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「ノエルタリア、何故……!」
ああ、おれは前にも同じことを口走った。
同じ思いで……絶望に閉ざされながら。
おれはノエルタリアと長兄の新床に踏み込んで、こう叫んでいた。
兄はベッドで、うつ伏せになっていた。
うす絹の天蓋に遮られているのでシルエットしか伺えないが、兄は確実に、死んでいた。
首の後ろに短剣をはやした人間が、生きていられるわけがない。
おそらく切っ先は、喉を突き破っているだろう。
純白だったシーツが、朱に染まり始めていた。
「何故だ……ッ!」