになってしまう。


 ここの世界の星屑とは何の結晶なのかというのは本を読む限りいまだによく分かっていないようだ。


 このようにこの世界にはよく分からない食材がたくさんあり、そしてそのほとんどが何なのかよく分かっていない。研究してる方もっと頑張ってください。


 といっても前世にはなかった不思議な食材や料理には心が踊る。どんな味がするのか。このランラルーク家では、お肉やパンは山のように出てくるのだけど、このような物珍しい繊細で可愛らしい料理は出た試しがない。おそらくゲス豚のせい。共食いばかりするのはいいかげんにして欲しいものだ。



 星屑について調べていて分かったことなのだけれど、この世界の冒険者ギルドでは食材採集のクエストもけっこうあるようだ。身の危険が少ないクエストも多いため、7歳からギルド登録ができる。


 冒険者ギルドは多少栄えている街であればどこにでもある。王都に本部があり、多くの街に支部があるといったような感じなんだろう。だからきっとゲス豚が治めている領地にもあるはずだ。


 冒険者ギルドかぁ……憧れる。よし決めた7歳になったら登録をしに行こう。とはいえ伯爵令嬢である私が冒険者になったらきっと目立つ。ゲス豚の治める領地とは別のところで活動した方がいいんだろうな。どうせならば本部で登録しようか。


 登録で嘘がつけないのは年と種族だけのようだから姿を変えてしまっても問題はないだろう。念のためもあるから性別も変えたい!


…意気込んだのは良いとして、性別を変える魔法なんてあるのか。ないとなると登録が危うい。片っ端から魔法書を探し出すしかない。ふっ私の決意はかたいのだ。見つけ出してやろうじゃないか。


 変身できる魔法というのがなかなか見つからずあれでもない、これでもないと片っ端から魔法書をペラペラと捲って調べたけれどめぼしいものはなく、まだ読んでいない物はたったの3冊になってしまった。


 しかもその3冊というのも『特級魔法集』と『習得難易度鬼~仙人になろう~』と『諦めることだ』という絶望的な状況だった。いくら前世の記憶があるとはいえ、3歳児がそんなにも難しいものを覚えられるわけがない。しかもなんで1つは諦めを促しているんだよ。


 でもこんなにも必死に探したのだ。出来る出来ないは別として一応は目を通しておこう。まずは『特級魔法集』から。この3冊の中ではこれが1番まともに見える。もし3冊の中に異性へと姿を変える魔法があるのならば、この本の中にあってほしいものだ。


 ふぅと溜息をつきページをめくると、恐ろしい魔法がたくさん載っていた。直径1㎞ほどのスペースを火の海にする魔法とか砂漠のような場所に雨を降らせてオアシスをつくる魔法とか使えたらすごいんだろうな。


 詠唱がわけがわからないくらい長いので使いたいとはまったくもって思わないけど。こんな魔法使えるわけがない。


 特級魔法が使える者も1人で発動できるわけでは無いようで、何人かの凄腕の魔術師が協力して使うものらしい。例外もいるようだけれど。例外になんて出遭いたくないな。もし出会ってしまったら全力で逃げねば。


 一応特級魔法集にすべて目を通したけれど、役に立つものはなかった。人を別の姿のものにかえる魔法はあったが、変えられる姿は動物であって別の人間に容姿を変えることはできないみたい、残念。


 となるとこの2冊になるが、ここに載っていたとしても使える気はしない。片方は諦めを促しているし、もう片方は仙人だし。だがここまできて読まないわけにはいかない。


 私は仙人の方の本を手に取る。ペラリとめくるともはや魔法の習得とは言えるのかさえ怪しいものがたくさん載っている。


 人間が陸にあがらず海の中で1ヶ月過ごすとはいったい何になるつもりなのか。それで得る魔法が水中で息ができるようになる魔法とはちょっと頑張り損ではないか? 



 他には魔道具を作ることができる魔法なんてのもある。魔道具を作るためには自分の魔力の流れについて深く知る必要があり、そのためにはまったく身にならないような練習をやり続けなければいけないらしい。魔道具をつくるための魔法は身にならないように思える練習の末、いきなり取得することができるみたいだ。


 まぁたしかに少し上手になったという練習の成果がちょっとずつ出るのであればやる気にもなるだろうけど、まったく変化なしの状態からいきなりできるようになるのだから習得に諦めたくもなる。先のない恐怖みたいなことをわざわざやりたがる人はドMに違いない。


 一応習得方法も読んでおこうか。えーと魔力の流れをしっかりと掴み、それを体外に放出しようとする。魔力を放出できるようになると魔道具が作れるが習得には2年〜10年近くかかり、多くの人は放出することができない煩わしさを感じ、すぐに習得を諦める。


 なるほど、魔力が放出できると魔道具が作れるのか。まぁ私には関係ないか。魔力も放出でき…できるじゃん!? 私が赤ちゃんだったから放出できないものと思っていたけど、それは全員同じだったのか。しらない間にドMしか覚えられない魔法を覚えてしまうなんて。努力は無駄じゃなかったのか。これはのちのち私の強みになるかもしれないから、魔道具の作り方は後日よく調べるとしよう。


 まさかの発見となったが私が探しているものはそれではない。この本にも異性に姿をかえる魔法はなかった。となると諦めを促している本を読むしかない。


 諦めを促しているけれど、もうここまでくれば私だって諦めている。一応は読んでみるかというスタンスでページをめくったけれど期待なんてしていなかった。


 でもあったのだ、異性に姿を変える魔法が!しかも姿もちゃんと元に戻すことができる。とは言えやはり誰でもできるわけではなく取得条件というものがあった。1つ目は処女または童貞であること。前世はもう経験済みだったわけだけれども今は3歳の女の子なのだ。経験があるわけがない。


 2つ目は5歳以下であること。私は3歳ですので余裕で該当する。というか5歳以下で処女、童貞じゃないなんてことはありえないと思うんだけれど。


 3つ目は生殖行為で得られる快感を知っていること。この知っているということが今の身体に限るのであれば知らないことになるけれど、前世の記憶も含めるのであれば知っている。


 それにしても習得条件がめちゃくちゃすぎ。5歳以下の幼子が性的快感を知っているとなると危険すぎ?。仕込んだ人はいますぐに逮捕されるべきだ。いやでも経験していないことが条件なのだから仕込んだ時点で習得はできないのか。まったく意味の分からない魔法だ。


 そして最後に姿を変えたい異性の身体の仕組みについて知っていること。自分に関係しない記憶なら覚えているわけだから、保健体育で習った一般的なことであれば分かる。それに前世では経験済みだし……前世で彼に処女じゃなくて申し訳ないと言っていたことを思い出す。初めての人のことについてはまったく思い出せないけど。


 取得条件は以上。私が前世の記憶がまったくもって無いのであれば諦めるしかなかったこの条件達だけど幸運なことに知っていたので取得できる。これでギルド登録もできる!


 




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