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003-002

「ノエルタリア、何故……!」

 ああ、おれは前にも同じことを口走った。

 同じ思いで……絶望に閉ざされながら。


 おれはノエルタリアと長兄の新床に踏み込んで、こう叫んでいた。

 兄はベッドで、うつ伏せになっていた。

 うす絹の天蓋に遮られているのでシルエットしか伺えないが、兄は確実に、死んでいた。

 首の後ろに短剣をはやした人間が、生きていられるわけがない。


 おそらく切っ先は、喉を突き破っているだろう。

 純白だったシーツが、朱に染まり始めていた。

「何故だ……ッ!」

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