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33.アリスのタイプ

***


「まさか本当に同じクラスなんて、驚き隠すの大変だった」

「僕も」

「僕も」


 九条と声がかぶった。四クラスしかないから、一緒のクラスになるのはそんなに低い確率ではなかったが、まさか本当になるなんて、だった。

 ここは鏡野の部屋だ。いつもの時間のいつもの場所だった。九条は放課後はそのまま家に帰った。クラブにテニスを勧めたが運動は得意じゃないからと断られた。鏡野は相変わらず学校に残っているがさすがにもう暑いので校舎内にいる。いつも通りに三人で帰ってきて、九条を鏡野の部屋に移動させた。

 もうすぐ夏休みだ。夏休みに学校でテニスをしている佐々木先輩と僕、家にいる鏡野と九条、この研究をするのにどうするのか、考えることになるんだろうか。鏡野と九条を二人にするのは嫌だがそんなっこと言ってる場合ではない。でも……


「あのね、九条のこの家の入り方なんだけど……いろいろ考えたんだけど、彼の本当のお父さんのこともあるから、今までの通り柏木君に移動してもらうか、桃李と友達になって毎日来るか……でも一年生の九条君と三年の桃李が友達になるの無理があるよね。テニス部に入ってもやっぱり怪しいと思われると思うんだけど」

「そうだな」


 確かに僕と佐々木先輩が友達になるようなものだ。無理がある。


「毎回僕が連れて来るのがいいみたいだね」

「あの感じ苦手なんだけど仕方ないよな」

「じゃあ、決まり。後は夏休みだけど、私と九条君だけ暇してるのもなんだから、この部屋に柏木に連れて来てもらって二人が来るまで調べてみるっていうのは、ダメ?」


 これは僕に聞いてきた。ちょっとホッとした。僕のことちゃんと彼氏だという自覚を持ってくれているんだと。ただそれは……気にする上に、僕が九条を移動するんだ。なんかめちゃくちゃ複雑だ。


「それは……」

「アリス進展がほとんどないんだ。それに、アリスは別の作業もあるだろ? 二人ともそれぞれに調べたりして、俺たちが帰って来てから皆で相談しよう」


 ナイス! 佐々木先輩。声に出しそうになった。鏡野は納得しきれてないようで渋々頷いたように見える。ん? 何で九条と二人がいいんだ? 何かわからないが不安がよぎる。もしかして下の鏡野のお母さんの研究室に遺伝子を調べに行った時に変化があったんじゃないか? 僕への鼓動が消えていたんじゃ……。今までの態度にも全く現れないからわからないけど、九条への態度には何故か親しみがある。年も上で知り合って間もないのに。僕の中で疑惑が膨れ上がって行く。


「わかった。じゃあ、次。その進展してないノートの話」


 僕の中疑惑の渦は止まった。他の二人も真剣に鏡野を見る。何かわかったんだろうか?


「昨日あの助手が新しい実験をはじめた。それが関係しているように思うんだけど。それがね……」


 鏡野は少し言いにくそうだ。


「それで?」


 佐々木先輩が促す。


「母の作ったブロック近い物を作ってるようなの」

「えっ!? なんでわかったの?」

「ブロックって何?」


 あ、九条にはブロックの説明してない。僕は九条に説明した。吊り橋効果の話は抜きに。九条が鏡野にこの遺伝子の惹き合う想いを感じているならややこしい事になりそうだから、そこは省いておいた。どうしても不安だ。


「ふーん。そこまで出来てるんだ。その設計図というか、そういうのはないの?」

「うん。何も残ってなかったんだけど、そのブロックは一つじゃないの」

「そうなの?」


 それは聞いてなかった。


「あの部屋のは電源に直接刺してずっと動き続けるようになってるんだけどね、携帯用の電池式のが三つあったの。だからそのうちの一つを分解したの。何かのヒントになるか思って」

「だから、ブロックを作ってるって思ったのか」


 九条君が続けて言う。


「でも、なんでブロックなんて? この力にしか効かないんだよな?」


 佐々木先輩が鏡野に聞いてる。そうだ、この力を知らなければいらない物だ。


「……その、その助手さんもこの遺伝子なの」

「ええっ! どんな力なの?」

「いつからだ?」


 鏡野うを質問攻めにする気はなかったが停滞していた期間、鏡野はこの助手を見続けていたが何も言わなかった。昨日今日力が出てブロック作ろうとはしないだろう。なんで今まで言わなかったんだ。


「その、この人がこの遺伝子だっていうことははじめから気づいていたんだけど、まさかもう力を手にしてるとは思わなかったの。全く使ってる姿を見ないから。多分私と似ている力なのかも」

「外から見ても気付かない力って事?」

「そう。それか私が見る前に力を使うのをやめているか」

「それで前の時にも研究がヒントになったんだな」

「うん。論文にもしない研究をいろいろしてた。私の知識じゃついていけないものが多かったし、一人で研究してるから、何なのかわからなかった。彼も相当変わってるって言われてて、研究室にこもって何日も研究し続けてたり。だから、結論が出せなかった。彼がこの力の研究をしているって」


 ……鏡野が遺伝子を持ってるって気付いた……この人の遺伝子にも惹きつけられていたって事か……だから、余計に言いにくかったわけか。


「あのさ、この遺伝子って何でわかるの?」


 ああ、やっぱり疑問に思うよね、九条も。もう言わない訳にはいかない。


「この遺伝子を持つもの同士の子供はさらに強い力を持つことが出来るみたいなんだ。だから、血を濃くする為にかこの遺伝子をもつ異性には強く惹かれる様になってる」


 僕の後を鏡野が引き継ぐ。


「実際には胸の鼓動が止まらない。そばにいたり見たりすると。カメラ越しでも千里眼越しでも一緒。だから、普通の恋愛感情よりも強くそしてずっと惹かれる。ただし、相手が全くタイプじゃないとこれは作用しない。それとブロック中は力も使えない上にこの鼓動も止まる」


 ああ、言っちゃたよ。九条は目を丸くして聞いていたが最後のブロック話を聞いて少し嬉しそうな顔をした。そうか、九条の鼓動は止まらなかったんだ……っていうか、鏡野のタイプってどんなんだよ。僕と佐々木先輩の違いも結構あるが今の話の助手もなんか変人タイプって感じだし。まあ、僕が血が繋がらない異性のこの遺伝子に会ってないからどういうものかわからないから、言えないけど……


「アリス……お前のタイプがわからない……」


 佐々木先輩もボソッと言う。


「じゃあ、はい」

「うわっ!」


 僕らは慣れているが初めての九条には驚きだろう。鏡野が映像を送って来た。頭の中には想像と全く違う人物がいた。どこが変人だよ。あ、鏡野は変わってると言ってただけだ。どうやら変わってるのは、研究に対する態度だけなんじゃないか。多分大学の研究室だろう、何かの機械を真剣な眼差しで作っている、どっからどう見ても好青年にしか見えない人物がいた。年は二十代後半だろう背も高く体つきもいい、佐々木先輩を十歳年を取らせたような感じだ。顔立ちも爽やかな感じだし。確かにタイプは佐々木先輩である。ん? 僕がタイプ外なんじゃ? また不安になる。鏡野の彼氏やるのも大変だ。


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